安藤勝美 

                       

                                               

 

                         「 俳句 短歌 一寸いい話」

                              

        

 

 

 

                                 「はじめに・

                                      これまでとこれからと」       

                            

                                                   

                                         

 

                                        

 

 

                                          Ⅰ

 

   小学生の頃は大きくなったら上野の音楽学校に行って声楽家になろう
   と思っていたが,しかし戦争でそんな夢も吹っ飛んでしまった。小学

       校の5年の時山形から仙台に移ってきたが,まだ友達のない転校生の

   常で,家にこもっては父の本箱から「明治大正文学全集」,「昭和文学

       全集」,「世界思想全書」さらに「宮本武蔵」,「富士に立つ影」,         

       さらに貸本屋で借りた「世界文学全集」「現代世界文学集」作家の「

       個人全集おまけに「推理全集」「講談全集」や「落語全集」 などを手

       当たり次第に読みふけっていた.

   思想全集などあらかた忘れたが,なぜかべーベルの「婦人論」は記憶

       にある。その後見たこともない本だが。 

   

       詩や短歌を作り始めたのはいつ頃だろう。小学校の頃に短歌を詠んで

   いたが,意識的に詩作に駆られたのは山形から仙台に転校し山形への

       望郷の念が募ったことと,戦後の混乱の中で生きてい くことで,自己

   や社会に関心を持ちはじめたからだろう。

 

    山形では第三小から第四小へ転校し,さらに小学校五年の時に山形よ

        り仙台の荒町小学校に転校した。戦争が始まったのは1941年(昭和

    16年)12月8日で山形の小学4年の時である。真珠湾攻撃が新聞一面

    に大きな見出しで出ていたことや学校で先生が世界地図を広げ興奮し

    て,ここが真珠湾だと言ったことなどを鮮明に覚えている。

 

   小学六年の時,担当の先生が工業学校大好きで,クラス全員60数名を

       受験させ,私を含めて4名が合格した。他の生徒は当時中学は疎開学

       童優先で,県立は一人一校ときめられていたものの,しかし多くは普

   通の中学校に入った。普通の中学に入れたいと思っていた父は怒って

       いたが。

       だが,工業学校で自然科学に触れたことは,ものを広くとらえるのに

       かえって良かったかもしれないと思っている。

                          

     中学一年の時, 陸軍幼年学校を受けたいと母に話したとき,父は出張

       中だったが夜中急ぎ帰ってきて,日本は戦争に負けるから受けるなと

       言った。私はむしろ父がそんなことを言って憲兵に引っ張られないか

       と,黙ってしまったことを覚えている。
  

     しかしその後,陸軍省より工業学校の生徒は軍隊の学校を受験せず銃

   後の守りに勤めよとの達しがあり,父はほっとしていた。また普通中

       学への転校は疎開者優先で県内での県立同士の転校はできなかった。

       中学二年の時に戦争が終わり,今度こそ普通校に転校しようと思った

       が,この時期は引き揚げ者優先でこれまた転校はできなかった。
    

      そんな事情であったが,学校は空襲で大半が焼失し二部授業となった

  ため,県の図書館に通ったり,貸本屋から色々な本を借りてあらゆる

  ジャンルの本の読書にふける十分な時間があった。戦後の混乱の中で

  は自己の存在意義を確かめることがなによりも大事であり,それが読

      書を促し、さらに読書が文学への関心を高めた。
  

  そのころクラス担当の細山田先生が,知り合いの草野心平さんに私の

  詩を幾編か送って下さった。先生への便りでは,情緒的な詩から離れ

  てものをよく見てそして自由に自分の心をうたえということだった。

  細山田先生はその後故郷の九州に帰られ,随分たってから一度お電話

  したことがあった。先生の訃報を知ったのはそれから幾年後だったろ

  う。  

 

    その後も短歌や詩を書き日記も書き続けていた。しかし, 終戦の

    翌々年の 1947年(昭和22年)9月,中学4年の15歳の時, 凄ま

        じいキャサリン台風で広瀬川が氾濫し,川から大分離れていた我

        が家も浸水し,家財はほとんど使用できなくなった。私にはそれ

        まで書きためた詩など,すべて泥まみれとなってしまったのが、な

        んとも残念なことであった。

      

       中学・高校時代は,詩人や小説家になろうと思い,そのため大学は
   文学部に入ろうとしたが,父親にそれではお前の作品を見せろと言
   われて,親に見せるような作品もなくやむをえず法学部を選んだ.
   法学部を選んだのは,高校の非常勤講師でこられていた東北大法学

       部の若い大竹秀男講師に強い刺激を受けたからでもある。

  

       先生はときどきわれわれに自習させて,赤い大きな布表紙の本を読

       んでおられた。なんの本ですかとたずねたらローマ法の原書だと,

       そして乞われるままに音読してくれた。先生は日本法制史が専門な

       のにラテン語でローマ法の原書も読めるのかと、大学の先生とはす

   ごいものだなと思った。

         

    高校三年になって,そろそろ大学受験の時期となった。戦後の中学

  時代から柔道をやっていたが,高校2年で止めて勉強することにした。

  戦後は進駐軍の命令で柔剣道は禁止されていたが,警察では認めら

  れていたので伝手を求めて長町の警察道場で柔道をしていた。

  受験前に当時大学入試に必要な「進学適性検査」が行われており,

  その点数もよくどこの大学でも行けると言われたが,さてどこにし

  ようかと迷った。

 

    そこでどこの大学がよいですかと大竹先生に相談したら,東北大の

  法学部が最高だといわれたので,それではと受けたら運良く合格し

  た.しかし先生は私が学生時代に神戸の大学に移って行かれ,その

  後お会いする機会もなかった。先生は日本法制史の権威であった。
    

      中学,高校時代は新聞部を作ったりして,詩をのせたりしたが,戦

  後の混乱期で生徒は荒れていた。学校のあり方にも問題があり,自

  治会を作って学校側と協議をしたりと,当時の労働者や学生の動き

  と同じ状況だった。弁論大会で学校を批判したりなどで二度ほど退

  学になりかけたが,いろいろな先生方に救われた。

     

  この年頃にありがちなように,なにか満たされないような思いのま

  まに中学・高校の六年間はまさに疾風怒濤のように過ぎ,ともかく

  も高校は以上総代で卒業した。

      クラス18人のうち6人が東北大に入り,2人が早稲田,そのほかい

      ろいろの大学に入った。他のいくつかのクラスからは東北大には経

      済学部など3人が入ったが,われわれのクラスは手の付けられない

      クラスなどと言われながら,結構みな頑張った結果だ。

   

                                  

      なぜ法学部を選んだかは,入学してまもなく読んだ ドイツの法哲

  学者ラードブルフの本で自分なりに納得した.彼は法学部の学生

  には三つのタイプがあるという。すなわち,秀才型,立身出世型,

  そして文学の才能がないので法学部を選ぶジレッタント型である。

      さしずめ私はこの最後のタイプとなる.無意識ではなく受けるべ

  くして法学部を選んだことになる。

    

   

                                          Ⅱ

           

       法学部に入ったものの,法学にはあまり興味がなく,おまけに大学

       一年の夏休み終わりに,すさまじい台風(1950年・昭和25年8月。

   ヘレン台風)で広瀬川が氾濫し,川近くの土手の上にあった角五郎

     町の官舎は流失し,そのため再び日記や作品集も太平洋の彼方に消

  えてしまった。二度目の水害の被害は甚大であった。
    

   その水害で全ての本を失ったが,ただ戦後まもなく古本屋で求めた

     二冊の本は万が一と思って天井裏に置いたのが残った。家の枠と天

  井だけが残ったためだ。幸い天井に置いた二冊の本だけが残った。

  その一冊は19世紀末にニューヨークで出版された『ワーズワス詩集』

  と,もう一冊 は戦前出版された上田敏の『海潮音』(岩波文庫)で,

  その二冊はいまも貴重な本として手元にある。        
       

  ワーズワスの詩集はいつも行く古本屋の奥の棚にブラウニングの詩

      集と二冊並んでいたもので,ワーズワスの本は緑色の美しい表紙,

    ブラウニングの本は赤い表紙だった。二冊ともほしかったが,なに

  せその当時の三円というのは大変な金額で,せめてワーズワスの本

  だけでもと急ぎ家に帰って,母からもらった三円をもって本屋でや

  っと手に入れた。

  

  ブラウニングの本は大学生が買っていったとのことで,ワーズワス

  が買えないのを悔しがっていたと,本屋の女主が話していた。

  ワーズワスは受験雑誌の「Youth Companion」という英語の雑誌

  で知った詩人であった。毎日辞書を引きながら読んでいたが,大学

  生になってまた読んでみると,ずいぶんと勝手な解釈をしていたも

  んだと,むしろ中学時代の勝手な解釈が懐かしく思えたものである。 

 

  海潮音も中学生の頃大学近くの古本屋で求めたもので,長い間読み

  続け今でも大切に持っている。

 

  さてその大学一年の時だが,夏休み明けにすぐ試験があるものの水

  害で本もノートも無く,まったくの無手勝流といったところ。さら

  に二年の夏は,一緒に海に行った友人の事故があって,その事後処

  理やショックで試験勉強どころではなくめちゃくちゃ,さらに三年

  の時は夏休み明けに腎臓をやられ医師にしばらく安静にといわれ,

  試験だというと試験より命が大事だと医者の強い指示に従って静養

  することにした。そういえば小学生の時も腎臓で長く休んだことが

  あった。

      

      なんともついてない学生時代だった。従って大学三年までの成績は

    褒めたものではなかったが,それでも大学四年の就職試験では大き

      会社の内定をもらった。しかし大学に残ると決めたので事情を話し

  て了承してもらった。

  

     しかし学生時代は,大学の近くにあった「Student House」やアメ

   リカ文化センターの「English Discussion Club」,さらにフランス系

     カナダ人の神 父さんのやってる「学生の家」でフランス語の授業を受

       けたが,ピシエ神父さんは貴方は良い発音なのでもっと勉強しなさい

     と,松島のカトリック修道院ラサール会の神父さんを紹介され個人レ

       ッスンを受けることになった。鼻の高い大柄なそして熱心な神父さん

       だっが、この個人レッスンは結構高い授業料だったので,まもなく止

       めてしまった。

   その小松島の神父さんの教会の寮には,当時まだ高校生の井上ひさ

   しさんがいたらしい。

  

         その頃,義兄が藤沢周平さんを紹介すると言ってくれたが、お見せ

         するような作品もないので会わずじまいだった。今思うと一度でも

         お会いしておけばと後悔している。

         学生時代は肝心の法律の勉強はそれほど熱心ではなかったが,な

         んのために法学部に入ったのかと思い,留年して法律の勉強をする

     うちに次第に面白くなり,その結果大学院で国際法を専攻するこ

   とになった。

  

      大学院で法律の勉強に集中したのは修士課程で,一日500-600 
    ページぐらいの読書をし,英独仏の原書もかなり読んでいた。
    博士課程でも読書量は変わらなかったが,法律以外に経済,政治

    などの本を読むことが多かった。法と経済,政治の相互作用が中

    心課題だった。ともかくものんびりと修士2年,博士課程は一年

        多く4年間在籍し,ともに以上総代で終了した。  

    

       今はその読書量も専門書はせいぜい一日 20~30 ページぐらい読

       めればいい方だ.考えてみると,大学院の頃はすらすらと素直に

       読んでいたが,今はこれは問題だなと考えてしまうので,時間が

       かかるせいだ。
     しかし年の功で,一冊まるまる読むこともなく,必要なところだ

       け読む横着な読書法を駆使している.

   

       のんびりした大学院時代も終わりとなり卒業する時期となった。

   東京の私立大学の口もあったが,しかし当時発足して間もない政

   府系の研究所に幸いにも合格したので,研究所に行くことになっ

   た。

   当時は海外留学は自由ではなかったが,研究所からはすぐ行ける

       というのが魅力だった。

 

     研究所に入ってまもなく同僚たちが組合を作りたいので手伝って

       ほしいということで,労働問題専門の友人で大学院の頃同室にい

   た弁護士に相談しながら,めでたく組合が結成された。当時の社

   会情勢もあってその後活発な組合活動が行われた。

 

      研究所は途上国の研究を目的としていたので,私は,当時7年半

  にわたって宗主国フランスと戦って独立を達成した(1962年)ア

  ルジェリアを研究しようとアルジェリアを選んだ。

  当時,独立をめざすアルジェリアの動向が連日日本の新聞に報道

      されており,その民族自決の運動と植民地からの独立という法的

      問題に興味をもったからである。

  またアルジェリア生まれのカミュの著作や,戦前のフランス映画

  「望郷」(1937年)にも魅せられたせいかもしれない。

  フランスで犯罪を犯し,アルジェのカスバに逃れたペペル・モコ

  (ジャン・ギャバン)の映画「望郷」などフランス映画に描かれ

      た地中海地方の風景やカスバなどは,すこぶる魅力的であった。 

  

  しかしこの63年当時,まだアルジェリアには日本の大使館はな

      く,そのため隣国のモロッコに行くことになった。いずれアルジ

      ェリアに移ろうと思っていたが,モロッコの方が研究や生活環境

      が良かったのでそのまま二年間モロッコに滞在した。モロッコで

      はその風土の美しさとフェズ、マラケッシュなどの古い街の魅力

      に魅せられた。100年以上もフランスの影響下にあってフランス

      色の濃いアルジェリアよりも,30数年の植民地の経験しかなかっ

      たモロッコは,まさに中世以来のアラブの雰囲気を濃厚に残して

      いたのも,魅力であった。たとえば,アルジェの墓地を訪ねたと

      き,当時の墓碑銘の多くはフランス語であったが,モロッコの墓碑

      銘はすべてアラビア語であった。

  その当時,モロッコを詠った幾首かの短歌が朝日歌壇にのったの

  も,モロッコが魅力ある国であったせいだろう。

 

  またモロッコは,途上国の中でもそれほど華々しい独立活動もなく,

  むしろ中世の穏やかさをただよわせている。しかしモロッコは,

  ローマの遺跡も多くさらにヨーロッパや地中海文化の南端に位置し,

  またイスラム文化の西端,さらにアフリカ文化にも属する多様な国

  であるのが魅力だった。

  さらに,このモロッコから,ヨーロッパひいては国際社会を客観的

  に考察することは,途上国の立場から国際法を再考察するにも格好

  の場であったと思う。西洋文明の裏側からの考察である。

 

    研究所での研究テーマは,発展途上国の民族の自決権であった。     

      国際法によって植民地化が合法化され(カール・シュミット),そ

      の国際法によって植民地の独立が承認されたが,この変化を促した

      のは民族の自決権であった。植民地はこの権利によって独立し外国

  に支配されていた資源の国有化を促して経済の自立を図った。

  この独立の過程と国有化の法的側面を研究するために,アジア,ア

  フリカ,中東,ラ米など多くの国々をたずねた。

  ホームページの短歌欄に発展途上国を詠んだ歌が多いのはそのため

  でもある。

  

      その後二年間の在外研究を終えて帰ると,しばらくして,研究所は組

  合対策に私を人事課長にと内示され,退職覚悟で拒否したものの,

      管理職にされて組合から離されてしまった。

  そのとき私を守ってくれた研究所の先輩は,もうこれ以上は出世で

  きないぞと,事態の厳しさを教えてくれたが,むしろ私はのんびり

  研究できると感謝したものである。しかし研究所から大学に移る頃

  には室長になるが,もう過去のことなど忘れられた人事のようであ

  った。 

 

  研究所時代,まだ30代半ばの頃,ある国際機関の応募に応じたこと

  があった。経済専門の人で身分は課長職ということだったが,応募

  したら法律専門の私が日本からの応募者30数名のトップで推薦され,

  もう行く準備をして下さいという段階まで行った。

  しかしその機関の総裁にソビーエート人が当選し,争っていたアメ

  リカ人が落選したので,アメリカは機関への支出を拒否し,そのた

  め予算が無く採用がご破算となったらしい。経済職で課長職と,ち

  ょっと腰が引いていたが,がっかりしたような救われたような気持

  ちだった。

  入っていたらわが人生もずいぶん変わっていたろうと,時に思い出す

  出来事である。

 

    研究所に25年間勤めた後,明治学院大学の新設の国際学部に移っ

      た。この学科は都留重人先生をはじめ珍しいほどの人材が揃って

      いた。実に充実した大学人生であったが、ここでも組合結成に参

      加した。

      さらに6年後,丁度、60歳の時に国際基督教大学(ICU)の新設の

      国際関係学科に移った。5年後そこでも組合作りがあり,その委

      員長を要請されたが,当時私は66才でその大学の65才の定年を

      超えた勤務であったので正式の教員ではなく断らざるをえなかっ

      た。

   わが人生を振り返ってみると,中学・高校と自治会を作り,大学

   時代はおとなしく,その後はまた組合作りと,面白い人生であっ

   た。    

 

      ICUでの私の担当は,学部で国際法,国際経済法,国際関係論,

      英米法,比較法Ⅰ(EU法。仏法。独法)・比較法Ⅱ(イスラム

      法。ヒンヅー法,中国法),ゼミ、大学院では国際法,国際経済

      法,国際関係論,ゼミなど,学部,大学院あわせて10科目。
    さらに学部,修士,博士の論文指導と,自分の論文を書く暇がな

      いほど忙しかったが,それはまた楽しく充実した生活であった。
  

    また国際学科には法律の講座は少なかったが,教え子から検事,

  弁護士,外務省また多くの国際法専門の大学教授,アメリカでロ

      ーヤーの資格をとったりまた引き続き研究を続けているもの,さ

  らにNGOの活動家など多くの法律の専門家が誕生した。

      また学部のゼミ生の中には他大学の医学部に入り直して医師にな

      ったものもおり,この大学の特徴である多彩な人材が育っていっ

      た。

  

  また沢山の博士論文の審査をしたがそのためにこちらも勉強させ

  られ,それは貴重なまた得難い経験だった。

  私自身は博士号をとることはなかったが,(むかし小田滋先生に

  今までの論文をまとめてだしたらと言われたが,結局提出する暇

  がなかった),晴れて博士号をとる学生の輝いた顔を見るのは楽

  しいことであった。

 

 

                                       Ⅲ

  

    さて,若い時の日記や詩は二度の水害で失ってしまった.しかし不

  幸は続くもので,30才の頃,初めての留学の時(1963年)に友人

  宅に送った日記や短歌などいろいろな作品を入れた荷物がどうして

  か行方不明となってしまった。布団などの家財は故郷の実家に送っ

  たが, 短歌や小説などの作品は,ひょっとして父親に見られては

  と友人の所に送ったのが失敗だったようである.
                                    

    結局ろくでもない過去はすべて捨て去れという神の摂理と,いいよ

  うに解釈している.まあ苦い青春の日々は尋ねる必要もないという

  ことで,すべての記録を失ってむしろさっぱりした気持もする.
                    
       従って私の手元にある日記などの記録は30才過ぎのモロッコでの

   研究留学時代からのものだが,それらも倉庫の隅でぐっすり眠っ

      ている.いつか,その後も書き続けている日記などもすべて廃棄

      するつもりだ。
   

       80年代に家族と二年間,研究のためにパリに滞在した頃もほとんど

   短歌や俳句は作らなかったが,今になって,モロッコやパリの生活を思

   い起こして短歌や俳句に表現している.
              
       また30代の北アフリカやヨーロッパの風物を写した沢山のスライド

   や,80年代の家族を連れた研究留学時代のパリなどの風景写真,

   さらに50カ国あまりの研究調査で行った国々の写真も,これももう

   湿気ってしまってプリントは無理だろう。しかしむかしは,雑誌や

   グラビア,百科事典などにそれらの写真がよく売れたものだ。

  

       短歌や俳句も,せめてここ数年のものでもと思って日記から拾って

   いるがなかなかいい作品はない。40数年ほど前,朝日歌壇に幾度

       か投稿しそのたび新聞に載ったことがある。しかしその頃よりは人

   生の経験はあっても,詩心はとみに失せてしまった。

 

     とはいえ少しは書きためた俳句やら短歌や詩は,生きてきたことの

       明確な表現である。また短歌や俳句,詩とさまざまな表現形態を使っ

       ているが,人間の表現の仕方は多様だと思うし,何か一つに特定す

       るというものでもないと思う。詩魂は共通である。そんな気持でこ

       こに短歌や俳句欄を作ってみた。せいぜい10年ぐらい前からのもの

       だが,現在75才,さらにこれからの人生を歌っていきたい。

  

       ただ私は,俳句の俳人臭き,短歌の歌人臭き,詩の詩人臭きは性

   に合わない。自在にうたうのみ。とはいえ百に一つの良き歌,千

       に一つのこれはという句があれば思う。

  
      なんか筆の動くまま自分の半生史を書いてしまった。思えば別の違

      った人生もあったかもしれない。30代半ばと40代に代議士になるこ

  とを薦められ,40代の時は必ず当選させるといわれたが,結局,研究

  者の道を選んだ。

  それで良かったかもしれない。人はいろいろな人生の可能性を持っ

  て生きている。自分の選んだ道に後悔はない。

  

  いろいろな思い出を書いてきた。俳句・短歌集というよりはわが人

  生史のようなものである。また自慢のような弁明のような自分史で,

  自分でもあまり感心したものではないが,ともかくも過去を顧みて,

  それを機会に自らを改めて見つめなおし,さらに新しい人生へと挑

  戦していきたいと思っている。

           

                                2007年 秋

 

 

        今日、2017年1月13日、85歳の誕生日を迎えた。「思えば遠く来

        たもんだ、この先まだまだ何時までか、生きてゆくのであろうけ

        ど」(中原中也・「頑是ない歌」)。

       そんな嘆き節は、癌二つかかえているがまっぴらで、朗らかに暮ら

       してゆくつもり。そうすると癌が遠慮してくれるかもしれない。  

       今日は日本海側は大吹雪とのこと。東京は雪は降らないが、雲は多

       い。しかしところどころに見える青い空が、深い深い渓谷の水の色

       を思わせ、清冽な風を吹き流している。

       これからは「風立ちぬ、いざ、生きめやも」と、大道を闊歩するよ

       うに生きてゆく、それが85歳の誕生日の思いである。 

                                                (2017・1)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


          安藤 勝美 「俳句 短歌 一寸いい話」 
            27・28

 

                                                            

 

  

         一寸いい話  27

                           (2011年   秋・冬)

 

 

 

1  はろばろと空のひろさよ今日の月     森田 たま
   鰯雲その涯とほき没(い)り日かな    高田 保
     底の魚ひらひら見えて秋の水       杉森 久英
    
   秋の夜の終バス狸が運転す   (東京都)井原 三郎
               (朝日俳壇・2011・10・24)

                 (是非乗ってみたい)

 

 

1             冬近し

 

   柿の実の熟れたる汁にぬれそぼつ

              指の先より冬は来にけり
                谷崎 潤一郎

 

1       悪魔の知恵

 

   諺に「悪魔の話をすれば悪魔がきっと来る」というが,また,
   「悪魔の最高の知恵とは,自分が存在しないと思わせることで
    ある」とも。    
   

         現代はそんな賢い悪魔があちこちに潜んでいるような時代だ。

       「天使の噂をせよ,そうすれば天使の羽ばたきの音を耳にする
          だろう」
     まだ天使の羽ばたきは聞いてないので,せいぜい天使の噂を

   しよう。

 

1         五位の猫  

  

   平安の昔,紫式部や清少納言が活躍していた頃。猫が仏典とと

         もに唐から渡ってきた。猫は唐猫といわれ尊い仏典をネズミか

         ら守るために,天皇は五位の位をさづけた。
   
     そんな尊い方とはつゆ知らず,家では時にはいたずらをおこり,
         時にはつかまえて嫌がるのを抱っこしたり,フトンの中に押し込
         んでくすぐったり,まことに失礼なことをしております。

     どうりで髭を生やして偉そうだと思ってたんですが。

 

1          「開発」とは
  
      2001年に始まったドーハ・ラウンドは正式名称を

         『ドーハ開発協議』という。
   
    『開発』の文字には,公正な貿易の条件を整えて途上国の発展を促す
         との意味がふくまれている。しかし,きれいごとだけでは話は決まら
         ない。農業や工業,サービスにいたる多くの分野での利害調整は困難
         を極めた.
        有田 哲文 朝日2011・12。4 「wtoとTPP」

   

       開発や発展の用語は,1960年代よりよく使われ色々な意味を伴って
     きたがいまでも明確ではない。途上国への援助による開発は,受け

   る側と援助する側の利害が一致しない,すなわち開発も援助も明確

   な定義を下すことができないのが現状である。 

 

 

1         「雀が減ってきた」
    
        最近雀がめっきり減ってきて,あまり見ることもなくなった。
    その原因とされるのは,・・・・・・

    巣を作れる木造住宅が減ってきた。
    田畑耕作のためコンバインが普及し,落ち籾が減ってきた。
    未舗装の小径や空き地が減り,食物の種などの餌が減ってき

    た。

    都市の空き地や草原が減少した。
    減反のため水田が減ってきた。    
      その結果,雀が減ってきたので害虫が増えている。
    
      立教大と岩手医大の研究グループの推計によると,雀は「ここ

          20年で6割減少」。
      さらに別の異変があって,人に寄って来ることのなかった警戒

          心の強い雀が,人の手のひらにのって餌を食べたりねだったり

          する群れが全国に見られるようになった。何かがこの鳥に起き

          ているのでは。
        「天声人語」 2011・12・6

    

          英国でも雀が9割も減っており,世界中でその傾向があるが,
          その原因はまだ判っていない。この頃雀が懐かしくなって餌

          をまいているが,声も聞こえない。雀のお宿を探しに行かな

    いと。

     

           金子みすずの「雀のかあさん」の母雀の気持ちがせつない。

       「雀の千声,鶴の一声」などとややうるさがられたが,その

     雀の声も聞こえない。

     ・・・・・

    先日,庭のプランターに生えた草を一匹の雀がつついてた。

    いることはいるらしい。ガラス越しにしばし眺める。 

                                    (14・12・13)

 

 

1                忠臣蔵の史実

 

        師走となるとまた「忠臣蔵」がテレビや舞台を賑わすだろう。
    日本人の胸に何らかの共感を呼び起こすものだ。
    しかし,その史実を研究する中央義士会の中島康夫理事長は
   「97%は虚構」だと言う。

  

      元禄十五年十二月十四日(1703年1月30日)の討ち入りの夜
    は,山鹿流の陣太鼓は鳴らず,雪も降らなかったらしい。
    人々のこうあって欲しいという願望が,あの華やかで悲劇的
          な物語を作りあげたものだろう。(11・12・10)

      

                   熱燗や討入りおりた者同士       川崎展宏
         吉良方も偲ぶ日なかや討入り忌     平川雅也 

 

 

1           「一生を賭けた会社に先立たれ」 

                               サラリーマン川柳
  

      普通の人は40年間働きますが,40年も隆々としている

        企業は今はすくない。
        朝日 2011・11・24 

   

        不景気で今は「退職難民」が増えている。みんな図書館で

        居眠りしてます。

 

1      自分を質に入れたら?

     

          自分を質屋に入れちゃった,食事はもちろん向こうもち。
    そんな質屋があったら人助けになって繁盛するだろうな。
          なにせ質屋は質物をきちんと管理する義務があるからね。

          しかし、生ものは受け取らないだろうな?

 

1       新しいウイスキー「イチローモルト」 

                      肥上伊知郎(46)  朝日「ひと」 

  

      秩父地方は寒暖差が大きく,酒は樽の中で熟成が進みやすい。
    ただウイスキーが蒸発して量が減る。これは「天使の分け前」
    という現象です。ウイスキーは「水や土,空気に左右される。
          ウイスキーは農産物です」・・
       
          サントリーの3,ニッカの2に対して,新しいウイスキーの

          イチロウの1。順序良く並んでる。
          なお,イチロウとは制作者の名前・伊知郎のこと。 偶然に

          してユーモラス。 

 

1                       牛のけり方

 

   小学生の頃,仙台の荒町小学校横の緩い坂道を父と歩いていた。
         どっかに行くところだったのだろう。その坂道を牛が重い荷車
   を引 いて歩いていた。

   

         父が突然「牛はどっちに蹴る」と聞いてきた。馬と同じく当然
   後ろに蹴るはずなのに,どうして聞くのだろうと一瞬戸惑った
   が,とっさに「前と横」と答えてしまった。父はぎく!とした
   ようで,それきっり黙ってしまった。

  

       今でも時々思い出す。父は心底驚いたろうなーと。しかし,父
     はなぜあんな事を突然聞いたのだろうか?。なぜあんな答えを
   したんだろうと。もう70年も前の話だが。(2011・11・29)  

 

 

 1       風が四季折々の言葉を運んでくる。

      人々はそれで季節の挨拶をする。    
  

       暖かいですね。     あたたかな雨が降るなり枯葎      子規
     暑いですね。      蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな     竜之介
     涼しいですね。   酒蔵の裏涼しくて朝の市      沢木欣一
       寒いですね。    水枕ガバリと寒い海がある     三鬼

 

1      「万里同風」 

 

   極めて遠いところまでも同じ風俗が広がる。天下が統一

   されて太平であること。

 

1           谷という字 

    「天声人語」 2011・11・15 

  

       「かなしい顔している字」だと言いながら 
                                            幼は「谷」と半紙に書きたり。
                 (広島市) 小田優子

  

     書きようで笑顔にもなる「谷」の字を 
                                            嫁ぎ来てより親しみて書く。
                         谷 ケイ子 

  

     幾度も書いているけれど谷の字は 
                                         大口あけて笑っているよ。
                        石谷 茉莉
                                   

1     「神官」の位

  

      祭主,大宮司,小宮司,禰宜,権禰宜,宮掌(ぐしょう)。
    祭主は伊勢神宮の神官の長。
   
      「神主」・・神主の位である禰宜と音が通じているので,「葱」
     のことを僧の間では「神主」というらしい。僧の間で使う神主

         への隠語。   

 

 1          立川談志,

    2011年11月21日亡くなる。名人であった。

   

        法名は「立川雲黒齊家元勝手居士」。
    落語の枕も面白かった。

    「自分の家が焼けたら火事とはいわねえ,災難だ」

 

1         ショパンの悲劇
  

       マジョルカ島で結核を療養していたショパンは,村人にも

   遠ざけられ,帰りの船でも隔離されて船底に豚と一緒にさ

   れ,血を吐き続けたという。華麗な曲がわびしくも聞こえ

   る。 

 

1       宝くじは笑顔のところで買うとよい。
 

    3億円あたった人の話。しかしむかし新宿の西口でけんか腰で
     売っていた女性がいたが,道理で当たらなかった。

 

   「宝くじ たの字が消える 大晦日」朝日川柳 
    夢はてて風に舞とぶ外れくじ

 

1                百万石

 

       百万石は米俵で250万俵。(一石は150キログラム)。一俵は4斗。

   百万石はどんぶりご飯で150億杯。加賀藩も大変でした。

 

1        「赤とんぼ」

 

   童謡「赤とんぼ」の歌詞では,最初は「あかとんぼ」,終わり
   頃では「赤とんぼ」と変化する。最初のひらがなは幼児の頃,
   最後の「赤とんぼ」は少年の頃と。

 

1           爪が割れる原因

   

         栄養不足・・肝臓に栄養を蓄えられないため。
     大病の後・・肝臓そのものの異常。また過度の飲酒。
     亜鉛不足・・牡蠣,うなぎ,牛のもも肉,チーズ,レバー,
           卵黄,大豆,納豆,そば,などがよい。

 

1   一つの方向だけの教育。
   「脳味噌の纏足」 村上春樹『1Q84』

 

1              全日空   

 

       全日空の中国便にはほとんど客がいなかったらしい。「全日空」
     とは中国語では「一日中空の中」といった意味なので,それで

   全日空はANAと名前を変えたとのこと?

 

1  一番体に悪いことは年をとることでだ。 

 

1   亀の年を鶴が羨む。

 

1         桜が好き・・宮沢りえ

 

  「散ることを知りながら咲くことを恐れない。あっという間に散
     るのに、咲いている時はすごく堂々として、にっこりと笑いな
     がらみんなを魅了している感じが大好きです」
                 朝日 Bon Marche  2011・12・14

 

1         秋本康 作詞家

 

   「僕はね、若い人にこう言うんです。『目の前の壁を乗り越えよ
          うとするな。乗り超えられないから壁なんだ』とね。むしろ右
      へ左へと動いて壁の切れ目を探せ,と」   
                     朝日・2011・12・14

 

1         遺族

 

    「死ぬのは確かに本人だが,その死を背負い生きてゆくのは家族  
          である」

 

1     三本締め

  

       一本締め「よお~,パパパン,パパパン,パパパン,パン」
     これを三回繰り返すのが三本締め。
     一丁締め「よおー,パン」
     これは格が落ちる手締めともいわれ,一本締めと勘違いして行う
         人もいる。

 

1        チャイナ・シンドローム
  
     原子炉の炉心が溶けて,溶けた核燃料が格納容器の鋼板やその下の
       コンクリートを溶かして地中深く沈み,「米国で起きたら地球の裏
       側の中国にまで届く惨事になる」という意味で,実際の裏側 は中国
       ではないいわゆるブラックジョークである。映画の題名にもなった。
                 朝日「ニュースがわからん」2011・12・10

 

1        鳥

 

    「夕日が沈むと死ぬと思いこんでる鳥がいるの。だから,
   朝,目を覚ますと,嬉しくて美しい声で鳴くのよ」

  

     映画『永遠の僕たち』での少女イーノックの言葉。

   少女は不治の病で,三ヶ月の命。少年と出会っていう言葉。
   
     朝日(夕・プレミアシート)2011・12・16 映画紹介

 

 

1        歴史とは                                                          

        オバマ大統領はイラク進駐の終結宣言で,イラク戦争は
         「間もなく歴史になる」と述べる。政治家という人種は

         「歴史」という一語を都合よく使う。

       歴史とは「ひょっとしたら避けられたかもしれない出

     来事の積み重ね」とも言う。
         避けられるものを避けないのは,法的には未必の故意

     である。
               「天声人語」2011・12・17                              

 

1       お茶の子さいさい

 

   お茶を飲むときに添えるお菓子で,少量なので腹にたまら

   ないことから物事が非常に容易なこと。「さいさい」とは

   囃子詞。

 

1        日記

 

   子供の頃から日記を書き続けている。何のためか。人生の簿記

       みたいなもので,人に見せるためではない。いずれ処分するも

       のだ。そう知ってても小学4年いらいまだ書いている。
   
   「毎日日記を書くのは,自分に見せるためである」 魯迅

 

1              芋があると幸せ

 

   ある若い女性は,会社で嫌なことがあっても,家に帰ると

  「芋がある」と思うと幸せな気分になると。
      朝日Be 11・12・21

 

     戦後の食糧難の時はともかく,今でも芋があると思うと幸せ
   な気分になるとは,けなげでなにか微笑ましい。

 

 

 

 1            2012年1月1日 

             年頭の句と感想  断捨離
    
       初春やわれ八十の無量寿者  
   (無量寿者とは阿弥陀様の別名。もう永遠の命となる心地)
  
     元旦や命を洗う屠蘇の酒
     (元旦の元とははじめのこと,旦は日が昇る意。屠蘇は

            屠蘇散のことで,邪気を払い,年を延ばすという薬草

            のこと)
    
        今年は断捨離でいこう。
    断とは入ってくる要らないものを断ち,
    捨とは要らないものを捨て,
    離とは物への執着から離れることである。
   

        本来はヨガの断行,捨行,離行の教えで,人生や日常生

        活に不要なものを断ち,捨て,物への執着から解放され

        て,身軽で快適な人生を送ること。
   
      それはなにか難しいような人生?。特に夫婦間に適用不

        可能?
      さらに人生を楽しく生きるには,想像ではたりないので

        妄想もたくましくすること。

 

1          ジェノサイド

 

   正月早々,夜遅くまでかかって評判の髙野和明『ジェノサイド』
   を読了(1月4日)。すごく面白かったが,異常な才能を持った

       新人類が出るのは,勘弁してもらって,登場人物に語らせてい

       る警句が心に残った。二つほど。

 

   「隣人と仲良くするよりも,世界平和を叫ぶほうが簡単なのさ」
    ふと平和を叫んでいる人の顔が目に浮かんでくる。

 

   「歴史学だけは学ぶな。支配欲に取り憑かれた愚か者による
    殺戮を,英雄譚にすり替えて美化するからな」などなど。

      歴史は英雄史とみればまさにその通りだ。

 

 

1      老齢年金の行方。

 

     新聞にこんなことが書いてあった。

   「日本はかって,多くの現役世代で高齢者を支える『胴上げ型』
    の社会だった。いまは『騎馬戦型』であり,将来は『肩車型』
    になる」(朝日社説 2012・1・3)
    
    騎馬戦は三人が一人を担ぎ,肩車型は一人で一人を背負って
    養うことだ。社会保障の崩壊が迫ってくる。
   
    さらに恐ろしいのは、秋田のお祭りの『竿灯型』だ。なにせ

          一人で数十の提灯を担いでる。

 

 1     迷惑メール

 

      世界での一日間のメール数は,2300億通で,世界人口70億人
    で割ると一人あたり32通となる。しかもこの総数の9割は迷惑
    メールとのこと。世の中,暇な人が多いということか?

 

1    バレーダンサー・熊川哲也の言葉

  

      「僕ね,常に挑戦している人って,どこか弱いところがあるんだと
     思うんです。弱いから攻め続ける,立ち止まると孤独に向き合わ
     なきゃいけなくなるから。『第九』をバレーにした頃の僕もそん
         な感じだった。だからベートーベンをいとおしく思った」
      (朝日 2011・12・26)

 

1        正月の餅

 

   正月三が日に喉に餅を詰まらせて病院に搬送された人は30人。
   うち2人が亡くなる。いずれも男性で76歳と69歳。いずれも

   自宅で雑煮を食べ喉に詰まらせた。

   この30人はみんな60歳以上で,60代と80代がそれぞれ10人,
   90代が6人であった。年をとったら餅を小さく切って食べる

      ようにと東京消防庁の警告。

 

   わたしは酒を飲みながら食べることにしている。まるで流し

       込むように。もう正月も過ぎて餅はあまり食べなくなったが,

   酒はあいかわらず飲んでいる。

 

  「酒飲みは奴豆腐にさも似たり はじめ四角であとでぐずぐず」?
   まあ,こんな飲み方はしませんが。

 

1      ため口

 

  「ため口」とは対等の口の意で,1960年代の不良の隠語で「五
         分五分」の意味で使われた。また「ため」とはばくち用語で
      「ぞろ目」(二つの采が同じ数を出すこと)の意味である。

 

1       傘寿

 

      この2012年の1月13日,80歳となる。傘寿である。これから

        の人生,天気の日でも傘さして用心深く生きろといわけでない

    だろうが。傘の略字は八と十を重ねた字からきている。

    誕生日の夜は家族と大きなビフテキとシャンパンで祝った。や
    はり誕生日にはビフテキである。大きな肉に噛みついていると,
    生きてるなーと思う。刺身ではこうはいかない。
    傘寿の次は八十一才の半寿(半は八十一となる),そして米寿

  (八十八),卒寿(九十・卆),白寿(百から上の一を引いて,

    九十九),上寿(百才), 茶寿(百八。仐に八で八十八,さら

        に艹は十が二つ),後は毎年。  
      

           傘寿祝うビフテキ熱く吹雪おり  暮笛

 

 

 

1     1月中旬野田内閣改造

 

  「権力の座にいる人は本を読む時間がない。しかし本を読まな
   い人は権力の座に適さない」

    1980年代前半,英国労働党の党首,マイケル・フットの残し
  た金言。
       朝日 2011・12・9 拓殖大学 丹羽助教

 

   これからの内閣人事では愛読書を紹介してもらいたい。
     面接して本の内容を尋ねて。

 

1   最近の権力の座にあるもの
   「おごれる者久しからず」
     「おごらずとも久しからず」

 

1    アダルトチルドレン(AC)の他罰的感情
 

     自分に自信がないのでその不安を回避するために,依存した
   い相手に一見他罰的行動を持つこと。子供がダダをこねて相
     手の関心を引く行動のようなもの。 

 

     これは新しいタイプのうつ病で,まじめで他人に気を遣う人
         になりやすく,そして自分を責めることでは自罰的である。
         この新しいタイプのうつ病は,周りのせいで自分が責められ
         ていると「他罰的」に考える傾向がある。(新聞より?) 

     こんな傾向の大人が増えてきて,世の中は他罰的感情の社会

         へと。

 

1              鳩の夫婦

 

       鳩の奥さんが亭主の帰りが遅いので心配していると、やが
   て亭主の鳩がのんびりと帰ってきた。

    「遅かったわね、心配してたのよ」
    「ああ、ごめんね。月があんまりきれいだったんで歩いて
     帰ってきたんだよ」 

 

1    可笑しくて哀れなある少女の物語。

      次の本より拝借。
     『とっておきのいい話』文春文庫より
 
    「船旅をしていたある早熟な少女の日記」

     月曜日 船長に食事に招待される
     火曜日 船長と一日を過ごす
     水曜日 船長に下品な申し出をされる
     木曜日 船長に,もし申し出をことわれば,
         船を沈めるとおどされる
     金曜日 五百人の乗客の命を救う

 

 

1       いろは歌 
    
    色は匂へど 散りぬるを
    我が世誰そ 常ならむ
    有為の奥山 今日越えて
    浅き夢見し 酔ひもせず
  
    (有為・さまざまな因縁によって生じた現象、また、その存在。
     絶えず生滅して無常なことを特色とする。広辞苑) 
  

  このいろは歌は次の言葉よりきているとのこと。
    
       諸行無常
       是正滅法
       生滅滅已
       寂滅為楽

 

1   世の中で偉いのは、「神様、仏様、家のカカ様」

 

1        おみづけ・近江漬

  

     子供の時山形で育った私にはおみづけは懐かしい漬け物だ。
   寒い朝、熱いご飯に「おみずけ納豆」をかけて食べるのは何と
   もおいしかった。弁当の中にも入っておりあのカリカリと音の

   する菊芋の歯触りが楽しく,弁当を食べながらガラスごしに見

       える降り積もる雪に,放課後の楽しい雪遊びに思いをはせた。

   東京でも冬はおみづけが食べられるが、あの菊芋は見あたらな
       い。
  

    東京どころか山形で買ったおみづけにも菊芋はなかった。もう

  菊芋は、なくなったのか。
    それとも野生化してあちこちの土手で邪魔者扱いされているの

      か。そういえば家の近くの野川の土手にも菊芋はよく咲いてい

      る。

  

     おみづけは,山形に紅花を買い付けにきていた近江商人が、
   1850年代に山形の野菜で作ったとされている。そのときに
   菊芋を入れたのは、漬け物に甘みを加えるためと。
   この芋は北米から入ってきたもので、食用であり、アルコ

       ールや果糖の原料に使われ、現在でも栽培されている。
   
    願わくば、あのカリカリとした歯触りのよい、菊芋の入っ

        たおみづけと納豆で暖かいご飯が食べられますように。近

        くの野川の土手には菊芋は沢山ありますよ。 
         (2012・1・26)
 
1               干し柿

  

     子供が、怖い渋柿のような顔のおじいちゃんになんとか優

       しいおじいちゃんになってもらいたいと考えた。
      「そうだ!、干したら甘くなるかも」

 

1  教師とは、生徒の頭脳向上師でありまた性格矯正師でもある。

 

1      あげまん。さげまん。

  

     この言葉は本来は芸人の隠語で、「まん」とは「間」という
       字に由来し、運気、出会い、潮目、巡り合わせの意味。
   今は女性のあれが,関係のある男性の運を上げたり下げたり
   する意味でとらえられているが。本来の意味は失われてしま
       ったのか?。

 

1 「病去らんと一筋に思い固まるも病なり」

   私はあまりにも、耳鳴りを気にしすぎるか?。

 

1       「わが闘争」

 

     今、ドイツでヒットラーの『我が闘争』の出版が問題になってい

       る。すでにインターネットでは流れているらしいが、イギリスの

       出版社が抜粋版を発行しようとして、著作権を持つ南部バイエル

       州が発行を禁止する仮処分を裁判所に申請した。

   今なおヒットラーの亡霊がさまよっている感じがする。
    
   戦時中、たしか中学の二年の時か古本屋で手に入れた『我が闘
       争』の翻訳本を読んだことがある。しかし戦争が終わって幾年
       かして完訳本が出版された。研究に必要だったので、これも古
       本屋で求めたが、読んでみて驚いた。なんと黄色民族は劣等民
       族として、蔑すむ文章が載っていた。なんとまあよく日独伊三

       国同盟などが結ばれたものだ。(11・1・27)

 

1     嘘

 

  「わたしは嘘をついたことはありません,というほどの嘘はない」
   
    「嘘は言葉ではなく,沈黙でつくこともできる」
           Adrienne Rich
     落合恵子「嘘と罪」 朝日2010・6・19 

 

1     西郷さんと犬

 

   ある子供のつぶやき。上野の犬を連れた西郷さんの銅像を
   みて,
   「ああ,うんち袋持たづずに散歩してる,いけないんだ」
    それを聞いていたおまわりさん,道徳と環境上問題がある
    と,銅像の処置について考え込んでしまった。

 

 

 1     近頃の傾向
 

   孤生,孤育,孤立,孤苦,孤憤,孤食,孤老,孤死

  

     「賀状に躍る『高貴高麗者』の文字が

                老愉しめとこの身くすぐる」
                  (ひたちなか市)吉沢まつ枝

                              (朝日歌壇 12・2・12)  

 

1          焚書

 

      「本を焼く国は,やがて人を焼くようになる」ハイネ
  「もっともよい復讐の方法は,自分まで同じ行為をしないことだ」
      古代ローマの哲人皇帝 マルクス・アウレリウス  
  
   「遊びは人を強くする精神的沐浴」ドイツの教育者 フレーベル

   「思想とは観念ではなく,どう生きてどう死ぬかなのだ・・・」
       ノンフィクション作家 久田  恵(朝日 10・10・3)

 

  「無駄なことを学ばなければ,何が大切かはわからない」
        大塚久雄

 

1          チャーチルの辞世の言葉

 

      2012年1月24日はチャーチルの47回忌。享年90歳の辞世の言葉。
     「もうすっかりいやになったよ」
    彼の最後のユーモアでもあったろうが,自分の毒舌にうんざりし

        ての本心でもあったろうか。

 

1           横尾忠則(新聞? 2012・1・28)

 

  「人は未完で生まれ未完で死んでいくのだから,絵も未完で終わ
   っていいのではないかと気づきまして,すると脅迫観念から解
     放され,絵をかく喜びと出会うことができました」

 

1           ポピリズム 

      北大准教授 吉田徹 (朝日 2012・1・3)

 

   「大衆迎合と訳されるが・・・エリートを否定し,声なき人々

          の意見を反映する政治現象」のことであり,また

   「人々に政治に関心を持つきっかけを与え,既成政党への刺激
    剤になる側面もある」 

      

 

1 「思い」は誰にも見えないけれど,「思いやり」はすぐみえる。

 

1  居眠り・・・・してはいけない状況で寝る
   うたたね・・・寝てもよい状態で寝る

 

1  トンカツは塩とレモンで食べるともっともうまい。
      あるシェフの言葉

 

1                推理小説

 

    しばらく松本清張の本を読んでない。彼の作品は殺人や汚職と
  いう観点からではなく,戦後の日本人の生き方として読むもの。
   
    この視点が他の推理作家と異なる点である。
    こんな時代にはなんとなく読みたくなるものだ。

 

1      旅

 

    知らない路地を曲がったところから,旅は始まる。
             玄関を出れば人はいつも旅。

 

1  「火事だ!」と風呂のお湯をかけようとしたら父が,
   「お湯じゃ熱くて消えないぞ」
     堺としあき TV

 

1    土下座・「謝男・シャーマン」の板垣恵介

          朝日12・2・22

  

     或る問題で東京電力の清水政孝前社長が土下座をして謝る

       と,その土下座は「重心が後ろにあり,最初から立ち上が

       る準備をしている。とても誠実とは思えない」と批判され

       た。
   土下座している男をみると,「周囲は『許してやれ』とい
       う目で見てくれる。しかし本当に追い詰められているのは

       土下座された方である。土下座は暴力だ」との批判。

    「土下座しなければならない状況というのは,大抵の場合,
     土下座では解決できないものです」。

    ・・・・・・・・
   土下座をすることで,自分は潔いという思いに酔っている。
   土下座は見るのも嫌な姿だ。最近のテレビではよくやって
   いるが,土下座は本人にとっては,耐え難い屈辱ではない

       のか?   あえてそれをするのは過剰な自己欺瞞。

 

   しかし時には真摯な土下座もあるだろう。だが,それを平
   然とさせている人間には,なんとも嫌悪感を感ずる。 

   土下座はせいぜい議員や事故を起こした会社の社長がする

   ものだ。そういえば,最近の選挙でエリートとされる女性

       候補者が,土下座してようやく代議士に再選された人がい

       たが。
   
   このように,土下座はエラーイ人がするものだ。
 
1               学者の地震予測 

                 朝日「経済気象台」2012・2・25
  

         外れても確率の問題であるとし,当たれば評判があがる。

    「ウイン&ノー・ルーズ」(負けなし) 
      しかし国民にとっては,
    「ルーズ&ノー・ウイン」(勝ちなし) 

 

1        飲酒三罪 (山形新聞)

 

  「飲酒運転車両への同乗」・・・「同情なき同乗」
  「運転者への酒類提供」・・・・「感謝されない酒類提供」
  「酒を飲んだ人への車両提供」・「未必の故意による車両提供」

 

   これらの場合「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」,
   さらに車両提供者も運転者と同じく免許の「取り消し」や
  「停止」 の行政処分を受ける。 

 

1         キウイ  

 

      果物のキウイはマタタビと同じ化学物質を持つ。家の猫二
    匹はどうしてかオリーブの漬け物をなめたがる。同じ成分
    があるのだろうか?。

 

1     福寿草

      「ひかり受け嬉々と咲きたる福寿草
             母なる大地に褒められたのか
                                  伊勢谷 伍朗
   
  春は黄色の花が多い。万作、ろうばい、サンシュウ、茶の花
    タンポポなど。冬過ぎて微笑みだす春の色。

 

1 「あなたはどこのワインが好きですか」
    「そうですね、人の家のワインが好きです」

 

1   「お茶の子」

 

    簡単なことをよく「お茶の子さいさい」というが、「お茶のこ」
      とはお茶菓子のことで、間食なので腹にたまらないことから、
    たやすくできる意味で使われる。

 

1 「女が女を演じると何かが足りない」杉村春子
   

       ケアワーカーがケアするとき、民俗学者が調査をするとき、
   足りないものが何かを深く考えさせる。鷲田清一
   

1   詩人 金時鐘さんの言葉 朝日12・3・27

 

  「東日本大震災は、現代詩という日本の詩の在りようをも破綻
       させずにはおかなかった。観念的な思念の言語。他者とかみ
   合うことの全くない、至って私的な内部言語。そのような言

   語で詩が書かれるいわれは、根底からひっくり返ってしまっ

       た」
  

   現代詩はわざと分かりにくくしているのか。独りよがりの仲間

       ぼめの同人雑誌のようである。まさに韜晦。
 
1  原子力が止まっても原始力を忘れずに。まずは薪、炭と七輪
      の用意を 。

 

1       母親補正

 

    親の身びいきで,わが娘を可愛いと思ってる。
    冷静な娘は「母親補正」といって笑ってる。
    親はいろいろ補正して子供をみるものだ。
      まるでレンズを補正して一番きれいと思う風

  景を撮るように。

 

1    親子

 

   「盗人を捕らえてみれば我が子なり」

       付句

    「さやかなる月をかくせる花の枝

                         切りたくもあり切りたくもなし」
     枝(子)を切るに切れない親の気持ち。

 

1    生き甲斐  萩本欽一

 

   欣一「母ちゃん,イキガイ(生き甲斐)って何だろう」
   母 「それはね,ホタテ貝みたいなもんだよ」
      
1      桜

 

  深夜,大木の桜の木がたくさんあるところに立っていると,
      春雨が降るような音が絶え間なく聞こえた。それは桜の蕾
      がひらく音だった。 
        朝日2012・4・13「声」
   
    家の近くにも桜の森があるが,東八通りが近いので蕾の
      ひらく音など聞こえないだろう。しかし一度は聞いてみ
      たいものだ。 

 

1       法は法の外に法をつくる。

  

     すなわち秩序は秩序外をを作ってそれを常態化し,また安

     定する。 
   
   しかしある時代の社会秩序はそれ自体に矛盾をはらんでいる。
   その矛盾が時代を変化させ,新しい社会を生み出す原動力と
   なることがある。 
   
     正義や秩序はそれ自体矛盾をはらんでいるため,社会は絶え

     ず変動の要因を含んでおり,人はこの変動の中で,安楽の中

     の不平等を辛抱するか,沈滞した貧困の中の平等を選ぶか,

     さらに社会自体の変革を選択するかを迫られる。
   
   社会に発生する矛盾の原動力は,人類のトリレンマとされる
   人口,資源,環境であるが,人類は絶えずこのトリレンマを

     調整しようとして様々な社会体制を選択してきた。現在この

     トリレンマの解決に「持続可能な社会開発」が目的とされて

     いるが? さて!

 

1      今朝の朝日俳壇の俳句 2012・4・23
 

   「平泳ぎだけの蛙に雨落ちて」(神戸市)大塚英登 

    確かに蛙は平泳ぎしかしないし,おもしろいいい句だ。
 

     しかし私は確かに見たのだ。
     「鮮やかに抜き手を切るや初蛙」

 

1   春が来たので陽気のかげんで変な句ができた。
     (2012・4・11)
    
      極楽の辺地の春に遊ぶかな
      極楽の野辺や閻魔と若菜摘む   
    

            春暁や厠にうすき蚊の羽音  

 

1    落語の「真打ち」
 

   江戸時代,最後に出演したものが蝋燭の心を打って(切って),
   火を消したとする説が有力。 

 

1     鳩山前首相イラン訪問。

  政府代表の訪問と同じ頃に訪問。
  

   国民の不評。
    「天声人語」が紹介した川柳。
    「出てきては政治引っ掻き廻す鳩」
    「口害が糞害よりもひどい鳩」
     ・・・・・・
      勝手にイランまで出かけて

   「まったくだイランことする伝書鳩」

 

1    「辞書は,言葉の海を渡る船だ」
      三浦しおん 『船を編む』光文社
      ・・・・・・・
   私は本箱二つ分の辞書を持って,大海原をまだ漂っ

         ている。でも少しは進んでいると思っているが。
    
     同書のもう一つの言葉。観覧車について。 
    「楽しいけど,少しさびしい乗り物だといつも思う」
      ・・・・・・・・・・
   そういえば,子供が小さい時に観覧車に一緒に乗った
   が,そのとき,飛行機に乗っても感じない妙な違和感

   を感じたことを思い出す。

   それは地上が見えながら,地に足が付かぬという不安

   感なのか。

 

1    ジャッキー・ロビンソンの言葉。
       黒人最初の大リーガー,

 

     「不可能の反対語は可能ではない,挑戦だ」
      「天声人語」2012・4・26 

         さらに続く「天声人語の」言葉, 
   
     「厚い人種差別の壁をバット一本で打ち砕いた選手であ

          る」。
     私はヨーロッパやアフリカでいろいろな人種偏見にあっ
         たが,今でも世界中で人種偏見に対するこの挑戦は続い
          ている。

 

1    状況は変わらなくとも,自分は変われる。自分を取り巻

         く環境のせいにするのは逃げだ。

 

1             街の再生

 

   今や町にはスーパーやショッピング・センター、さらに

       大型のブックセンターができて,従来の個人店は衰退し,
   町はシャター街となってしまった。まるで大型店舗とい
     うアミーバーによる細胞の植民地化のようだ。        
   
    アラブでは原住民と植民地者かなり棲み分けができたが,
    それはアラブという個性の強い文化があったためでもある。
    しかしアラブ人の農地は収奪され,生活の基盤は大きく変

  わってしまった。
    

   その植民地は独立し,外国人の農地や工場を国有化した
   が,それ以後もまだ経済的な困窮は解決されていない。

     一方、日本の街々では今劇的な変化が行われている。大

       型店の進出による古い商店街のシャッターを下ろした風

       景である。植民地化された街では人々は必死に生きてい

       たが。  
   
     しかしこの日本でも何らかの回復の方法はあるはず。日本

   人の感性と理性が,住みよい人情味豊かな生活の場を再生

       させるのではないか。国内の見えざる植民地化の状態を是

       正しなくては,本当に豊かな生活環境は生まれない。
                         (2012・5・9)

 

1 「La fete passee,adieu le saint」(アクサンテーギュ抜き)
   (祭りが済めば聖人に用はない)
   
   「恩は忘れがちだ」の意味。

 

1        東北大の日本の人口予測 

             (朝日2012・5・16) 

  

     今から1000年後の3012年5月5日には,子供は一人となり,

       翌年の五月には子供の数はゼロとなる。
   ・・・・・・
   総務省の国勢調査によると,国内に住む日本人の人口は約1

       億2535万人(2010年10月時点)で,5年間で約37万人減少。

        一方,国立社会保障人口問題研究所が今年1月に発表した将

       来人口によると,60年までに人口は3割減る見込みだ。・・
  
   人口減対策の一環として外国人をどう受け入れるか,「異国
   人共生社会」実現検討会議を立ち上げ,外国人に合った生活
   環境を整備し,さらに住みやすくする環境が必要だ。
    (朝日 2012・5・22)
      ・・・・・・
      日本は老人ばかりの国となり,80歳になるとお祝いに鯉
      のぼりをあげるようになるのだろうか。安心してを子供を
    産める社会を作り,また移民政策を考えないと。

 

1   男が泣くのは生涯に只一度・・自分が死んだときだけだ。

 

1   若き日はわが鼾に妻悩み 老いたる今は妻に悩める

                                          某家人

 

1       マッチポンプ(和製語)
  

     マッチで火をつける一方でポンプで消化するという意味。
   転じて意図的に自分で問題を起こしておいて,自分でも
   み消す人。またそうして不当な利益を得る人。この言葉
       は1966年の政界不祥事(黒い霧事件)で広まる。

 

1   「そば前」・・そばの前の一杯。

 

    酒のつまみは,焼き海苔,板わさ,卵焼き,など。
    そばを食べるときの楽しみ。

 

1     痩せる

 

     奥さんが少し太りだしたので熱心に水泳教室に通い出した。
   亭主は心の中で思ってる。
     「河馬やふぐは水の中で暮らしても痩せないのになー」

 

   ダイエットに励む人にある人が言った言葉。
      「河馬はどんなに痩せても河馬だ,ワニにはならないよ」

 

1            ペットで長生き

 

   30年ぐらい前から,人と動物の関係学という学問が誕生。
   動物が人の健康にどういう働きをするかの研究。

    「米国や豪州の研究者が,画期的な論文を発表しました。
  

      ペットを飼っている人の方が,そうでない人より,心臓

        疾患の退院後の生存率が高いというもの。65歳以上の高

        齢者のうち,犬を飼っている人の方が病院に行く回数が

        少ないというもの。犬や猫を初めて飼うと,頭痛などの

        日常的な健康問題が減るという結果も出ました。
   
    体の中に変化も起きています。犬と散歩すると,一人
        で散歩するより副交感神経が活性化します。・・・・
    また,犬や猫を見たり触ったりすると,脳の血流が上
        がることも測定されました。・・・・・

 

     犬はその忠実なことや犬との散歩の効果があり,猫は

  『ごろごろ』という鳴き声の周波数に癒し効果がある

   のではないか,と注目されてます」
                     太田光明 「飼い主の健康に寄与」

                              (朝日 2012・4・4)

 

1     我が家の猫

 

  家の猫に「死ぬなよ,死んだら承知しないぞ」というと,猫
    はじーっと私を見つめて,こっくりとうなずいた。かわいい
  奴である。

 

   「流星の先に猫ゐる異郷かな」 
       朝日俳壇 12・8・13 大船渡市 浜なつ子

 

 

1       心臓の寿命・「腸!いい話」

                         伊藤裕(慶応大)週朝12・5・25 
   
 「最新の研究から,臓器はそれぞれの時間を持っていることが
  わかってきました。心臓は,どのような哺乳類でも,一生で
  約20億回打つといわれています。心拍の速いものほど寿命は
  短い。
  

    ネズミの心拍数は一分間に50から80回ぐらい。人間の方がネ
  ズミよりずいぶん長生きですよね。人間も,脈が遅い人の方
      が長生きの傾向があります。

 

    では,最も早く老いる臓器はなんだと思いますか。腸と腎臓
      です。私たちにとって食べることと排泄することは,一日も
      休みにするわけにはいかない。その機能に関わる臓器が,実
    はもっとも老いやすいんです。
    ・・・
  臓器の時間の暴走を止め,長生きするためには,体内リズム
  をつかさどる「時計遺伝子」をキチッと働かせることです。
  時計遺伝子は光に合わせて働いていますから,これを正しく
  働かせるには,まずは光に合わせて生活すること。夜型の生
    活,徹夜は大敵です。・・・
   
    臓器を若返えさせるに,非常に有効な方法があります。私た

      ちの体内に存在するミトコンドリアを「鍛える」ことです。
   
   これが沢山いるのは,筋肉なんです。有酸素運動もいいです

     が,時には筋肉を鍛える無酸素運動もよい。酸素を不足気味

     にすることで,ミトコンドリアは鍛えられ,活性化してきま

     す。

     エネルギーもどんどん生み出されます。ジムでの筋トレ,自

     転車を一気に漕ぐ,といった「ちょいキツめ」の運動が,肺

     機能に問題ない方にはおすすめです」。
    ・・・・・・
  ミトコンドリア・・細胞のエネルギー生産の場。

 

 

1    『ピンピン,コロリ』

    帯津良一(帯津病院名誉院長)
       (週朝 同上)
    
   「命のエネルギーを高めるのに必要なのはなにか。それは
    攻めの養生です。もっとも簡単にできるのは『食の養生』。
    
    まず一つ目の方法が好物を少し食べること。ああ食べた
    い,と思うのは体が欲している証拠なので,食べたいも
    のがあれば体が欲している証拠なので,タイミングを逃

    さないのがコツ。私などは月に1・2度のカツ丼が楽しみ

          でね。・・・・・
 
    二つ目の方法は,旬のものを食べること。・・・うまい!
    と心から感じることで,食品の栄養価を超えた健康効果が

          もたらされる」・・・・・・   

    私の病院に来る方は7割ががんの患者さんですが現場で経
          験を積むうちに,人間は前向きにはできていないことに気

          づきました。もともと人間は悲しい存在。その哀しみを最

          大に癒すのは希望でしょう。
     
    希望を持つという意味では「余命」を知るべきではない。
    今の時代は医者が家族ばかりか患者さん本人にも余命を告

          知する場面が多いですが,人の寿命にまで医者が踏み込む

          のは僭越ではないかと思うし,余命を知れば落ち込み,日

          数を意識することがストレスにもなります」。  

  

      余命というのは本当にわからないもの。・・他の病院で余

    命数ヶ月といわれて,私の病院に来て,数年間生きた人も

          います。
   「日頃から死生観を持って生きることが大事ですが,それは

          余命を知ることとはまた意味が違うんです」
    
    「医者に余命をたずねるのはやめましょう」

 

 

1   『死ぬまで寝たきりにならない体をつくる!』
          宮田重樹(宮田病院長)(週朝 同上)
    
    「高齢者の6人に1人が支援や介護を必要としている」。
     その数は485万人。 
    
    「介護を必要とせずに自立して生きる期間を『健康寿命』と
     呼びますが,男女の平均健康寿命は76歳で,平均寿命と
           の間に7年間の開きがあります」。この期間をいかに短く
     するかが問題。
 
    「高齢者の寝たきりの原因で多いのは,脳卒中,老衰,転倒
       による骨折などいろいろだが,これらは死亡の直接の原因
       ではなく,これらの病気やけががきっかけで起こる『・・

    ? 症候群』 ,つまり使わない体の能力が退化することが

           原因 なのです。
      
     体の能力を弱らせず,「年だから無理だ」などと気持ちの
           上であきらめないこと。「また年をとると人に世話しても
           らいたくなるが,それもキケン。人から受ける世話が老い
           に拍車をかけることもあるんです」

       「年をとるほどに『自分でやる』と言う気持ちを養うべき
              なんです。人任せの王様生活は。寝たきりへの近道です」
   

          散歩だけでなく,筋肉や関節をまんべんなく使うこと。
            散歩だけでは十分な運動ではない。

 

1    人は生きるためには「根拠なき成功への確信」が必要で
    ある。

 

1     相撲と角力

 

      「相撲」とは相なぐると書くが,おなじ相撲でも「角力」の
     角にはくらべるという意味があり,まさに「力くらべ」と
     なる。この言葉の方が,ふさわしいと思うが。  

 

1          ある夫婦げんか

 

  「おまえは俺じゃないとつとまらないと思って結婚したんだ。
     深い人類愛だぞ」
    
   夫婦仲は普通,愛情,友情,戦友,人類愛と進むが,この夫

       婦は一気に人類愛に進んでいる。
   これは,その男の深い愛情かそれとも諦念か?
       (2012・6・4)

 

1     地震のひそむ自然

 

  「日本の自然は美しい,しかし地震が怖い」とよく言われ
   るが,地震が潜むから,そしてその自然の中に人々の命
   が潜んでいるからこそ,自然がいっそう美しく見える。

     ・・・・・・

               桜が美しいのは,桜の木の下に死体が埋まってい

     るからである。梶井基次郎 

 

1       「名医が伝授する長寿の極意」

               (下)(週朝 2012・6・1)
   
   ①「なぜこれは健康にいいのか」小林弘幸教授
     腸内環境を整える三つのポイント
     1 発酵食品や乳酸菌をとって善玉菌を増やす 
     2 善玉菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖を取る
     3 悪玉菌をやっつけること, 納豆など

  

       朝食は絶対に取ること。朝一番と食事前に水を取ること。
     ジョッキングよりもウオーキングの方が健康効果が高い。
     走ると呼吸が速くなり副交感神経のレベルが下がる。
     また夜の方が気分的に落ち着いてできる。

     自律神経のリセットのコツは「ゆっくり」。
     話すとき,食べるとき,歩くとき。すべて動作をゆっく
     りすると自律神経が整う。

  

    ② 「我慢するから老化する」和田秀樹教授
     年をとるとまるくなるというのは勘違いで,人付き合
           いがむしろ下手になるからである。男の老人の孤立化。 

     高齢になったら食べたいものを我慢したり無理なダイ
           エットをすると,むしろ寿命が縮みQOL(生活の質)
           がさがる。

 

1             中国の砂漠化

              (中国通信 2007年6月)
    
    中国の国土の18%,約174万平方キロが砂漠化。
    原因 過伐採        32.4%      
       過放牧        29.4%
       過剰耕作         23.3%
         水利用の失敗       8.6%
         砂丘の移動        5.5%

    中国の砂漠化は年2千平方キロにおよぶ。
    その黄砂は日本にもおよび精密機械,航空機への影響も大きい。 

 

1     金閣寺の金箔

 

   1987年に金閣寺の全面張り替えを行ったが,使った金箔は10.8
   センチ四方のが20万枚。費用7億4千万円。
     しかし金箔20万枚の重さは約20キロ。なんか少ないように思え

   るが金はよく伸びるのだ。

 

1      十死一生

 

    「十死一生」とは「九死に一生」を強めまず助かる見込みのない

         ことをいいう。戦時中は「十死零生」という言葉があったが,
     これは特攻隊のように出撃したら生きて帰れないことを言った。

 

1    アメリカのマイノリテー

 

   アメリカの人口全体に占めるマイノリテー(非白人)は36.6%。
     しかし1歳未満ではマイノリテーの割合は50.4%,いずれ人口
     構成は逆転することになる。

 

1      ダットサン

 

      1914年に設立されたダット自動車は,出資者の田,青山,竹内
     三人の頭文字(DAT)をとっもので,また「脱兎」のごとく速

   く走るの意味でもある。1932年に小型乗用車が完成し,ダット

   の息子だからDAーTSONとした。しかしSONは損に通じるので

   SUNとした。
   太陽には,誠意を尽くせば思いは天に通じるという気持ちも込
         められているという。
    

1            漂流物の届け先

 

   普通,落とし物などは警察に届けるが,最近の新聞で見た漂流物
   の話。
   ある人が海辺で釣りをして重い物をつり上げた。つり上げたのは
   ルックサックで,中をあけたら大金が入っていたので警察に届け
       出た。
   すると警察は金は警察だがルックサックは町役場に届けるものと
       いわれたと。何とも不思議な話だが,遺失物に違いないだろうが?。
   それとも漂流物の扱いは違うのだろうか?

 

 

1               木魚

 

    お寺で坊さんがお経を上げるときに木魚をポコポコと叩くが,なぜ木
    魚を叩くかとかというと,魚は寝るときも目を開けているので,坊さ

  んも魚の勤勉さに習って眠らずに修行するためとのこと。目をつぶっ

  て寝る魚もいるし?,木魚でリズムをとりながらうまく居眠りしてる

  坊さんもいるけどね。

 

1        金さん銀さん

 

  あるアナウンサーが,100歳になった金さん銀さんにお祝いのイン

  タビューをした。いろいろ話をして今後はという話になると,金さ

  んが銀さんに「老後どうしようかね」。
     ーーーーーーーーーーー
  そんな元気な気持ちを持たないと長生きはできないなーと,思いま
  す。  (2012・7)

 

1    吉村作治さんの話(要約) 2012・5・14 3ch
 

      教授とは研究者だが教育者の資格を持ってない。それに人格
       者は少なく,むしろお荷物的存在。結局いい教育者は少ない。
     それにいい教育者としての先生は分かりやすく教えることが

   大事です・・

 

1            「粋」
 

   九鬼周造の「いきの構造」とは違うが,別の粋な解釈。
   粋は次の三つの要素からなる。
  

    愛嬌の良さ・・・どんな人にも愛嬌よく,世渡りには愛嬌。
            女は度胸で男は愛嬌。 
    意気地・・・・・物事の正邪をまげぬ心意気。
    諦めの良さ・・・宵越しの金を持たない,初鰹は女房を質に
                                 入れてもという気っぷと(女房も質へとい

            う)諦めの良さ。

  

      しかし江戸も次第に地方人が増えてこのような心意気も廃れ
          てしまう。
    このような「粋」から資本主義(近代社会)は発達したろう
          か,とふと考える。むしろ地方人が新しい経済社会を作った

          のでは?。

 

1    「クランボンがぷかぷかわらっているみたい
                          春の小川はゆかいに流れる」
        (名古屋市)中村桃子 朝日歌壇 2012・5・21
    
   さてこのクランボンとは,アメンボとも小生物とも,さらに蟹
   の吹く泡とも,いずれにしても春の楽しい小川の光景が目に浮
       かぶ。
    
1        「白い目を向ける」

   昔中国の隠者が,嫌な人には白目を多くして応対したことから。

   好意を持った人には黒目をきらきらさせたという。この目を

  「青眼」という。

 

1      「つぬけ」 

 

   釣った魚を一つ,二つ,三つ・・・・九つ,と数えて,十尾以上

   になると,「つ」を使わないので,十尾以上釣ることを「つぬけ」

   という。

 

1               家族とは

 

       遊んでは金をせびり家族に迷惑をかける子供に父親の怒り。
    「血がつながっているからといって家族に迷惑をかけるの

         は家族ではない。やるべきことをやって家族になるんだ」

 

1          私大の定員割れ 

 

   日本私立学校振興・共済事業団の報告。朝日 2012・5・31。
     2011年度の4年生私立大学572校を調査。約4割にあたる323

         校が定員割れ。うち入学者が定員の8割未満が107校,5割に

         も満たない大学も16校ある。
    ・・・
   司法試験のための大学院も次第に減って,一部の私学の危機が

   高まっている。      (2012・7・8記)

 

1  「青春なんて若い奴には勿体ない」
     新聞にて某氏?
    人は老いてはじめて青春の輝やかしさと,

    その貴重さを知る。

 

1    「時間も原材料の一つです」
             朝日12・7・11
  

      日本の伝統工芸とのコラボを求める米の芸術家。
    アメリカは「Time is money」
    日本はゆっくり時間をかけて作る。
    ・・・・・・
    すべての芸術作品の中にそれ固有の時間が流れている。
    絵画でも彫刻でも音楽でもそして小説でも。

 

1        「雲の涙湖」(Lake Tear of The Clouds)
      こんな名前の湖がある。ハドソン川の水源,アデイロン
          ダック山地。
     訪ねてみたいような名前の湖だ。

 

1    スーパーで聞いた夫婦げんか。

      朝日「いわせてもらおう」
   

    妻「もうろくじ」
    夫「誰がもうろくじじいやねん」
    妻「もう,6時って言ったんや」

 

1         たまには亭主の言いたいこと。
  

     「おーい,いつまで寝てるんだ。もう10時だぞ。気の利い
          た奴は昼飯食ってるぞ」

 

1      社説

 

   「床の間の天井」とは「社説のこと」と天声人語。
    あまり見る人はいないから,と。
    ・・・・・
    毎日読んでますよ,赤ペンもって傍線引いて。

 

1           指揮者  飯森範親 

                          朝日12・7・1
    
  「『すぐれた芸術家はまねる。偉大な芸術家は盗む』。僕も,盗む
        ことのできる音楽家になろうと学生時代から思ってました。ある
        程度才能があればまねはできる。でも,相手の懐に手を入れるだ
        けの思慮や洞察が備わっていないと盗めない。そうゆう本質を突
        いた言葉です」
        ・・・・・・・・・・
   それはあらゆる芸術そして学問でもいえる言葉。

 

 

1   梅雨空に屋根職小さき浅草寺         玉川 一郎    
    梅雨明けぬ猫がまず木に駆け上る         瓜人
  

    梅雨はれや蝶限りなき蓬原                       木下 杢太郎

                 

 

 

 

 

 

 

  


       一寸いい話 28

 

 

 

 

 

 1   炎天を来て燦然と美人たり       久米 正雄
     雲の峰見る見る雲を吐かんとす     寺田 寅彦
   

         千枚の青田 渚になだれ入る      佐藤 春夫 

 

 

1               知っていても損でない話
      
         ・  ドーナッツの中があいているのは,油で揚げるときに
     厚い具が爆発しないため。
   ・  タマゾン・・多摩川に200種類の外来種。ピラニアも。
      それでタマガワとアマゾンをかけて。
     ・  薬の効能書きについて米国の作家の皮肉
     「奇跡の薬とは,効能書きの通りに効く薬のことだ」   
       
     ・  雲のことを「空の水道の蛇口」と。倉嶋厚
          「夕立や空の蛇口を一ひねり」  暮笛
     ・  チャンスはピンチの顔をしてやってくる。
     ・  経験は才能となり,人を育てる。
     ・  病気と闘うのでなく,病気と仲良くする。
      いたわってやると病気はほろりとしていなくなる。
     ・  滝・・水が竜のようにおどるところ。
      
     ・  蝶のことをフランスの詩人ネルヴァール
     「ひらひらと飛ぶ茎のない花」
     ・  使い古した一万円は再生してトイレの紙となる。
      どうりですぐったいような気がしていたが。
     ・ 「裏切りは常に裏切り者を裏切る」V。ユーゴー
   ・ 「冒険とは生きて帰ることだ」 植村直己
      
     ・  中国にとっての北朝鮮
      崩壊させない。崩壊すると大量の難民が中国に押し寄せる。   
      韓国と統一すると民主国家となって親米化し,中国は孤立

      化する。従って多少やっかいでも今のままがよい?。
       
     ・  日本は四季の国ではなく五季,一ヶ月の梅雨(雨季)がある。
     ・  老の「おいかんむり」に「子」の字を入れると「孝」となる。
     ・  能天気・脳転気・脳天気
       ・  犬には躾は教えても芸は教えない。犬にも品格がある。
      かわりに飼い主が芸をして犬にくつろぎを。

     ・  トルコの猫はオリーブが好き。さすがオリーブの産地。
   

         ・  お袋・・袋に入れたお金を管理する人。
                  袋のなかに入れたように育ててくれる。 
          ともに尊敬を込めて。
   ・  生う瀬・豊かな水が草花を咲かせる瀬→尾瀬。
      
     ・  馬力をつける・・明治に吉原に馬肉屋ができ,遊び人が
              遊びに行くときに食べたという。 
     ・  ファイヴ・オクロック・シャドウ
           夕方うっすらとひげの伸びた男の顔。一日の労働の
           勲章。知的なOLが「そこがいい」と魅せられると

                            いう。
            

       ・ 「かせくり」 こんな光景はもう見られない。子供の頃母
        にやらされたのは両手に毛糸の輪をかけ,それを母が丸

        く巻き取っていた。それを「かせくり」というそうだ。
        それに薬罐の口に小さな 器具をつけそこにほぐした毛糸

      を通して蒸気で縮れた毛糸をのばしたものだ。
        もう見られない冬の風物詩。
        
 1            水魚之交

 

       魚と水のように親密で離れがたい関係。
     君臣水魚とも。しかし君に従うのは面倒。

 

1      君子は三端を避く

     (韓詩外伝・・漢の韓嬰伝)
   

         君子は他との争いを好まないから, 
       文士の筆端(文筆)と,
       武士の鋒端(武器)と,
       弁士の舌端(弁舌)を避ける。 

    

             筆端とは「書きあらわしたもの」
       鋒端とは「ほこさき」
       舌端とは「口先,物言い」

 

1   日本の三銘うどん
   

            四国の讃岐うどん
      名古屋のきしめん
      秋田の稲庭うどん 
          ・・・・・・・・・
      本場で食べたが,いずれも旨い。 

 

1                   夏来る。
   

            「涼しさや人さまざまの不格好」  子規

       旧暦では「文月無礼」と言い,今は「クールビズ」  

  

        そろそろ蛍の季節。近くを流れる野川では無理だが。
      「おおかみに蛍が一つ付いていた」    兜太  

    

              「武蔵野やわが墓あたり蛍まう」   暮笛
          (2012・7)

 

1       ラマダン(断食を行う月)

  

       イスラム教の五行として,信仰,告白,礼拝,喜捨,断食,

   巡礼がある。イスラムの国々は今頃はラマダンの季節か。 

   ラマダンは,イスラムの太陰暦で行うが,太陽暦とくらべ

   ると11日ほど短い。従って季節は巡って夏の断食も冬の断

   食もある。

  

   断食の目的は,飢えや貧困を体験して貧しい人を思いやり,

   神の恵みに感謝するため,とされる。また欲望を抑えて良

   い行いをしやすくし,さらに同じ苦しみに耐えることで,

   信者同士の連帯感を高めるものである。

 

   朝方,日の出を知らせる号音と共に断食は始まり,日没を

   知らせる号音を待つように食事は始まる。スープに始まり

   肉料理と遅くまで宴は続く。招かれて食事を共にしたのは

   楽しい想い出である。

   

 

1       俳人とは人非人

 

         金子兜太の父は医師で俳句の会を開いていた。会が終わると
     皆酔って決まって喧嘩が始まり,父が止めていた。
     それを見ていたお袋が「兜太,おまえは俳句なんか作っちゃ
         だめだよ。酒飲んですぐ喧嘩して,あれは人非人だからね。
         俳人は人非人と書くだろう」 
       金子兜太「人生の贈りもの」 朝日12・6・5(夕) 

 

1   長生きの秘訣・・・年をとったら不義理をする。
                       (2012・7・26) 

    しかし, 閻魔様には盆暮れを欠かさないこと。

 

1      「海外で学ぶしなやかな生き方」
        大沢智恵美(大阪)

 

    ドイツに留学中,先の見ないことに悩んでいた私に,語学学校のフ
    ランスの同級生たちは,「先が見えないのは当たり前,わかったら
    人生なんか面白くない」。それで私は元気になれた。
             朝日・2012・7・30

 

1         日本にも雪が降る

 

        今朝目が覚めてうつらうつらしていると,ふと戦後まもなくの新聞
    記事を思い出した。

    日本にも雪が降ると聞いて,イギリスの実業家が「日本も,文明国
    なんだ」と驚いていたと。

    その記事を読んで,そんな国だと思いながら日本と戦っていたのか
    と,あきれるような腹立たしいような気持ちになったことを思い出
        した。
        (2012・8・12)

 

1      商品の管理手法

 

    ”ABC分析という手法によれば,苦情の上位3~4件を解決すれ
    ば全体の八割が解決できるという経験法則 がある”
      大屋公二(元NTTドコモ社
     「移動通信 苦情に活路」 朝日 2012・7・30 

 

1   「白四葩逢わずにおりて食べず逝く」   
        朝日俳壇 12・7・30

    白四葩(しろよひょう)・・四つの花弁の白い花
                 あじさい。七変化。  

 

1  便秘解消法・・・TVにて
     よく笑うこと。笑顔を作り,口角を上げると腸が動く。
      ・・・・・・・・・・・・・・
     とすると落語は良き便秘薬となる,健康の元。

 

1           江戸の人口

 

         大阪の人口は40万,武士は1500人

    従っ大阪の町人の町は広かった。
   

     一方,江戸は人口100万,土地は武家地70%,庶民は15%,

   他は社寺。従って庶民は狭い長屋に住む。

   人口の割合は,武士の参勤交代などで江戸の人口割合はなか

   なかつかめないが,日本全体では武士(僧侶を含む)が全体

   の7%,農(漁師を含む)76~83%,工4~7%,商6~

   10%であった。人口は少ないが武家社会の人口構造。

 

1      レンタル彼氏

 

   現代はレンタル彼氏というのがあって,中年女性に
   利用されていると。そのうちレンタルじじいという
   のも出てくるかもしれない。親不孝な娘の説教役に。
               

1      「絆」

 

    オリンッピックの頃からか,「絆」と言う言葉が使われ出した。
    しかしこの言葉はもともと馬の足を縛って馬の自由な行動を束
        縛する意味だった。
        現代では,「離れがたい情実」(広辞苑)のことで,なんなく

    使いたくない言葉である。

 

1       猫のご先祖

 

   猫の元祖は,リビヤ山猫とのこと。それが家畜化されたもの
   らしい。とすると,猫は暑さには強いのか。「猫はこたつで
         丸くなる」のは冬のこと、家の猫は冷房からほどよい距離で
         寝ている。
       どうして冷房の効いてる場所に寝ないのかと思っていたが?
         (2012・8・19)

 

1     アンドロイド

 

     アンドロイドとは,自動で動く機械であるロボットのうち人
   間そっくりのものをいう。ギリシャ語でアンドロとは「人間」,
   「男性}を意味し,オイドとは形が似たもの,の意。
    19世紀のフランスのSFに登場した言葉。

  

       最近は人間そっくりな精巧なアンドロイドが銀座や新宿を
   歩いているらしい。要用心。

 

1       水飯

 

       暑い日が続く。土用に「涼風献上」というしゃれた暑中見舞い

   を頂戴した。

   「かき氷」は近頃食べてないが,懐かしいのは「水飯」である。
       ご飯を冷たい水で洗って,漬け物でさらさらと食べるあの音と
     食感が懐かしい。夏の風物詩。
    
     水飯のごろごろあたる箸の先             立子

 

       冷飯を法師のごとく清水もて
             洗いて食ひぬ夏の夕暮れ     与謝野寛

 

1       あつい!!
   「政治家の顔見たくなき暑さかな」  三上触男
          

1      ロンドン・オリンピックのプール

 

  「日本と海外のプールの水の硬さの微妙な違いを感じる。
     他選手より水から1~2ミリ高く体を浮かせることもできる。
     その分,わずかだが水の抵抗を受けなくなる」
       200メートル背泳 銀メダル 入江俊介

 

1  被爆・・・・爆撃を受ける。
           特に原水爆の被害を受けること。
   被曝・・・・放射能にさらされること。

    8月15日がまた過ぎ去った。
    二つの被害を残して。

 

1   「手は履歴書」本田宗一郎
      ・・・・・・・・・・・
  「わが履歴いかがあらんと八十の
             しわ深き手をじっと見つめる」

    何もなし。いや「秘すれば花ある手」

 

1         将棋の話  「天声人語」2012・8・18

 

    将棋で長考に妙手なし,という。時間をかけても巧い

    手が浮かばないと,羽生善治二冠。
    要は『ムダな情報は捨て,たくさん考えないこと』。

        何を捨てるかで,積んできた経験が生きる。
  

      棋士はこうも語る。『どちらの手にするか1時間,2時間と
        考えた末に三つ目の選択肢が浮かぶ。正しいときもあるが,
    外れが多い気がする』
        ・・・・・・・・・・・・
       長鞭馬腹におよばず 

 

1         タップダンス

 

     タップダンサー,熊谷和徳 再び米国でのタップの修行。
    「タップは,奴隷となった黒人の魂の尊厳を映す踊りだ。
     踊る資格が自分にあるのか。肌の色を含め,すべての差

           異は個性でしかない。そうつき抜けるには。時間が必要

           だった」
          朝日 2012・8・16(夕)

 

1    中村恵理 国際的なソプラノ歌手
     
     「歌うことは,自分が何者であるかを追求すること。
      欧州のクラシックの現場に,今なおアジア人差別が
    根深く横たわっているのを感じる。
      でも,溝が大きいからこそ,心から伝わったときの
    感動は何倍にもなる」
          朝日 2012・8・20(夕)
       ・・・・・・・・・・・
    優越感は劣等感の代償作用である。
      優越感は自信のないものがもつ心の病気。

 

1   「山一つ背負って鮎を掛けにけり」
          朝日俳壇 (12・8・20)
       (長岡京市) 寺嶋三郎
           涼しい谷川の風を感ずる。

 

1    雷

 

    神々がサッカー遊び
    雷を蹴りあって 
    時々場外に飛ばしてる
 
1    あらためてみる敗戦の日々
    
   太平洋戦争勃発    1941年12月7日 ハワイ時間 
                1941年12月8日 日本時間

     敗戦         
     ポッダム宣言受諾   1945年8月14日
    
        終戦の詔勅           8月15日 
                日本の終戦記念日
    
   降伏文書調印            9月2日
                外国での終戦記念日
    
    日本国憲法公布       1947年5月3日   
    サンフランシスコ条約  1952年4月28日         

  

         あらためてみる見る敗戦の歴史。
         8月15日は記憶するが,9月2日は忘れてる。 
        (2012・8・24)

 

1         幸福な誤訳
    
    戦前,ある債権法の高名な学者が,若いとき,ドイツの学

          者の新しい学説をもとに斬新な学説を立て,高い評価をえ

          た。
    
    1960年代初期,私がまだ30歳ごろ,中央線のある本屋で
    見つけたその分厚い著書は,1万円の値段が付いていた。
    月給がまだ4~5万円ぐらいの身にはとても買えるもので

          はなかった。

    その後講義録元にした債権法を手に入れてその学説を知っ

    た。本を見てるとその先生の講義の時の謹厳な顔を思い出

          した。
     何年かしてその高名な学者が亡くなって後,ある若い民法
    学者はその著書で,あの重要な部分は誤訳だったと指摘し
          ていた。しかし,それは幸福な誤訳だったと,評価してい
    た。

  

      翻訳は難しい。わたしも何冊か訳したが,その中で誤訳を
    指摘されたことがある。時間の距離を長さの距離と勘違い
    していた。またフランス語の翻訳で時制を間違えたことが
    ある。しかしこれらは決して幸福な誤訳ではなかった。何
    も生まれなかったから。

   

        世の中には幸福な誤訳があり,また誤訳が新しい想像と
    なることもある。決して奨励するわけではないが誤訳を

          恐れることなかれ!? 
     

                      小林秀雄  翻訳について

    「どんな翻訳にも,空気の中に酸素があるように誤訳

     はあるものだ」  (2012・8・26) 

 

 

1               三島由紀夫と刑事訴訟法

 

         東大の団藤重光教授(後,最高裁判所判事)は刑事訴訟法
     の大家で,教授時代に沢山の答案の中で最も優れていたの
     は平岡という学生の答案であると高く評価し,教授はその
           答案を大切にとっておいた。
     後にその学生は三島由紀夫とわかったが,教授は自分の講
           義をもっとも良く理解していたのは三島君だと言っていた。
     当の三島由紀夫は,その刑訴の教科書で文章を学んだとい
           う。
     ・・・・・・・・・・・・・
    刑訴はなんか苦手な科目だったが,大学院では鴨教授のレ
            ポートを何とかまとめて卒業できた。しかし法律の本で文
            章力を磨くとは,考えもしなかった。たしかに団藤教授の
            本も論文もよく読んだのだが?(2012・8・27)

 

 

1        クリスチーヌ・ラガルド IMF専務理事
     
     「人生では自分の犯した間違いや,つまづきから学ぶものです。
      そしてそれを乗り越えて前進することを決意するのです。
      失敗は人生の一部であり,恥ずべきことではありません。失
      敗に足を取られているべきではないのです。もし最初に目指
      そうと思った方向でうまくいかないときは,別の方向を目指
            せばよい。立ち直り,頑張り続ければよいのです」 
        (朝日 2012・8・25)     
          ・・・・・・・・・・・・・・
    彼女はフランスでもっとも難関で最高の出世コースの学校と
    いわれるENA(国立行政学院)の試験に二度失敗した。
      しかしパリ第十大学を出て,さらにENAとおなじ国立学院

            のエクサンプローバンス政治学院を出て,弁護士となった。
      さらに国際機関に移って,IMF総裁となったが,ENAに
            落ちたことを恥じることなく述べている。
      
      まさに人はつまづきから学ぶももので,そんな人の方が,人
      間味もあり,懐も深いように感じられる。人は失敗からより
      多くのものを学ぶようだ。

 

 

 1           親と同居したくない子供の割合
    

             スエーデン・・・・・・・・・7割強
       アメリカ・・・・・・・・・・5割
       フランス・・・・・・・・・・4割
       日本・・・・・・・・・・・・1.5割        

      欧米では”家族は適度な距離を保った方がお互いに大事に
      できる。そん考えが強い”とコメントあり。
           朝日 12・8・20(夕・「窓」)
       ・・・・・・・・・・
     日本は伝統的な家族制度や住宅事情もあろう。なにせ都

     会の土地は高く,資産も少なく,良い養老院も少ない。
       親子三代仲良く暮らす,その忍耐と譲り合いが大切な世
       界だ。
  

1            仙台空襲 1945年7月10日 
  

    すでに67年がたつ。しかし今も記憶が生々しい。
        死者・1066人。市街の40%喪失。
     生き延びたが,翌日仙台駅前まで行くと,市の中心は焼け
         野原,駅前からはるか青葉山まで見通せた。あちこちに亡

   骸,ただ呆然と立つ。
      
      1945年3月10日。東京大空襲 死者10万人。負傷者4万人。
    家を失った人100万人。東京は106回の空襲を受ける。
     
      空襲は日本に約1000回。東京に限らず,神戸に128回,次

    に名古屋56回。
    1944年末より空襲は熾烈となり,200以上の都市が爆撃を

          受け,それも無差別の絨毯爆撃であった。死者33万人,負

          傷者43万人,被災人口970万人, 被災面積約6万4000ヘク

          タール,日本の全戸数の約2割にあたる223万戸が被災した。

  

        非戦闘員の 市民への爆撃は,非人道的行為であることは原
    爆と異ならない。日本はただ沈黙している。 

 

 

1            天麩羅・語源考

  

     天麩羅は好物であり,その語源にも興味があった。前にポルトガル
   語のお寺(Temple?) が語源と聞いたことがあるが,どうも怪し

       い。
  

     最近の資料調査でわかったことは・・・。
   天麩羅の天とは天竺,麩は小麦粉,羅は夏の羅の着物というように
   薄い衣。従って天竺から伝わった薄い衣をつけた食べ物という意味。
   天竺(インド地方)から来た人が伝えた食べ物で,命名は山東京伝
   とされる。

 

    しかし語源の天麩羅は,ポルトガル語のTemporas(齋時)とも

        tempers(調味料)ともいわれている。ポルトガル人が寄宿して

        いたお寺(Temple)からではないようだ。
    

     こんなことを書いていると,しばらく行ってない新宿の天麩羅屋を

       思い出した。天麩羅と冷たいビールが目に浮かぶ。

 

1           「南蛮」とは

 

     さて次は「南蛮」の意味です。南蛮漬けや鴨南蛮は日常よく食べ

         るものだが,その「南蛮」とは?。
     (インターネットでいろいろな情報を拝借)
    
    その南蛮の語は次のようにいろいろな意味で使われている。
  

      ①南方の蛮人(中国で南方の異民族をさす)。
    ②タイ,フイリッピン,ジャワ(インドネシア)などの東南アジ
             アの島々。
    ③東南アジア方面から来たポルトガル人,スペイン人。
    ④とうがらし,カボチャ。
    ⑤獣肉の入ったもの。肉食しなかった時代,肉を食べる南蛮人を。
    ⑥ネギ,またはネギをいれたもの。(鴨南蛮)。
    ⑦とろみをつけたもの。
    ⑧南蛮ぶり。右手右足あるいは左手左足を同時に出す歩き方。
    ⑨南蛮きび。トウモロコシなど。
    
    そして料理は,
 

    ①鴨南蛮・・・・鴨とネギ
    ②南蛮漬け・・・イワシ,鯛を揚げて酢に漬けたもの。
                タマネギや唐辛子を入れる。
    ③南蛮きび(黍)・・とうもろこし。
    ④南蛮菓子・・・渡来した菓子,ポーロ,カステラなど。
   

        その他,南蛮と名の付くものは多い。

    なお,天麩羅の語源ともされるtemperoは「味付け」

          の意味があるとも。なんとも面倒な言葉。
    
1          日本の地震
  

      日本の国土は,地球の陸地のわずか0.25%だが,世界で起
    きる地震の約20%,活火山の数は7%をしめる。さらに台

    風や大雪にも見舞われる率が高い。
    2001年までの30年間の被害額は世界の16%をしめる。
      朝日 12・8・27 「世界の地震2割が日本」

 

1         最近,テレビで見るおかしな光景  食事と帽子
   

       かなり年配の俳優やタレントでも,少しは常識がありそうな人で
   も,食事の時に平然と帽子をかぶっている光景。目上の人と話を
   してるときも。
  

   子供の時,食事の時や人と逢うときは帽子を脱ぐのがエチケット
   と教わったが。むかし,千葉の大学の講義で帽子をかぶった学生
   がいた。注意すると本当に恐縮していたが,それはすなおないい

   感じの学生だった。そうありたいもの。(12・9・4) 

 

1     地球上で自分から一番遠いところ?

 

   それは自分の背中。自分の胸の前から後ろの背中までは4万
   キロの地球を一周してやっと届く。背中をかくのも大変だ。

 

   しかし,人間とはなんと大きな存在かと思う? 

 

 

1         吉川英治 「背中哲学」
    「どんなに豪快に笑い,磊落を装っていても,その背中を見

         ると,安心があるかないかわかる気がする」 
        (天声人語 12・9・6)

 

1  地はまだ暑いが,空は絹雲,もう秋の空だ。
   
     「父と子の浮子に秋風立ちにけり」 
       (日立市)加藤 宙 (朝日俳壇 2012・9・9)
     
    子供の頃よく父と釣りに行ったことを思い出す。自分の息子と
        は行ったのは釣り堀ぐらいだが,田舎と東京の場の違い,時代

    の違い,おまけに今の子供は忙しい,などなどが原因。子供の

        頃から受験,受験でゆとりがない。自然に親しめない子供時代

        とは,なんか人生の貴重な時期をノン・ストップで通過したよう。       

                (2012・9・10) 

 

1     特急と料金

 

    特急,超特急は時間を短縮して,その分料金は高い。時間の
    短縮を金に換算している。しかし途中の風景は金に換算され
    ていない。鈍行はゆっくりと時間と風景を楽しんで,それで
        安い。現代とは,なんか不思議な計算が行われる社会だ。い
        ずれ元に戻るかな?,時間の長さが尊ばれる社会が?
        (2012・9・10)

 

 

1            日本の人口と貧困

 

      日本の総人口は,2012年度,1億2665万9683人。昨年

    にくらべて26万人の減少。いよいよ人口減少か? 

    さらに問題は,貧困層の増加である。2012年3月現在,

    生活保護受給者は210万8000人で,過去最高となる。そ

        のため本年度の生活保護の支給額は3兆7千億円。これ

        は,法人税収入の4割にあたる。またこの額はOECD加盟

        国の中で4番目に高い貧困率である。

 

    ただ,日本の個人金融資産は1500兆円で,1000兆の財政

        赤字より高いので,なにか安心するような気分だが,その

        6割は60歳以上の世代が所有し,最近の経済状況では老後

        の生活のためと消費を抑制し,成長を抑えている。
    
   とはいえ老年世代がすべて金満家ではなく,高齢者世帯の

  1割が,3千万以上の貯蓄と土地などの資産を持つが,他方,

   貯蓄ゼロ世帯も1割を占め,さらに生活保護受給世帯の4割

       がこの高齢者世帯である。高齢者層の二層化が進んでいる。
   高齢者(化)社会とは,65歳以上の人口が全人口の7%を超

       える社会をいう。1970年に日本は高齢者社会となっている.

 

 

1   日本の高齢者人口 総務省 2012年央
 

   (総人口は上の統計と差異あり)

   日本の総人口      1億2753万人
        65歳以上     3074万人
         (内) 男    1315万人
             女      1759万人
        全人口の24,1%
        1947年以降生まれた「団塊の世代」が65歳と

                      なり始めている。

     65歳以上の人口は前年より102万人増
        75歳以上     1517万人  
        全人口の              11,8%
    75歳以上の人は全人口に対して12人に一人となる。
    
    日本の高齢化社会はじまる 。
    同年齢が多いのは心強いような社会の停滞を呼びそうで,
    不安なような気分である。(9・17)
 
1     争い必勝法
    ただ対立するのではなく,相手を呑み込み包み込んでいく。 

 

1     連歌師宗長の究極の庭

 

     庭を造るために沢山の木や石を配置してみた。しかし気にく
         わないので石や木を一つずつとっていったら,石が一個だけ

         残った。
     そこで彼は庭に青菜の種をまいた。

 

 

1      いろいろな話
 

   ①オスプレイ問題
      オスプレイはすぐれた機械で事故はすべて人為ミスとの
          アメリカの言い分。しかしそんなにすぐれていたら人為
          ミスも起きないと思うが。  

 

    ②「心の角々鉋をかけて 四角の家に丸く住め」
     ついでに四角な部屋を丸く掃き。

  

   「理性,判断力はゆっくりと歩いてくるが,偏見は群

            れをなして走ってくる」
        ルソー「エミール」(今野一雄訳)
  

   ③ある街の名前。 

    「ウラジオストック」は「東方を支配せよ」の意とのこと。
     ただし中国語では「海屋?」すなわち「ナマコの入江」とか。   
  

   ④結婚の婚とは,古代には結婚式は夜暗いときに行ったため。
      べつに結婚は女性にとって女の黄昏の意ではない。

      
    ⑤フランスでは,質屋に行くことを「叔母の家に行く」という?。
       またはmont-de-piete,「信心の山」ともいうが。  

    

         ⑥宇宙人を捜す必要はない。われわれがまさに宇宙人だ。

 

         ⑦人は時に人生の渋滞に巻き込まれる。しかし渋滞は必ず
            解消するものだ。

           

         ⑧ 頭が良いか悪いかは,親の遺伝よりは環境による。

 

 

1     「ある愚行は,他の者の財産である」 古人

   「蜜蜂が絶滅したら,人類は四年で滅びる」
         アインシュタイン

   

1       山で捨てていけないものは,ゴミと命。

         

1       危機は好機
  
1       つれづれに

 

     初釜・・年始のお茶会。

         初鎌・・6月の初めての漆とり。

     うるさいばーさん・・いないいないバーさん
   人生焦るなかれ・・心に一拍おいて,それでもだめなら
              体を一泊休ませる。

 

1   「学問も芸術も面白がることが大事です」丸谷才一

    人生は弾みで変わる。

 

1  アメリカという国の欠点の一つは「他国を手前勝手に
   理解することだ」
       天声人語・12・9・13

 

1     世の中無駄な説教が多い。
 

    釈迦に説法,馬の耳に念仏,馬耳東風,犬に論語,
    兎に祭文,牛に経文。(2012・9・18)

 

1       母性 
    

         「母性とは,抱く強さと同じ強さで放つもの」 森崎和江
       (天声人語 2012・2)
    

     どれだけの覚悟で言ったことなのか
                  君は知らない「好きにしなさい」
           今村こず枝(2012・2 朝日歌壇)
          

 

1      瀬戸内海

 

             環境浄化で海がきれいになった。
     水も澄んできたが,漁獲量が減ってきた。
     環境浄化,水清くして不魚住。
    

           魚が住めるほどの環境浄化とは?
     
1     「ハードボイルド」
 

     もともとは「固ゆで卵」のことだが,俗語では「ケチン坊」
     のこと。次第に「タフ,無情,非情」の意となる。
     1940年代には,小説のヒーローを指すようになった。

 

1      「ヘリコプター・ペアレント」
 

     頭上を旋回するヘリのように子を見守り,すぐ降りてきては
     指示や助け舟をだす親という,アメリカの揶揄。
        
      「へその緒」つき社会人。
       (天声人語 12・9・19)

 

1       蔵書

 

    沢山の蔵書を持つ井筒俊彦は,古典アラビヤ言の教師であ

            るムーサー・ジャルッラーハから「本箱を背負って歩く,
      いわば人間のカタツムリだ」と笑われた。
      師は「イスラームでやる学問の本なら何でも頭に入ってい
    るから,その場のデクテーションで教えてやる」と。
         (週朝 12・9・7)  
 

1      テレビで見たある料理屋
  

      生きている鮎をまず塩水に入れて塩水を吸わせ,それから
    焼いていた。鮎は海の味を知っているとはいえ塩水で苦し
          み,焼かれてぶるぶると体を震わせていた。
     
      亭主はとくとくと説明していたが,平然としたその顔を見

          るとそんなところでは食べたいとは思わぬ光景だった。
      鮎は好きだが,それゆえなんとも残酷な画面で,欧米なら
          まず映像にできないだろう。食べるものへの感謝の念など
          忘れた料理人の味など,さぞまずかろうと思ってしまった。

 

1 「料理の基本は皿洗い」 初心忘るべからず。

 

1 「空想は知識より重要である。知識には限界があるが,想像力
     は世界を包む込む」
        アルベルト・アインシュタイン

 

1  失敗経験と成功経験がバランスがとれていること。そこから
   進歩がある。昔から言う「失敗は成功のもと」
     

1        愛国心

 

     国内に問題があるときは,外部に敵を作り愛国心を高揚させ
   国民の意識を外に向かわせる。しかしその愛国心はやがて内
     に向かってくる。     

 

1                          「おす」

 

    空手などでの挨拶で使われるが,もともとは海軍の用語。
    エンジンの音のうるさい艦中では「おはようございます」と言

        っても聞こえにくいので,ちぢめて簡単に「おす」と言った。

 

1        「深川」の名の由来
 

    家康がいまの深川あたりに来て,土地の古老に土地の名前をた
    ずねた。古老はまだ名前はありませんと応えると,家康は古老
        の名を訪ね,それではそちの名前の「深川」にせよと。
    いい名前で土地にぴったりだ。

 

 

1      「シャン・ゼリゼー」(Les Champ-Elysees)

              の名の由来
 

    Elysee -(ギリシャ神話)極楽浄土。Champは畑や野原,また
        場の意。したがってこれは「極楽浄土の通り」の意と言うこと

    か。
    エリゼー宮(Le Palais de L'Elysee)は大統領官邸。

 
        それはまた, 英作家 ジェームズ・ヒルトンの「失われた地
    平線」(1930年) に登場する「理想郷」(ユートピア),
    またシャングリア,にも通ずるか。
    チベット語でShang→シャン地方,ri→山の意,la→峠。
    従って「山の峠」の意。
 
1  名バレリーナ・草刈民代の夫・映画監督の周和正行の一言。
      「触らぬ民にたたりなし」

 

1       実りの秋

 

   昔,一般の家では米屋さんで脱穀した米を買い,

     農家では家で新米の脱穀をしていた。
     今も自家用米を脱穀する農家があるだろうか。
       (12・10・15)

  

   「籾かゆし大和おとめは帯を解く」 青畝
   「検診の胸はだくとき籾こぼす」 (岡山市)大本武千代
         (朝日俳壇 12・10・14)

  

         同日の俳壇の老いの句
     「老い二人おのおの灯火親しめり」 (宮里市)  佐藤正雄
     「秋風や微笑むように老いの来る」 (横須賀市)佐藤博一

   「美しく老いて友来る敬老日」   (厚木市) 北村純一

   

        それぞれの秋の感慨。そして秋深まる。
     「裏をみせ表をみせて散る紅葉」 良寬

 

 

1    峰つくる雲もなごりや秋の暮れ    万太郎
           秋晴れの空目にしみる昼の酒     川口松太郎
   

     鹿の目のつぶらに悲し我を見る    畑 耕一