安藤 勝美「俳句 短歌 一寸いい話」

                                        37~38

             

                     

                           

                 一寸いい話   37

                     

                               2014・11・14~2014年大晦日

 

 

 

 

 

 

 

1   吊されし鮟鱇何か着せてやれ     鈴木 鷹夫     

    田鼠や薩摩芋ひく葉の戦ぎ      泉 鏡花 

 

    曼珠沙華牛が子猫を舐めている   

         (朝日俳壇 14・10)   下向 良子

 

    この樹登らば鬼女となるべし

                                         夕紅葉  三橋 鷹女

 

    ひとそれぞれ書を読んでいる

                                         良夜かな 山口 静邨

 

 

1       「秋」   木山  捷平

 

     新しい下駄を買ったからと

     ひょっこり友達が訪ねて来た。

     私は丁度ひげを剃り終わったところであった。

     二人は郊外へ

     秋をけりけり歩いて行った。

 

 

1      写真と武道

  

         「最近,写真は武道に通じると思うようになった。呼吸を整え,

    脇を締め,恐怖に固まることなく,反応できる状態に自分を

    置く」ことだ,と。

     福田俊司 野生のアムールトラを撮影した写真家。

 

1       「Aura・アウラ」

 

   「思想家ヴァルター・ベンヤミンは,本物に対面した人間がその

    迫力に押される感覚を『アウラ』と呼んだ。であれば,アウラ

    とは本物だけが持つ力と,それを感受するできる人間の中間に

    漂うものではないか」

                          福原義春  「道しるべをさがして」

                                   資生堂名誉会長  

                                                          朝日B 14・11・8

 

                         aura(アウラ)・・オーラ。霊気。

                                  ほのかな香り。

 

 

 1            小野妹子

 

          聖徳太子が随の煬帝に書を送る。

  

             「日出処天子至書日没処天子無恙」

 

  「日出ずる所の天子書を日没する処の天子に与う恙なしや」

   日本を日出ずる国,隋を日没する国との表現に煬帝が激怒し

   たので,使者の小野妹子は帰国後太子に煬帝の返書を紛失し

   たと報告。

   しかし紛失ではなく書の内容を知った妹子が帰国の船中で内

   容を知り破棄したとされている。

   (また,その後太子はなにぶん田舎者で國際礼儀を知らず失

    礼しましたとの書を送ったとされる・・)

  

   聖徳太子はその後もまた遣隋使を送っている。第一回は,

   600年,それ以後614年まで4回送ったが,日本は東アジア

   で唯一の独立国であった。その後遣唐使は約260年続く。

   しかし894年,菅原道真が唐の衰退や航海の危険を理由にこ

   の制度を廃止した。

 

   小野妹子は570~590年頃の生まれとされ,聖徳太子の守り

   本尊の如意輪観音を守るように命ぜられた。そのため実際に

   坊を建て、朝夕その仏前に花を供した者が、華道の祖とされ

         て池之端に住していたことから「池の坊」と称した。その後

         も代々小野妹子の塚を管理している。また小野小町は小野妹

          子一族とされる。

 

       

        

1    「朝日と夕日,心に残るのは」

       朝日新聞Bのアンケート。

         回答者2242人。

      うち,朝日30%,夕日70%。

    

   「朝日はすがすがしいが,さあ一日が始まるよ,励みなさい

    よと,どこか道を説くようなところがある。一日を終えて

    あかね色の空を仰ぐとき,人は我知らず詩心を膨らませる

    のかもしれない。

    歌も朝日よりも夕陽をうたったものが多い。

        「朝日新聞 天声人語 14・11・2」

 

1          政権交代

 

     日本人「近く総選挙だ,また首相が代わりそうだよ,

       日本の政治は安定しないな」

   アメリカ人「変わるっていいな!。アメリカじゃ四年

         に一回だけだよ」

   中国人「みんな羨ましいな,俺たちは自分で選べない

       んだよ」

      ・・・・・

   日本の政権交代の激しさは,実は人の羨むよい制度である。

         (14・11・17)

 

 1     しそ油の効用

 

   一日スプーン一杯のしそ油は体によい。しそ油は不飽和油

   で,青魚一匹分に相当する。それは高血圧や軽度認知症の

   予防になる。

   

1     カリフラワーの効用

 

   白いカリフラワーは生で食べると美味しい。

   また生チョコレートに混ぜたり,イクラ醤油に混ぜたり,

   数の子と合わせるなどすると非常においしいと。

   しかし近くのスーパーでは売ってないので,いずれ試し

   たい。 NHK 「ためしてガッテン・14・11・5」 

        (14・11・18)

 

1     衆議院解散 

 

     本日,2014年11月21日午後1時15分衆議院解散。

   しかし多くの重要な議題や問題を残したまま。

   

     アベノミックの効果 

       景気冷え込みの長期化

       実質国内総生産の減少 

     大企業と中小企業の格差拡大

       国内の会社の99,7%は中小企業 

       労働者の7割が中小企業労働者

     法人税の減税,中小企業の増税 

     消費税10%への危惧

     集団的自衛権の内閣のみでの行使容認

     特定秘密保護法の施行

     沖縄の米軍普天間基地の辺野古移転問題

     原発の再稼働問題

     中国・韓国との関係悪化

        靖国参拝問題

        尖閣諸島・竹島の帰属問題

     北朝鮮の拉致問題・核問題

     ロシアとの北方領土問題

     衆議院の定員削減

     などなど・・・・

     ・・・・・・・

     あまりにも未解決な問題が多い。

     そして解散で相変わらずの万歳三唱。

       解散ややけくそ気味に万歳す。 

       木枯らしや万歳すれば素浪人 

       アベノミックス繁った森の木下闇

         (2014・11・21)

 

1      世界人口白書・2014年版

       (国連人口基金・UNFPA)  

   

       世界人口・約72億5千万人。

   うち10~24才の若者世代約18億人。

   この若者人口の10人中9人は途上国。

    (したがって先進国の若者1億8千万人)

     また18億のうち5億人以上が一日2ドル以下の生活。

   さらに途上国の若者の6割近く(9億1200万人)が就職も

     修学もしていない。

   また毎日3万9千人の女性が18才未満で結婚。

   15~19才の女性が死亡する主な原因は自殺。

 

   この18億の若者は史上最大の力となり得るのに,多くは

   甚だしい人権侵害の状態にある。

                 

 

1           「その他の戦力」

 

   きな臭い時代となって,陸海空軍その他の戦力が問題となる。

   戦力とは何か,

   「兵器,兵力のほか,兵器の生産力やその輸送力など戦争を

    遂行しうる力」というのが戦力の一般概念だが,そうなる

   と現代の産業はなんらかの形で戦力と結びついていることに

   なる。すでにわれら戦力の中に暮らしており,だいだい人間

   自体が兵力であるので,至る所で兵力が歩いてることになる。

   しかし個人と兵力,この紙一重が重要。  

         (2014・11・24)

 

1       内閣改造と議会解散

 

  「内閣改造するほど総理の権力は下がり,解散するほど上がる」

        (佐藤栄作)

     改造で身の危うきに解散し 

 

1      中国の兵法・「遠交近攻」 

  

    遠い国と仲良くして近くの国を挟み撃ちするように攻め滅ぼ

    し,次々と領土を拡大する戦法。

    中国を見ていると、なんか良くわかる戦略。

       (14・11・27)

     

    

1                 懐石

 

   懐石料理などに使われる懐石とは,昔,旅の僧をもてなそう

   にも食べ物が何もなく,せめても空腹を押さえて下さいと,

         暖めた石を腹に当てさせたことに由来する。

         また空腹をしのぐ程度の粗末な食べ物をいみし,さらに茶の

   湯でだす簡単な食事を意味するようになった。

        

 

1     日本人のノーベル賞

  

       「日本語で学ぶ強み」

    益川敏英 2008年 ノーベル賞受賞

     (朝日 2014・11・26)

 

  「ノーベル賞を受賞して,中国,韓国に招かれて講演するが,

   彼らは『どうしたらノーベル賞がとれるか』を真剣に考え

   ていた。国力にそう違いはないはずの日本が次々に取るの

   はなぜか,その答えが,日本語で最先端のところまで勉強

   できるからではないか,と言うのです。自国語で考えるこ

   とができるのはすごいことだと」

     ・・・・・・

    あらためて日本語の良さを見直す。

 

1     登山事故多し

 

   格言・・・・・山は山の機嫌がいい時に登れ。

     体を鍛えよ・・人は脚から老いていく。

 

1              武蔵野=大盃の名

     大盃にても飲み(野見)尽くされぬ武蔵の野。

 

   武蔵野はとても広くて野を見つくせないから,一息では呑み

   (野見)つくせないとのしゃれで,それほど大きな杯のこと。

        (14・11・28)

 

1                   下に! 下に!

 

   時代映画では大名が通るときは,下に!下に!とふれて,町民

   は道ばたに土下座しているが,実際は違うようだ。

   まず下に!下に!とふれることができるのは,御三家のうちで

   も紀州家と尾張家だけだったとのこと。また町民はいちいち道

   ばたに土下座はしなかったらしい。ちょっと避けるぐらいで。

 

1     秋景色見つめる猫

 

   今日は久しぶりの晴天,庭の櫟の枯葉がひらひらと舞い,赤い

   烏瓜が風にゆれている。もう九歳になった雌猫がガラス戸越し

   にじっと外を見ている。どうしたと声をかけると,ミャーとな

   いて,こんな俳句をつくったと,つぶやいた。

    

             母猫に一目あいたきからすうり

     落ち葉舞うわがはらからのちりぢりに

  

         いたずらものでもしんみりとしている猫の姿が,なんともかわ

   いいのである。  (14・12・2)

 

 

1   世の中はいろんな人で成り立ってる 

  

        花粉症の木こり

      犬が怖い調教師

      演説嫌いの代議士

      寒がりのストリッパー

      お経の嫌いな坊さん

      動物嫌いの獣医

      散歩の嫌いな犬の飼い主

      人の肌に触れたくない医者

      勤め嫌いのサラリーマン

      講義の嫌いな先生

 

     これで不思議と世の中うまくいっている。

        

1                  奴隷     

  

   奴隷の英語はslaveだが語源はスラブ(slav)族のslavによる。

    かってヨーロッパでは東欧のスラブ族を奴隷として中近東な

          どアラブ諸国にに売っていた。 

                                               (14・12・10)

 

 1          Lady

 

     When a lady says no,

           She means perhaps,

           When she says perhaps,

           She means yes,

           When she says yes,

           She is no ( more) lady. 

   

           Berliner Tageblatt  1913       

                  (14・12・11 )

   

1    猿の群れと派閥のボス

 

   かって自民党の幹事長だった山崎勉氏は,まだ一年生議員だっ

   た頃,いつか派閥を持とうと思って猿の行動研究のため高崎山

   に通った。

   その時観察した猿のボスの共通点。

   「小柄で動き俊敏,毛並みつやつや,エサをとるのが一番早く

    自分でまず独占してから子分に配る」

   それを見て人間界のボスと同じだと思った。

   「物事を見抜く眼力を持ち,行動力がある。お金を集めて手下

    に配ることができる」と彼はよく語っていたと。

                             (朝日・14・12・6)

 

1              孫の金銭教育

 

   孫への小遣いは小銭で与える。使うとへるので子供は減るのを

   嫌がり,無駄遣いしないようになった。ある爺さんの話し。

     (14・12・13) 

          

1     今日は衆議院選挙

    吉田浩・東北大教授(加齢経済学)の話

 

 「若年世代(20~49歳)の投票率が1%下がると,若者1人あたり

  の経済的損失は年間で約13万5千円にのぼる。若年世代の投票率,

  と国債保障費の発行額や社会補償費との相関関係から試算した。 

    2012年の衆院選では60代の投票率が74.98 %に対し,20代は3

  7.89%。少子高齢化で若い有権者の比重は小さくなり,高齢者に

  有利な政策が進む一方だ。だが今回の衆院選でも,若者の立場を

  考えた政策を打ち出す政党は見あたらない。受け皿がないまま選

  挙権を18歳に引き下げても,効果は限定的ではないか」

     (朝日・14・12・13・夕刊)

       ・・・・・・

   

     天気と投票率の関係

     田中善一朗名誉教授(政治学)

 

 「投票率は曇り,晴れ,雨の順で下がる傾向がある。雨なら外出を

  控え好天すぎると行楽に遠出する有権者が増えるためだ」

  ・・・・しかし他の要素すなわち政権への期待によって投票率を

  左右すると。(朝日・同上)

     ・・・・・・・

  今日は投票日,冬晴れですがすがしい天気だ。近くの中学校の投

  票場は結構混んで若い人も多かった。もっとも2016年から選挙権

  は18歳に引き下げられる。そうすると新たに有権者になるのは18

  歳,19歳で計240万人が増える。まさか棄権率が高くなるのでは

  ないと思うが。

  しかし棄権者一人あたり13万円余の損失となるとすると、数百万

  人でいくらになるのか。投票率の結果が待ち遠しい。

    ・・・・

  今の世の中,「鼓腹撃壌」の世界ではない。腹鼓を打ち,大地を

  叩いて歌い、太平を楽しむほどではないのだ、選挙が少しでもそ

  んな世界を招くのだが。

 

1                 言葉遣い

 

     ある女性アナウンサーが白酒をシラザケと言っていたが,シロザケ

   ではないのかな?

  

   これもテレビの風景で,北海道のラーメン屋で客が「軽目」の量で

   と注文すると,若い店員が「ライト目ですね」と応えていた。 

         

         半眼(ハンガン)をハンメといってる女性アナ。

         (14・12・14)

 

1             衆議院選挙・自民圧勝

                                     (14・12・14)

           

    「今回の選挙は解散というサーブがいきなり飛んできて,

     野党の大半は打ち返すどころではなかった」 

    「選挙結果は必ずしも多数派の正しさを証明するもので

     はない。かっての英首相アトリーは,民主主義の基礎

             を『他の人が自分より賢いかもしれないと考える心の

             準備です』と語っている。安倍首相も反対の人も含め

             た代表として一国の舵取りをしてほしい」

       (天声人語 14・12・15)

      選挙の投票率は朝日の推計では戦後最低の前回59.32%

    を下回り52%前後になる見通し。

      ・・・・・

    15日の新聞によると全国の投票率は52・66%,投票率は

    戦後最低。青森が最も低く47.22%,最も高いのは島根

    で59.24%,次に山梨59.18,三位は山形59.15%。

    雪国が最低であったり最高であったり,???。

      ・・・・・・

    今回の全有権者に対する絶対得票率は,小選挙区で24%,

    比例区で17%。自民は議席の61%を占めたが,完全比例

    代表制にすると,自民157,民主87,維新75,公明65,

    共産54,その他37となる。国民の意思はこのあたりにあ

    る。(朝日・12・21)

       ・・・・・

    とすると,自民と公明で222名,民主・維新・共産で216,

    野党に自公のような連合は無いとしても、勢力はほぼ拮

    抗しており、やり方で政治のあり方も随分と変るだろう

    に。

 

 

1               座談会「選挙の先どこに向かう」 

        朝日 14・12・16 

     東京国際大学名誉教授 原 彬久 

  

  「自民党はこれで助けられた部分がある。投票所に足を向け

   ない有権者は,実は自民党に議席を献上したという印象だ。

   有権者はそのことを意識しているのだろうか。こうゆう構

   図は議会制民主主義としては健全ではない。

   ただ無党派層の中から,自民党に勝たせすぎると支障が出

   てくるのではないかとブレーキかけた面がある。共産党に

   票が入ったのはそういう意図,戦略がはたらいのかもしれ

   ない。

     ・・・・・・・・

     今回の選挙の総評。(14・12・19)

   

1      選挙が終わってクリスマス   

   

    クリスマスにはモミの木(fin tree) を飾るが,モミの木

    はラテン語でAbies firmaといい,abiesとは永遠の命を意

          味し,厳しい条件下でも次に命をつなぐ強い生命力を持つ

          木とされる。

 

   昔,ヨーロッパは今より寒く,狩猟民族である彼らは冬の間 

     は長い冬ごもりをした。狭い室内ではウイルス菌や 風土病

   が発生し幼児や老人が命を失うことが多かった。

   このため体験的に抗菌作用があるモミの木を冬の間屋内に入

   れておいたのがクリスマスツリーの起源とされている。

  

   モミの木から抽出される製油は,入浴剤や石けんまたリュウ

   マチ治療に使われる。また木材はピアノやバイオリンなどの

   楽器に用いられる。このような効用があると同時に,厳しい

         冬の寒さにも葉を落とさず凛とした生命力にあふれるこの木

         は,救世主の誕生を祝うクリスマスにふさわしい木とされる。

  

       またクリスマスのお菓子は各国でさまざまなものがあり,

   日本で一般的なブッシュ・ド・ノエル(Buche de Noel)

         は薪の形に似せたお菓子で,昔,クリスマスに燃やした薪

   の形とされる。もっともこの菓子についてはいろいろな説

   があるが,暖炉で燃やした薪の説が納得のいく説と思われ

   る。ともかくもシャンパンでまずはメリークリスマス。

        

 

 

1   海の日のありありしずむ冬至かな   万太郎

    そそり立つ裸の柿や冬の月      坪内 逍遙    

    北風の吹くだけ吹きし星の冴え    渋沢 秀雄

   

    行年や夕日の中の神田川       増田 龍雨

    除夜の鐘幾谷こえる雪の闇      飯田 蛇笏  

 

      水洟や鼻の先だけ暮れ残る              芥川 龍之介   

      急ぎ候程に老足に年暮れにけり        阿部 次郎

 

 

 

 

          「一寸いい話」

           38   

 

        (2015・1・1~3・30) 

 

 

 

 

 

 

 

1      新年  2015年・平成27年 

  

    今朝の春玲瓏として富士高し   広津 柳浪 

    正月や宵寐の町を風の声     永井 荷風 

    

    去年今年暦の上のものならじ   佐藤 紅緑

    初空に鶴千羽舞う幻の      川端 康成

 

            ねこに来る賀状や猫のくすしより

             久保 よし江(大正15年作)

 

 

1   蒲団から首出せば年の明けて居る  子規

 

  早いもので正月ももう5日,このところ来客にかこつけて新年

  はめでたいと酒をくらって漫然と暮らしてしまった。特にする

  こともなく天下太平,まあ年賀書きぐらいが仕事か。

  空は青空,今日も快晴,朝の気温は珍しく0度,昨日は-5度,

  一昨日は-8度だった。二月三月はさらに寒くなるだろう。

 

    しかしそれが過ぎると春,庭のいろんな花も咲きだし,そよ吹

  く春の風に誘われて・・・といっても特にどこといって行くと

  ころもない。まあ,行きたくとも膝がいうことをきかない。

  せめて窓から遠くの桜並木やICUのポプラが薄緑に芽吹く姿

  を見ることにしよう。 まずは自分自身への新年の挨拶,元気で

  すごそう。

       1月5日  すでに初空に春光

 

 

1        新年 大道を歩め

 

          魯迅

   「もともと地上には道はなく,歩く人が多くなれば,それが

    道になるのだ」

 

       

      ホイットマン「大道の歌」

  

         心も軽く徒歩で僕は大道にでる,

     健康で,自由で,世界が僕の前にあり,

     望むところへ連れ出してくれる

     長い褐色の道が僕の前にあり,

     今からのちは僕はもう幸福を求めまい,

     この僕自身が幸福そのもの,

       今からのちぼくは二度と

     泣きごとなんか言うまい,

          …………………

     力強く,満ち足りて,ぼくは大道を行く。 

          …………………

       (酒本雅之訳 岩波文庫)

 

   

      高村光太郎 道程

   

     僕の前に道はない

     僕の後ろに道は出来る

         …………………

      

 

1      注連縄

 

         正月の注連縄は標縄,七五三縄などともいわれるが,不浄なもの

   の侵入を禁ずる印である。縄を左捻りにして三筋,五筋,端と順

   次に捻り,縄のあちこちに紙垂(かみしで)を下げもので,出雲

   大社の大きな注連縄が今まで見たなかで一番大きいように思える。

 

 

1          村上龍 「五百羅漢図」

 

  「(美術家として)生き残って行くには,時代をいかに消化し,

   はき出すか。だから『貧困と自分』や『貧困と日本人』がテー

   マになりえると思う」

                                (朝日・2015・1・3 夕刊) 

       ・・・・・・・・

    「時代をいかに消化しはき出すか」。確かにこの時代をいか

     に「消化」するかが大事だ。

 

 

 1                今年は未年    

 

         羊は義(よい)や祥(めでたい)に含まれ,おいしく見事な供

         え物の代表とされる。

   羊はもともと日本には存在せず,日本書紀によると,推古天皇

   の時代,すなわち599年に百済が羊二頭とラクダを「貢げり」

   と記述されている。日本に本格的に羊が飼育されるようになっ

   たのは明治になってからである。

     羊を偏とする漢字は多い。美(太った美味しそうな羊),羔

    (こう。子ひつじ)などなど。

 

 1                    屠蘇

 

   約1800年前,中国の名医・華陀(かた)が編みだし,平安時代

   宮中の正月行事では屠蘇散が貴族に愛好され,やがて庶民に伝わ

   った。屠蘇の屠は「ほうる」,蘇は「よみがえる」の意味で,病

   を打ち負かして蘇るとの願いが込められている。

   整腸,発汗,咳止めに用いられ,もともと正月のみの酒ではない。

   まあ薬なので美味しいとはいえないが,正月のご馳走の後の腹薬

   でもあるので珍重すべきもの。もっとも20代の34%が屠蘇を知ら

   ないとのことだが。 

  

 

1      古本屋の張り紙

  

   20数年前のことだが戸塚駅近くの古本屋に不思議な注意書きが

   あった。その店は50代の女性が経営するこじんまりしとした古

   本屋だが,結構いい本があって時々訪れていた。

   しかしある時久しぶりに訪ねると,入り口のガラス窓に白い紙

   が張られていた。見てびっくり。

 

   そこには「買わない人は入らないで下さい」 と書いてあった。

   この正月,ふと思い出した。入らなきゃ買うか買わないか判

   らないのにと思いながら,なんだか国民の参加を拒むような今

   の政治状況みたいだな~と。              

             

 

1     新年にあたり

   

    「果報は寝て待て」

    「待てば海路の日和あり」  

    

         「元旦や今年もくるぞ大みそか」

            江戸川柳

       初詣

    「神さまは人を育てない」    

       自分で生きろ

 

       正月、怒りを静めて

        論語 

  「人知らずして慍(いきどお)らず また君子ならずや」

       (15・1・12)

    

 

   

        余滴

 

1 ☆ 古代ギリシャの哲学者・デイオゲネス      

     「世に最も美しいものは,言論の自由である」 

 

   ☆「アメリカの真の豊かさは,大学と郊外住宅地に

     行かないと判らない」

 

     

1      昔,子供と歌った歌 

         増子とし作詞 

         本田秀麿作曲

 

    「いつのことだか,思い出してごらん

     あんなこと,こんなこと,あったでしょう

     うれしかったこと,おもしろかったこと

     いつになっても忘れないで」

 

   幼稚園の子供を自転車に乗せて買い物に行く時,よく

   歌っていた歌,懐かしい歌。

 

1      柳田国男

    「妖怪は零落した神々の姿」

 

                 北大路 廬山人    

    「食器は料理の着物」

 

 

 1      いろいろな話

 

        蝉の声

 

   北米やヨーロッパの北部には蝉はいないので,日本映画の

   蝉の声はただ五月蠅いと思われたり,テレビの故障かと思

   われるのでその声を消すとのこと。

   日本人には夏の風情なのだが。アジアの国ではどうなのだ

   ろう,でっかい蝉がいるのだが。 

     イソップの「蟻とキリギリス」はもともと「蟻と蝉」だっ

         たらしいが,ギリシャからヨーロッパに紹介された時に蝉

         がキリギリスになったらしい。    

 

1              エトセトラ

 

           ホームグローンテロ

   フランス生まれのアラブ人によるフランスでのテロ。

 

        在俗の仏教徒

   優婆塞(うばそく)・・・梵語・在俗の男子の仏教信者

     優婆夷(うばい)・・・・在俗の女性の仏教信者 

 

        ニュースとは・・ブーアステインの言葉

   「ニュースの報道は,ニュースの製造へと変化した」

       

                     寒四郎

    寒の入りから4日目のことを擬人化して。

    寒九・・寒の入りから9日目。

        「寒九の雨は豊作の兆し」

 

        有田

    佐賀県の有田焼の有田はアリタ

    香川県・ミカンの産地の有田はアリダ

 

       宗教なき人間

   homo sine religione,sicut equus sine freno

         (宗教なき人間は手綱なき馬のごとし)

     ・・・・

   われは行き先定めず疾走する馬の如きか?

 

       原爆で亡くなったアメリカ兵

   B29が撃墜され機長は東京に連れて行かれたが,他の

   6名の乗員は広島の憲兵の尋問を受けていた。そして

   1945年8月6日の終戦間際,アメリカの投下した原爆の

         犠牲となった。 

 

        wikipedia

          よく世話になるwikipediaのwikiとは,ハワイの言葉で

   「速い」の意味。

   ホノルル国際空港を走るウイキイウイキイシャトルから

   とってwiki wiki web と命名された。

         pediaはencyclopediaの略。 

 

      陶淵明(陶潜) 雑詩 

        「盛年不重来

         一日難再晨

         及時當勉励

             歳月不待人」 

    

      盛年再び帰らず 

      一日朝再び来たらず 

      時に及んでまさに勉強すべし

      歳月は人を待たず

       ・・・・・

      さてまたギリシャ哲学から読み始めるか??

        

         白夜

     ほんらいは「はくや」,しかし森繁久弥が

     「知床旅情」で「びゃくや」と歌ってから,

     これがなんとなく定着する。 

 

         後の先

     後の先とは,立ち会いで先手を取られても勝つ

     相撲のこと。双葉山が極めたといわれる。 

 

         慈悲

     菩薩が衆生を憐れみ慈しむこと。

     一説に,衆生とは楽を与える「与楽」を「慈」,

     苦を除く「抜苦」を「悲」というと。

     大乗仏教で,智慧と並べて重視される。

 

        夫婦喧嘩

    アメリカの心理学者の調査によると,喧嘩を我慢

    すると,死亡率は9倍高いと。     

 

        ナイル川の長さ

    東京からハワイまでの距離。ナガイ川である?。 

 

        放散痛 

    心臓が痛いのに,胃など他の所が痛む脳の誤作動。

 

        豆を植えて稗(ひえ) 

    好結果を得ようとして,かえって予想外の不結果を

    まねくこと。

    ただし稗は,救荒作物ではある。

 

         鍋物

     ロラン・バルト・・(日本の鍋物は)中心のない食べ物。

    食材も時間も鍋の前ではみな平等。

 

         生の権力・フーコー

    国家が国民の生命や健康を守る名目で拡大させる社会

    管理の権力。

    

        「手考足思」

       陶芸家・河井寛次郎の言葉

 

        アール・ナイチンゲール

    「人間は自分で考えるような人間になる」

    「We become what we think about」     

    

                       おみくじ

    おみくじは1000枚で原価3500円前後,一枚3.5円。

    人件費を除くと一枚1~1.5円。

    しかし買って喜べばそれは百円以上となる。

 

        ボルテール

   「あなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する

    権利は命がけで守る」

 

                   千慮の一得

    一般に千慮の一失だが,これは,愚か者でもいろいろ考え

    ているうちには,一度ぐらいは名案を出すことがあるとい

    うこと。

 

        階前万里 

   万里の彼方の出来事も近くの階前の出来事と同じである。

   天子には遠くの行政上のこともはっきり判り,天子を欺

   くことはできない。

       階前・階段の前。転じて庭先。

    

      

       第三の空間

   日本人にとって,第一の空間は家庭,第二は職場。しかし

   いずれも大なり小なりストレスを感じるので第三の空間に

   避難する。それは勤め帰りに寄る「酒場」。

   しかし職場の人間と一緒だと二・五の空間となる。

 

 

 

1       キムチ 

 

   2014年,日本の和食と韓国のキムチがユネスコの無形文化

   遺産となる。すでに地中海料理(スペイン,ギリシャ,イタ

   リア,モロッコ)やメキシコの伝統料理,トルコの儀式料理

   が認定されている。

   キムチは中国の泡采という漬け物が起源らしくそれに日本か

   ら渡った唐辛子(秀吉時代)でキムチが完成したものらしい。

   世界各国の料理も,たとえばフランス料理はイタリヤ料理よ

   り発達したように,元はいろいろの料理が融合し,独自の料

   理となったもの。

   

 

 

1     辻調理師専門学校建学の精神

       学校長の話・朝日新聞

                「学校のモットー」

     「ドケンド・デイスキムス」ラテン語

      (教えることによって学ぶ)      

         ・・・・・・

    decenndo discimus・・われわれは教えることによって学ぶ。

    docendo discitur・・・人は教えることによって学ぶ(単数)。                           

 1      家庭内再婚

 

   「長く続いている夫婦は家庭内で離婚や再婚を繰り返して

    いるのでは」

      岡田恵和 脚本家「あなたは伴侶にご満足?」 

           (15 ・1・15 朝日・夕)

 

1      女子大の同窓会

 

   お正月,みんなはハワイだパリだと旅行話をワイワイ

   ガヤガヤと賑やかに盛り上がっていた。

   あなたはと聞かれたある婦人,

   「私は東京にいたの,とっても静かで良かったわ」

     

1               一端・いろんな読み方

 

   一端・いちはな・・・いちばん先。真っ先。

   一端・いったん・・・片はし。一部分。

     一端・いっぱし・・・一人前。人並み。

   一端・ひとはし・・・片端。車輪の一部分。   

                        

 

1       イヴ・モンタン

 

     本当の名前はイタリア人名の,Ivo Livi.

   子供の時外で遊んでいると,夕食のしらせか,母親がアパー

   トの上から「Ivo Mota」(イボ,上がってきなさい)と声を

   かけたことから,フランス語の「Yves Montant」と名付け

   たとのこと。

 

   母はカトリック教徒,父は共産主義者なのでムッソリーニを

   嫌い幼い頃フランスのマルセイユに移住,後,23歳の頃,

   ピアフに見いだされ同棲,別れた後,61年にシモーヌ・シニ

   ヨレと結婚。モンローと共演して浮気を噂され,シニョレの

   自殺未遂・・そして1991年彼は70歳の生涯を閉じる。

   彼の「枯葉」を聞くと,本当に枯葉が散るような光景が目に

   浮かんでくる。

            (15・1・16)   

 

1       芸術とは

 

       近松門左衛門 

    「芸は虚にして虚にあらず,実にして実にあらず」

    芸は写実だけでなく虚構があることによって芸の

    真実みが増すもので,その微妙な「虚実皮膜の間」

    に芸の本質がある。

 

       斯界のトップダンサー 牧瀬茜(37)

   「たしかに裸を越える裸,裸だけでない何かを伝えたい

    と思ってます」 

      ストリップといえど,脱ぐことは,まさに虚実皮膜の

    間にある芸術。

          (15・1・20)

 

1      ちちんぷいぷい

 

   幼児が痛がって泣く時,「ちちんぷいぷい 痛いの痛いの飛ん

   でいけ」,そういって体をさすって癒してやる昔からの風習。

   もっとも,もともとは「ちちんぷいぷい御世(ごよ)のおん宝」 

     が語源であるとか,また一説には「智仁武勇はお世の宝」とか,

         長い間忘れていたが,ふと思い出した話。

          (15・1・25)

   

1             悲観主義者と楽観主義者  

        チャーチル 

 

  「悲観主義者はすべての好機の中で困難を見つけるが,

   楽観主義者はすべての困難の中に好機を見いだす」

     

 

1       リンゴ

 

   冬はリンゴが朝食の後の楽しみ。昔から日本にあったと思ったが

   日本にあったのはワリンゴで食用ではなく,食用は明治になって

   アメリカから輸入されたものだと。

   子供の頃,八戸や山形にいたが,今よりもいろんな種類があった。

   インド,つがる,むつなどというのもあったが,いまスーパーに

   並ぶのは2~3種類,随分と寂しくなった。むかしのインドなど

   どっかにあるのだろうか。それと子供の頭ぐらい大きな林檎も。

     

     君かえす朝の鋪石さくさくと

            雪よ林檎の香のごとく降れ

                         白秋

 

1    オードリー・ヘップバーンの詩              

 

  「魅力的な唇になるためには,やさしい言葉を使いなさい。

   愛らしい瞳であるためには,他人の美点を探しなさい」

 

1       風呂 

      ルース・ベネデクト「菊と刀」 

 

  「温かさとくつろぎの楽しみに身をゆだね・・・・。一種の

   受動的な耽溺の芸術としての価値を置いている」

      ・・・・・

    風呂は冬の醍醐味,ただし入るまでがおっくう。

 

1                  焼肉

 

   冬はまた焼肉も良し。煙の中にじゅうじゅうという音を聞き

   ながらワイワイと食べる楽しさ。そしてわれわれは多国語を

   操っている,まさに焼肉は国際食。

     カルビ     韓国語(バラ肉)

     ハツ・タン   英語(heart・tongueの略)

     ホルモン    独語(hormon)

     ミノ      日本語(牛の第一胃 ガツ)

 

 

1       冬の健康食

 

   風邪の時は肉を食う,栄養がありまた肉は野菜より消化がよい。

   ダイエットには豚肉,脂肪を燃焼させ,疲労回復によい。

   肉を食べても太らない。

   貧血には鶏肉,ビタミンAは豚肉の7倍。  

      (15・1・27 TVより)

 

1  「長者の万灯より,貧者の一灯」

    真心のこもった一灯の尊さ。 

 

1       東風

     「うたをよむ」白井明大 解説  

      (朝日 15・2・8)

 

     「東風吹くや耳現はるるうなえ髪」 杉田 久女

    幼子の髪のそよぎ,後ろあたりで揃えて。 

 

      東風・七二候の最初の季節,およそ2月4日~8日。

    まだ二月なのになぜ春か。

    立春の「立」とは,ない状態から生まれる瞬間を指す言葉。

    一日を「ついたち 月立ち」と呼ぶのも同じ。

    旧暦の一日は月の見えない新月の日なので,欠けた月が再

    び満ちはじめ,春の気配がするのが「立」です。

 

     「流れ行く大根の葉の早さかな」  虚子

    雪解けの早い水の流れ,大根の葉は七草のすずしろ。

    雪解けの水から七十二候の季節感。七草の頃の気分まで

    一連の情景として呼びさます。

     ・・・・・

    解説はあらまほしきもの。俳句が良くわかる。

    

 

1      演奏会場

 

  「いい演奏家は楽器にこだわります。演奏会場そのものも

   楽器で,最後は自分の音がどう聞こえるか,ホールの音

   響に興味を持つ」  

      豊田泰久 コンサートホールの音響設計家。

     各国に素晴らしい演奏会場を設計している。

        (朝日 Be 15・1・31) 

 

1             「白鵬のレジスタンス」

          内館牧子 「暖簾に肘鉄」

 

  「伝統は変革しながら継承されていくものだ。しかし保守すべ

   き部分は断固として保守しないと,別物になる。断じて一時

   の大衆の欲求や情緒に左右されてはならない」

    (週朝 15・2・13)(白鵬の物言いについて)

 

1      ムスリムの問題

 

  「イスラム国家」によって二人の日本人が犠牲になった。なんと

   も痛ましい事件である。モロッコで暮らし,また多くのイスラ

   ムの国々を旅してきたが,私にはイスラム社会のあの静謐で穏

   やかな雰囲気が好きだ。

   ヨーロッパ特にフランスではアラブの人々が増えている。彼ら

   の取り巻く環境は厳しい。しかし最初は労働力として迎えたヨ

   ーロッパの国々にも責任があろう。

  

   「500万のムスリムをフランス社会に迎えるための努力をフラ

    ンスは怠ってきたとぼくは思う。一例を挙げれば,今やマル

    セイユの人口の3割はムスリムなのにモスクはまだ三つしか

    ない。信仰に貧困が重なると信仰は過激になる」

    池沢夏樹 「終わりと始まり」『ムスリムとフランス社会』

         (朝日 15・2・3)

      ・・・・・・

    私がマルセイユを訪れたのは1964年,エクサン大学を訪れた

    帰りに寄ったが,静かな港町でブイヤベースの旨かったことを

    思いだす。今,人口は約90万,その3割の20数万がアラブの人

    々というと,街の様相も大分変わったことだろう。アラブの国

    でのミナレから朗々と聞こえるコーランの朗誦は平和なものだ

    ったが。

        (記 15・2・4)

 

1                  R.ヴァイツゼッカー大統領

     1985年5月8日 ドイツ連邦議会演説 

     

        「荒れ野の四十年」より抜粋

      永井清彦編訳『ヴァイツゼッカー大統領演説集』

            (岩波書店) 

 

   「・・・・

    罪の有無,老若いずれを問わず,われわれ全員が過去を引き

    受けなければなりません。全員が過去からの帰結に関わり合

    っており,過去に対する責任を負わされているのであります。

    心に刻みつけることがなぜかくも重要であるかを理解するた

    め,老若たがいに助け合わねばなりません。また助け合える

    のであります。

  

        問題は過去を克服することではありません。さようなことが

    できるわけはありません。しかし過去に目を閉ざす者は結局

      のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻

      もうとしない者は,またそうした危機に陥りやすいのです。

      ユダヤ民族は今も心に刻み,これからも常に心に刻みつづけ

      るでありましょう。われわれは人間として心からの和解を求

      めております。

    まさしくこのためにこそ,心に刻むことなしに和解はありえ

      ない,という一事を理解せねばならぬのです。・・・・」 

            

        ・・・・・・・・・

        心に迫る言葉だ。

    

   「銃後という不思議な町を丘で見た」  渡辺白泉  

         (15・2・5 記)

 

   「孫よわが幼きものよこの国の 

            喉元は熱きものを忘れき」

        長崎被曝の歌人 竹山 宏

 

 

1     閣連科(イエン・リエンコー)中国の作家

        カフカ賞受賞

           

                 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の際,

               北京の工場操業停止,ひさかたぶりの青空。 

 

   「権力は空の色まで変えられる。これがいまの中国です」

  

   天安門事件を作家として取り上げていないが,ニューヨーク

   タイムスに寄稿。国家がこの事件を封印。

    「国家の仕掛ける記憶喪失症」

   

     今後の仕事について

  「文学として価値ある物語が熟するまで待ちたい」

                                        (朝日 15・2・7) 

 

 

1     最近の朝日歌壇・俳壇より 

                                   2015・2・8 

            

   雪の朝ツグミとネコの足あとの

              あいだにわが子のクツのあとあり

                                           (仙台市)小室 寿子

 

   そういえば夫以外の動物に

            今日は逢わざり雪降りやまず

                                         (新潟市)太田 千鶴子

 

     待つ春や光啄む鳥の声  

         (大阪市)友井 正明 

      

 

1       在外の中国人・華僑

 

            中国人      日本人

    イラク        1万人以上         ?

    シリア         約5万人      21人

    アラブ     

     首長国連邦 20万人    345人

    アフリカ   200万人    8037人

    サウジ

     アラビア   15~18万人  853人  

     ・・・・・・

    地球いたるところに中国人。日本人は影が薄い。 

 

 

1             俳句 二句

                        朝日俳壇 2915・1・26

  

    「わが秀句誰れも採らない初句会」 

         (横浜市)佐伯 政英

      (選者評)高句点に名句なし。無点句に名句あり。

         年頭の心得の一つ。選者 長谷川 櫂

 

    「悪筆もここまで来れば良き賀状」 

         (米子市)中村 襄介  

      (選者評)悪筆を良き賀状と見た親しさ。懐かしい

         相手。  選者 稲畑 汀子

      ・・・・・・

     俳句は選者で生きる。 

 

1                     丸山真男

 

      京大人文科学研究所長 山室信一

  

           丸山さんは,実は会うまでは心情的に敬遠していた。

    「でも,実際は座談の名手であり,その博識と構想

     力には圧倒されました。若いころに丸山さんに会

     ったことは,ある意味不幸ですね。この人を超え

     るのは無理だと確信しましたから」

       (朝日 15・1・26)

 

1                  寒い時の突然死

 

   朝方や入浴中に起きやすい。とくに冬は寒い脱衣所から暖かい

   湯に入るので,血管が広がり血圧が降下するため,寒い時の入

   浴は注意。

   また冬は起き上がる時も危険,起きる時は手足をバタバタさせ

   てから,腹式呼吸をして起きると良い。 

 

1                 中間層の減少

  

   預貯金や株式などの金融資産を一億円以上持ってる世帯は

   100万世帯を超え,一方で生活保護を受けている世帯は過

   去最高の160万世帯を超える。

   ・・・・・・

   2014年暮れの新聞情報だが,次第に中間層が消え,かって

   の一億総中間層の時代は去ってしまった。 

    ・・・・・・・

   アメリカの場合,25~54才の男性のうち働いていない人は

   16%に達し,約40年前の3倍となっている。

   よって職のあり方が変化し,その結果,格差拡大が進み中間

   層を細らしている。

         ・・・・・・・

   スイス銀行の2013年の調査によると,世界人口の0.7%が世

   界の富の41%を所有し,経済格差は世界各地に広まった。そ

   のため政治的主張が先鋭化しまた格差は排外主義を助長して

   いる。

       ・・・・・・

     中間層の減少は世界的な傾向。

        (15・2・14)

 

 1                戦後70年

     春うらら戦終わりて古希となる

 

1                       ヒトデの効用

 

   海水浴では邪魔でしょうがないが,ヒトデは海の生態系にとって

   なくてはならないもので,いなくなるとムラサキガイが異常繁殖

   し,藻類やイソギンチャクなどの海洋生物が激減することになる。

   北米西海岸の広い範囲で数百万匹のヒトデが死に,海底が白い屍

   に覆われた。原因はパルポウイルス科のウイルスで,それはまた

   ウニやナマコにも影響すると。(昨年12月のの毎日新聞) 

    

1     「子育てはしくじるもの」 オギママ

 

   親は誰もがやったことがない。みんな未経験で親になる。

   夫になるのも妻となるのも子となるのもみんな未経験。

   それだからこそ,しくじって学ぶことが大切だ。

         よく学んで人は老い「人生は夕暮れに輝く」。

                                  (15・2・19)

 

1                滄桑(そうそう)    

 

   滄海桑田(そうかいそうでん)の略。

   桑田変じて滄海となる。すなわち桑田が変じて滄海となる

   ような大変化,すなわち世の変遷の激しいさまをいう。

   滄とは緑ががった青い草や水の色,青緑の冷たい色のこと。 

     滄海とは大海原のこと。 

 

1                 とどめ

 

   相撲ではとどめを刺すことは厳禁。とどめとは相手が負け

   ているのにだめ押しをすること。だめ押しは,非常に危険

   で相手に大怪我をさせることもある。

   相撲の美意識である。むかし良くだめ押しをして勝誇った

   ような顔をしていた横綱がいた。 

       (15・2・20)

 

1                  Misogyny

 

        女性蔑視,女嫌い。しかしそんな男性には女好きが多い。

    ギリシャ語の「憎しみ+女性」 

    misogynist・女嫌い。

    永井荷風。吉行淳之介。

    吉行は,女嫌いだが,女性読者が多かった。

    奥本大三郎は,そんな状態をして「猟師の鉄砲に小鳥が止ま

    ったような状態」と。

        上野千鶴子はミソジニーを,家父長制の基本原理としている。 

 

1         野に遺賢なし

 

    書経・・優れた人物はすべて官について,民間には残ってい

        ない。官に人材が集まって正しい政治が行われてい

                      ることをいう。

    吉行淳之介は逆にそれをもじって「野に遺賢あり」と。

    実際,政治を見ていると,賢者は政治に関わらず,といった

    状況。参議院は本来その役目だが,賢者はただただ黙す。

 

 1       文化の香り

 

   「欧州の良いところは,どこにいても文化の薫りがすること。

      東京で暮らしていると食事の匂いしかしない。食も文化だ

            けど,それにしか関心がない社会は停滞していると思う」

         野田秀樹 「エッグ」をパリで上演する。

          (朝日 15・2・17)

                ・・・・・・・

     テレビは競って,各地の名物料理の紹介にラーメンなどの

     番付をしている。日本には欧州のような町並みはないので,

     せめてラーメンの薫りを漂わせて独特の情緒を。

          ラーメンの香る裏路地春の宵

                    

 1           「恐怖条件付き」

        池内祐二 「パテトカルの万能薬」

          (週朝 15・2・27)

  

    「嫌な経験を忌避するような学習。

     哺乳類から魚や虫にいたるまで幅広く見られる。

     生命を脅かす可能性のある危険信号を避けることは,

     厳しい自然を生き抜くうえで大切な行動原理だった

     のでしょう」

     ・・・・・・・

       植物も危険やいたぶりを忌避する性質がある。

     生けるものの本能といえるか。

         (15・2・23)

 

1      観光客の金は東京へ

 

  「観光客が沢山来ても,落とした金が一日で東京の本店に送られ

   るようでは,一見賑やかでも駄目です」

    仙台の商店街の人。これでは地方は豊かになれない。 

 

1               介護

 

   年間10万人の,それも40~50代の人が職を辞め身内の介護を

   している。

   養老院などの施設が足りず50万人が待機している。

     

1                          血圧

 

         朝8時ごろから上がりはじめ日中高くなり,夕方6時頃から下がり

   はじめる,そして寐ている間は低くなるという血圧の一日のリズ

   ム。 

   お風呂は朝方や夜ではなく,血圧の安定してる午後がいい。

   酒は血管を拡張させて血圧を下げ,温泉ではさらに下がる。温泉に

   つかりながらの酒は危険。真冬の露天風呂では血圧は乱降下。

 

1               春の猫 

 

     叱られて目をつぶる猫春隣       万太郎

   仰山に猫みやはるや春隣         ゝ 

     春さむく子猫すりよる夕かな      虚子

 

     色町や真昼しずかに猫の恋           荷風  

     恋猫や丸き月ある巴里の屋根        久米 正雄

               ・・・・・・

   今日は3月1日,氷雨。我が家の雌猫はヒーターの前でぐっすり

   眠ってる。雄猫はそれにちょっかいを出して怒られ,すごすご

   と書斎のソファーに。

      それぞれの夢を結ぶや春の猫

          (15・3・1)

 

1       3月10日

 

        1945年3月10日 未明東京大空襲。その日よりはや70年。

   死者8万3千人余,27万棟焼失,100万人が家を失う。

   現在の墨田区,江東区,台東区はほぼ壊滅。全都の約40

   %,40平方キロメートルが焦土と化す。

   民間人の死傷について日本は国際法違反とスイスを通して

   米国に抗議。しかし空爆は止まず。

   2007年,被害者は謝罪と賠償を求め国を訴えたが,13年

   最高裁は棄却。

   2013年5月,安倍内閣「当時の国際法に違反したとは言い

   切れないが,人道主義に合致しない」

     ・・・・・・

   遠くだが確かに亡くなった人々の声が聞こえる。

        (15・3・10)

 

 

1      2011年3月11日

       東日本大地震

     亡くなられた方,まだ行方が判らない方多し。

     

      金のあるものは金を出し

      智慧のあるものは知恵を出し

      なにもないものは力を出す

        (15・3・11)

  

1      山脇岳志 「ワシントンから風」 

         朝日 15・3・14

 

   2年前,ドイツ留学中ドイツの歴史学者と和解について議論。

   ドイツはフランスや近隣諸国と和解したが日本の状況につい

   てそのドイツ人の言葉。

   「ドイツに比べて日本の状況が難しいのは,隣の中国に自己

    批判の精神がほとんどないこと」と話した。 

     中国共産党は,国内からの体制批判をかわすために,日本批

   判を必要としている。日本の隣国との和解はドイツより難し

   い。

     ・・・・・・

    戦後70年,まだまだ遠い和解への道。

 

1      上沼恵美子「おしゃべりクッキング」 

          テレ朝の20年の長期番組 

 

   番組ではできるだけ「おいしい」という言葉を出さないこと。

   「当たり前ですからね。何でもかんでも『おいしい』『さわ

    やか』 『ヘルシー』『やさしい味』,一番楽な言葉ですよ。

      ・・・・・・

     料理番組ではこれらの月並みな言葉が必ず出てくるので,

     なんともつまらんと思っていたが,納得の一言。

     でも本当に美味し時は,なんと言おうか。『うめー!』

        (朝日 15・3・14)

 

1      年をとるとは

 

   「人というものは,歳を重ねれば重ねるだけ,   

    その人の本質へと近づいていく」

      杉山由佳(作家)  

                

 

1     今日の朝日俳壇・歌壇 

         (15・3・16)

 

     「猫らしく素直に生きて猫の恋」

       (高山市)直井 照男

      ・・・・・

     家の猫は私の側で腹を出して寐ている。

     羨ましいぐらい天下太平の寝相。

 

     「あだだれだ,母さん俺だ息子だべ

          産んだごともね 見だごどもね」

            (秋田市)阿久津 政雄

       ・・・・・・

      すこやかに老い,すこやかに忘れ。

         (15・3・16 記)

 

 

1     口と唇とお腹の運動 

 

    口の運動・・口を大きく開けて明瞭に

      アエイウエオアオ

      カケキクケコカコ 

      サセシスセソサソ 

      タテチツテトタト

      ナネニヌネノナノ

      ハヘヒフヘホハホ

      マメミムメモマモ

      ヤエイウエオヤオ

      ラレリルレロラロ

      ワエイウエオワオ

 

          これを何度が声を出して。

 

    唇の運動

      スモモモモモモモモノウチ

      (李も桃も桃のうち)

 

    お腹の運動・・声を大きく出して

        あ・へ・あ・ほ

 

           以上毎日やっているとボケにもアホにも

     ならない・・と思います。 

         (15・3・16)

 

1      寸言

    

    ◎医者は何でも知っているように振る舞うことが

     肝要だ。 ドイツの作家 ハンス・カロッサ  

    ◎酸味を制するものは料理を制す。

      20年前に来日したフランスの名シェフ

       日本で柚とであいフランスで栽培する。

   ◎人間には神さまのカルテっていうものがあるんだ。

      夏川草介『神さまのカルテ0』

    神さまが一人一人の人間に書いたカルテ。

   ◎ ごみは心の塵・・日本の学校では生徒が毎日掃除。

                             外国では見られないいい習慣。

     ◎落馬したらまた乗り直せ。そうすりゃ人は前に進む。

   ◎傲慢症候群・・偉くなるとかかる病気。 

     

 

1      トイレ・かくも多き表現 

  

    便所・雪隠・厠(川屋)・憚り・ご不浄・洗面所・化粧室・

    手水場・お手洗い・手洗い・・などなど。  

    古くは,閑所・思案所。

 

    幸田文の随筆には,「山」とか「高野山」・・

       それは草木(臭き)のある所に髪(紙)を落とす

                   という洒落。

          テレビでは若い女性が男の前で,「ちょっとトイレ」な

    どと平気で言っているが。

    せめて「ちょっと失礼」といったら,といつも思ってる。

        トイレや便所などと直裁に言わないのは,人間には不浄

    なものに対して「忌避意識」が働くせいか。

 

        フランス語ではtoilette(トワレット)の他に「le petit coin」        

        (小さな片隅)など。

         (15・3・23 ヒヨドリが庭の椿や木蓮を

                  食い散らす日に。

                彼らは果物や穀物を置くエサ場にお返しに

                  「落とし物」をしていく )

                       (15・3・24)

 

1        親子の関係 

 

    親は子供に対して製造責任と品質管理の責任を負う。

    子は親に対して安全運転の義務を負い,成人後は自

          分で品質管理の責任を負う。

     

                   涙もて親子丼を食す

      「親と子のはたと抱き合う親子丼」 

        (15・3・25)

 

1       「あの世」を信じている人  

         統計数理研究所・2013年国民調査

 

    20才台でも45%が信じている。55年前に比べて随分と増加。

   1950年(昭和33年)の調査時は13%だったが,その3倍とな

   る。片や70歳以上は37%だったのが31%とむしろ減少。

   高度成長期をへて格差の時代となり,若い世代ほど占い,おみ

   くじを信じる人も若い世代ほど多い。 

        (朝日・天声人語・15・3・20)

 

1      プラトニック不倫判決

 

         たとえ肉体関係がなくとも幾度もデートをかさねた場合,男の

   妻が訴え,不倫との判決。大阪地裁 2014年。

     ・・・・・

     貴方のロマンは私のフマン。

 

1       ロシアの常識

      テレビでロシアの女性(24歳) 

  

          女性はかならずメークする。

    女性は25歳まで結婚しないと大変なプレッシャー。

    男女とも30歳まで自分のアパートを買えないと「失敗者」。

     彼女は母国の人に一度日本を見せてあげたいと。

 

1       Never too late  

  

         新しく始めることが多くて時間がいくらあっても足りない。

   Never too late 。何かを始めるのに遅すぎることなんてあ

   りません。今日という日は,残りの人生の最初の一日なの

   ですから。

      ダニエル・美恵子さん。(元大学教授)

      (朝日・15・3・26 夕刊「多様な仲間・集う場所」)

 

1      ご飯かライスか

  

         茶碗に入っていると「ご飯」。お代わり自由。

   どんぶりだと「めし」。

   洋皿だと「ライス」。お代わりは有料。

     しかし「めし」は「めし」だ。

 

1      「黒韓史」を読む

  

   シンシアリー氏の「黒韓史」を読了。前書「韓国人による恥韓論」,

   「韓国人による沈韓論」に続く韓国の対日論,興味深く,いや重い

   気持で読了。韓国は反日で成り立っており,根強い恨が支配してい

   るよう。韓国の人たちの対日観を知るに貴重な本だ。

   韓国人の「恨は,晴らすことができない悔しさ」で,そのため解決

   も赦しもない,と。韓国内に「賠償おかわり,謝罪おかわり,終わ

   りなどない」の声。

   そんな状態は変わってほしいものだが,われわれは何をすべきか。

   氏は自国をするどく批判しているが,しかし同氏はもっとも自国を

   愛し憂いている人だと思える。読了して思うことは,深い闇の中。

   しかし,いつの日か焼肉と慶州校洞法酒で一杯。

                            (15・3・29)

 

1       抗日テレビドラマ

 

   韓国のテレビでは日本のことについてその非道性についての

   報道が絶えないらしいが,ある抗日テレビで,それは「あり

   えない」,「真実と異なる」といった批判が寄せられた。

 

   最近の「とんでもないシーン」

   登場人物の若い男が「俺のじいさんは,9歳にして日本人に

   殺された」と嘆くという話。

   

   男はドラマの中で「俺のじいさんは9歳で日本人に虐殺され

   た。おれは日本人を憎む」とつぶやく。

   登場人物は暗い表情,後ろから若い女性が彼を抱きしめる。

      ・・・・・

   さすがこれにはネット市民からの批判。9歳で死んだじいさん

   の孫とはいくらなんでもと。早く友好的な映像が流れるといい

   が。

   

 

1                  今日の朝日俳壇

        (15・3・30)

   

     春光や故郷の山河唄い出す  (横浜市) 志摩 光風     

     山笑う万の命のひしめきて  (枚方市) 樋口正太郎 

     新しき町新しき風光る    (松戸市) をがはまなぶ 

 

        今日の朝日歌壇

 

     大空に架かる虹にも霓とよぶ

           うすむらさきの雌の添うとふ

                   (大分市) 岩永 知子

        (霓・げいー虹の外側の薄い虹)

   

    下校する黄色い帽子母猫が

           子猫を呼ぶをじっと見ている

                   (群馬県) 小倉 太郎  

     

    マスクしてマスクの医師に鼻声で

          どうされましたと聞かれている春 

                   (可児市) 前川 泰信

 

    武器と言わず防衛装備と名を変えて

          輸出といわず移転といへり

                   (前橋市) 荻原 葉月

               ・・・・・・

     春の来たことを実感しまた歌にも感じ,また武器輸出

     という嵐の前触れみる。 

 

 

1       3月30日 春うらら 20度の温かさ 

       

      春の草音符のように延びてくる      岸本 水府

      出そびれて此の麗を奈何(いか)にせん  尾崎 紅葉

  

      少女らのむらがる芝生萌えにけり     室生 犀星

      やわらかき艸かむりゐるすみれかな        瀧井 孝作