安藤勝美  「俳句 短歌 一寸いい話」 
                21・22

 

 

 

                      
       一寸いい話 21 

                   (2010・2・15~)

 


             

 


1   春風が十頁ほど拾い読み       日原正彦 

                 朝日俳壇 2010・5・29
   

    膓(はらわた)に春滴るや粥の味   漱石
      起重機や馬吊り上ぐる春の船     鴎外
      

 

1       耳鳴り

    

       78歳の春を迎える。昨年暮れからの耳鳴りはいっこうに治りそうもな
   い。それ以外に大きな病気はないが,耳鳴りのため外出もままならず,
   原稿もとうに期限が過ぎており,気のみあせる。あせればあせるほど,
   耳鳴りの音は高くなる。
   まあ,のんびりするしかない。しかしあらためて年をとるということ

   を考える。楽しく年をとることにしよう。
    ・・・・・・・・・ 2015年 大分良くなる

                                    2017年  時に耳鳴りがなくなることも。

                                                普通は低い耳鳴り。

 

 

1        老いの春

 

          中原中也 「老いたる者をして」

   「老いたる者をして静謐の裡にあらしめよ
    そは彼等こころゆくまで悔いんためなり」
          
       「神様に借りたるものをひとつずつ 

                                           返すことなり老いるというは」
                                          (大和市) 水口伸生 

                                                      朝日歌壇
  
     「老いるとは春の無辺にあそぶこと 

                                           ゲートボールの人々しずか」
                                          (和泉市) 長尾幹也   

                                                   朝日歌壇 2010・4・5

 

1       ある老人の詩
  
    現代経営学の父ピーター・ドラッカー,

        95歳(享年)の時の詩
   (どなたかのブログより拝借)

  

      もう一度人生をやり直せるなら・・・・
    今度はもっと間違いをおかそう。
    もっと寛ぎ、もっと肩の力を抜こう。
      絶対にこんなに完璧な人間ではなく、
    もっと、もっと、愚かな人間になろう。
    この世には、実際、それほど真剣に思い煩うことなど
    殆ど無いのだ。
   
   もっと馬鹿になろう、もっと騒ごう、もっと不衛生に生きよう。
   もっとたくさんのチャンスをつかみ、
   行ったことのない場所にももっともっとたくさん行こう。
   もっとたくさんアイスクリームを食べ、
   お酒を飲み、豆はそんなに食べないでおこう。
   もっと本当の厄介ごとを抱え込み、
   頭の中だけで想像する厄介ごとは出来る限り減らそう。
   
   もう一度最初から人生をやり直せるなら、
   春はもっと早くから裸足になり、
   秋はもっと遅くまで裸足でいよう。
   もっとたくさん冒険をし、
   もっとたくさんのメリーゴーランドに乗り、
   もっとたくさんの夕日を見て、
   もっとたくさんの子供たちと真剣に遊ぼう。
   
   もう一度人生をやり直せるなら・・・・
  
   だが、見ての通り、私はもうやり直しがきかない。
   私たちは人生をあまりに厳格に考えすぎていないか?
   自分に規制をひき、他人の目を気にして、
   起こりもしない未来を思い煩ってはクヨクヨ悩んだり、
   構えたり、
   落ち込んだり ・・・・
   もっとリラックスしよう、
   もっとシンプルに生きよう、
   たまには馬鹿になったり、無鉄砲な事をして、
   人生に潤いや活気、情熱や楽しさを取り戻そう。
   人生は完璧にはいかない、だからこそ、生きがいがある。

      ーーーーーーーーーーー

  この詩についてはドラッガーの詩ではないとか,およそドラッガー
      らしくないとか,いろいろ批判がある。確かに才能豊かな碩学だが,
      一杯呑もうという感じの人ではない。しかしそれはそれとしてこの

  詩には年のせいか共感できる。                                

 

 

1     谷口桂子 俳人 

  

           61年三重県生まれ。東京外大イタリア語卒。
     清新な俳句。第一句集「妬心」より。

  

      春の雨どちらともなく時計はずす
    ハンカチの折り目に妬心走り梅雨
  

      抱かれてもかのひと恋ふや夜の菊
    炎昼の喪服に包む妬心かな

  

           『日本の歳時記』 No。50

 

 

 1         「ある処世訓」
      本田静六(1866ー1952) 東大教授 林学

 

  「私の経験によれば,人生の最大幸福は家庭生活の円満と職業の
   道楽化にある」
    「金というものは雪だるまのようなもので,はじめはほんの小さ

   な玉でも,その中心となる玉ができたあとは面白いように大き

   くなってくる」
      実際彼は大変な財産家となった。

 

   「人生を改良するのはアイデアだ」
      彼は手帳の利用を勧めた。
   「知識は小鳥のようなもので,飛んできたときに捕まえて籠に入

    れなければ,自分のものにできない」

                                     朝日2010・2・13 Be

 

1          お腹の調子をよくする方法。

                        2010・2・23 10ch
 

   ①朝,一杯の水
   ②発酵食品を食べる。納豆。キムチ。
   ③散歩。歩くこと。
   ④腸に刺激を与える。腹をこする。時計回りにマッサージ。
   ⑤リラックスする。笑うこと。口角をあげた作り笑いでもよし。

 

     お腹の体操・三分ぐらい。
  

       ①笑顔をつくったまま歯を磨く。
   ②そのまま腰を左右にひねる。
   ③腰で円を描く。

 

      

 1       焼き肉の太らない食べ方

   

       順序・肉は白いものから赤いものへ。
   ①キムチ(酵素,乳酸菌など腸の働きを良くする)
   ②わかめスープ。体を温め,大腸の働きを良くする。味噌汁と同じ。
   ③ホルモン
   ④カルビ
   ⑤ロース(脂肪を燃焼させる)

 

1      三つのコップ

  

       バーにきた男,ウイスキーの入ったコップを三つ頼む。
   バーテン「一つでいいのでは?」
   男「いや,あとは兄弟の分なんだ」
   次の日はコップ二つのみ頼んだので,
   バーテン「誰かお亡くなりになったのですか?」
   男「いや,医者に酒を禁じられたんでね,兄弟の分二つなんだ」

 

1         猫の人気度 

     10・2・15 TV
 

      ①アメリカンショートヘア
    ②スコテッシュオールド
    ③ロシアンブルー
    ④アビシニアン
    ⑤メインクイーン

 

     家にはアメリカンの雌ととロシアンブルーの雄がいるが,いずれも
   去勢している。さてこの二匹は何とも可愛い。ロシアンブルーは知
   能が発達しているので時々驚かされる,犬並みの頭脳である。
   
   アメリカンは人にはあまり慣れないが,時にすり寄ってきたり,夜

       中,布団の上ならまだよいが,時には平気で脚や腹の上に寝ている。
   寝にくいので困るが,とにかくその寝姿がなんとも可愛い。

       毎日心が慰められる。猫と一緒に長生きできそう。

 

 

1  「春夜従弟の桃李園に宴するの序」 

      李白 (短文の冒頭の一節)

  

    ソレ天地ハ万物ノ逆旅ニシテ
    光陰ハ百代ノ過客ナリ
    而シテ浮世ハ夢ノゴトシ
    歓ヲナスイクバクゾ
    古人燭ヲトリテ夜遊ブ
    マコトニユエアルナリ

 

      (逆旅・・宿屋,旅籠)
    (過客・・旅人)

 

   芭蕉の「奥の細道」の出だしを思い出す.

 

 

1    各国の「立ち上がるときのかけ声」 

 

      日本     どっこいしょ
    中国     アイヤ
    韓国     ウッシャー
    印度     ウイマーン
    チュニジア    ヤーラッピ
    フランス     オップラー 
      ギリシャ     オッパラキャ
    アメリカ   オバマー

       (大統領が替わるごとにかけ声は変わる?)

 

 

1        坪内稔典(ねんてん) 俳人
     (なんとも心惹かれうふふとなる俳句)

      

    あくびして稔典を待つ春の河馬
    桜散るあなたも河馬になりなさい
 

      春の蛇口は「下向きばかりにあきました」

    全国の河馬がごろりと桜散る

    みんなして春の河馬まで行きましょう

  

    秋風にちりめんじゃこが泳ぎ着く

    列島をかじる鮫たち桜咲く 

    三月の甘納豆のうふふふふ 

 

 

1          世相
   「面白き事もなき世を面白く」(晋作)
     とはいえ,今の世の中履歴書真っ白お先真っ暗な時代。

 

1          北方謙三 「かぞくの肖像」 

                        朝日(夕)2010・2・25

 

    愛犬のコマサ(ラブラドール)が14歳で亡くなった。5歳の

        レモン(ジャックラッセルテリア)はコマサの布団に入って,

        じっと動かなかった。

   「でも死んだとは思っていない。コマサとの日々はいくらで

          も語れます。
    僕の死生観なんですが,生き残っている者ができることは,
    忘れないってこと,忘れない限り,死んでいないんです」

   ーーーーーーーーーーー
     15歳でハスキー犬のロッキーが亡くなってもう8年もたつ。
   しかし今も生きていてひょっこり現れるように思えてなら

         ない,毎日思い出すほど,本当に大好きな犬だった。そう

   ロッキーは今も生きている,いつも私の側にいる。

 

 

1         西川徹郎 俳人 

          北海道のお寺の住職 「実存俳句」を提唱。
   
      寺を担いだ犬が野に出て鳴いている
    男根担ぎ仏壇峠越えにけり
    仏壇の中を通って月山へ
  
        土足で月が二階へ上る死者を連れ
    花吹雪観る 土中の父も身を起こし
    畳めくれば氷河うねっているよ父さん
    月の寺木魚に手足生えてきて

 

     朝日新聞 2010・2・22の「俳句時評」(五島高資)に

       徹郎の俳句が紹介されている。それはまたいずれ。
   
   彼の俳句を賞賛する人は多いが,また梅原猛のように
  「ほとんどすべて甚だ難解」との,率直な批評もある。

 

 

1         サハラの小学校
   
      1964年頃だったか,友人とサハラを旅してるときに小さな村があ

        り,その村はずれにこじんまりとした小学校があった。そこで訪ね

        てみると,生徒は小さい子も大きい子も一緒でおよそ50人ぐらい

        が,珍客を迎えてくれた。
   
   丁度地理の時間か,黒板に小さな世界地図が貼ってあり,先生も
   生徒もにこにこと歓迎してくれた。先生がどちらからと聞くので,
       日本からというと,先生は地図の上で日本を探し始めた。
   
   ヨーロッパで作られる地図は,ヨーロッパが中心で日本は右端とな

       る。むしろこれが一般的な世界地図の姿で,日本の世界地図は日本

       が中心となっているが,そんなことを話したらパリの文房具屋の親

       爺がびっくりしてたことがあった。

  

     ところが黒板に貼られた地図は右端が狭く,日本の姿はなかった。
   先生は困り果てた顔をしてたので,私は地図の右側の黒板の上に日
   本の地図を書いた。先生は納得したが,生徒たちはなんとも不思議
   な顔をしていた。地球の地図にない他の天体から来たと思ったのだ
   ろう。先生は懸命に説明していたが,さて生徒は本当に納得したの
   だろうか。

 

   先生と握手をして帰ったが,あの時の生徒の顔は忘れられない。お
   そらく宇宙人と会ったぞと親たちに話したことだろう。もっともそ
       の後,村人とも会ったのだが,彼等もアジア人はみな中国人と思っ
       ているので日本人(アラビア語でヤバーニ)といってもきょとんと
       していた。
   

        彼等もまたわれわれを宇宙人と思ったかもしれない。もう46年以

        上も昔のことである。

    次の年1964年に,東京でオリンピックが開催されたが,モロッコ

        の人々は東京は中国の都市だと思っていた。いくら説明してもなか

        なか納得されなかったことがある。もちろんその当時アフリカでは

        どこに行っても日本人は中国人と言われていた。今はなおさらアフ

        リカの至る所に中国人が進出しているので,日本人は相変わら影が

        薄いだろう。

 

1              どしゃ降りの後は青空

   

      晴れぬ雨はない。土砂降りの雨ほど晴れれば青い空がある。

 

1         異所性脂肪  

      2010・3・6 NHK
  
     第三の脂肪とされ,脂肪酸が肝硬変などを起こす。
   皮下脂肪,内臓脂肪と異なり,心臓や,肝臓にたまる。細胞を作
       るミトコンドリアを破壊する。
   
   痩せているから安心とは言えない。ある程度の肥満は悪くない。
   太って糖尿病が治った例がある。この異所性脂肪は痩せている
   からといって安心できないものである。
   日本人につきやすい。対策は脂ものを減らす。一日一万歩をあ

   るく。魚を食べる。
   
   心筋梗塞を防ぐには・・・秋刀魚,まぐろ,ぶり,いわし,
                                          きんき,さば,が良い。
   口臭・・・メタボ臭,食物は30回以上噛む。また煎茶がよい。

 

1        「はじかみ」
 

   焼き魚などに添えられる甘酢につけた生姜。
   薄切りにして各種レタスと合わせても良い。
   名の由来・・・端が赤いから「はし赤み」によると。

 

1 「里山」・・・山里をひっくり返して,ぴったりとした表現。

 

1 「からざ」・・・生卵の白いひも。

 

1        戦争とは
 

   「自ら傷つくことなしに戦争などできない」

                    アフガンよりの帰還兵。

 

1      「遺書」 山本和夫

  

     オ母様サヨナラ! 
   逢わずに,まっすぐに戦線へ消えます。
   あちらには冴えた零下45度の陽が待っているでしょう。
   ー私は名もない青年でした。
   ・・・・・・・・・・・

 

1           平和とは

 

     「平和を望むなら戦争を準備せよ」 ローマの格言。
   「平和を望むなら平和を準備した方がよい」加藤周一。
     「平和を望むなら,戦争を理解せよ」リデル・ハート

 

1        平和の多義性・『不思議の国のアリス』
  
    「問題は」と,アリスは言いました。「一つの言葉に,そんな

   にいろんな意味を持たすことができるのか,ってことです」
    

 

1     「奇術」 川路柳虹

  

      政治家という手品師は
    いつもコップのなかをはたいて,
    「平和」の鳩を出しますと
    観客集(けんぶつしゅう)を欺瞞する。
    手に汗握ってみたところで,  
    いつも手品さ。
    そっと懐から
    間に合わせの白鳩を飛び立たし,
    みんなにやんやんと喝采せしめ,
    善良な田舎ものから
    木戸銭を巻き上げる。
    もうご免だ,この手は,
    観客の知らない間に鳩は
    ちゃんと舞台裏に舞いもどり,
    身うごきならぬ牢の中へと
    入れられてゐる。

   

       (柳虹は,幕末の外国奉行・川路聖謨の曾孫。1888-1959。
    日本最初の口語自由詩を発表した。痛烈な政治家への批判)

 

 

1     春雨

      今日は春雨,次第に霙となり雪となる。

        庭の満開の紅梅に雪が舞う。
     (2010・3・9)
   
    春雨や人住みて煙壁を洩る       蕪村
    下京や雪つむ上の夜の雨        凡兆
  

    枯草の中の賑ふ春の雨       室生犀星 
    少年のかくれ莨よ春の雨      中村汀女
   
    春雨や六十年の離郷かな      暮笛

 

 

1           金子兜太

 

       春闌けて溲瓶親しと告げわたる  金子兜太
     去年今年生きもの我や溲瓶愛す         ゝ

 

     「優雅とは言い難い,否,これが本当の優雅かもしれない。悠々と溌剌
    と生きる日々の姿と言葉である。若者には勿論,半端な老人にも思い
    至ることの出来ない晴れ晴れとした生あることの喜びと感謝。
    九十歳を迎えた氏は人間の先輩として,命あるものの一人として,命
    大事の思いを,たとえば<左義長や武器という武器焼いてしまえ>の
    率直さで積極的に語り掛けておられる」
      池田澄子「うたをよむ」 朝日 2010・3・8

 

            長寿の母うんこのようにわれを産みぬ  兜太 

    谷に鯉もみ合う夜の歓喜かな      ゝ

      猪(しし)が来て空気を食べる春の峠         ゝ

      梅咲いて庭中に青鮫が来ている             ゝ

               ・・・・・・

     この感覚に大酒を呑んだように酔ってしまう。

 

1        「生類憐れみの令」
   
   五代将軍・綱吉は「犬公方」とよばれ,人より犬を大事にした暗愚な

       将軍のように言われている。生類憐れみの令や貨幣改鋳などの悪政が
   良く批判されているが,実際はどうなのか。ある本でその背景を知っ

       てなるほどと納得した。以下引用する。

 

   “生類憐れみの令は一つの法令の名称ではなく,二十年余にわたって
    頻繁に発令された「触」の総称である(130回の発令・改正)。

      

        その内容は多岐にわたっており,動物愛護のほか,捨て子や病人遺

        棄の禁令が含まれる。                                     
   

       たとえば捨て子防止策として,養育困窮届けや,江戸圏内限定なが
   ら妊婦登録制のような措置が盛り込まれている。

       また,「生類憐れみの志」という趣旨で在村鉄砲の調査を全国に展

         開している。村々が保持していた野獣対策用の鉄砲を規制する政策

         である。「生類憐れみの志」を前面に押し出すことで調査をおこな

         いやすくし,鉄砲を幕府の管理下に置くことをめざした。

  

      このように,もともと生類憐れみの令は人々に「生類憐れみの志」

          という仁心を説いた「触」であったが,綱吉の偏執的な性格が災い

          したためか,思いもよらない方向へとエスカレートしてしまったよ

          うである。
    悪法の色合いは濃いものの,他にあったすぐれた役割にも注目しな
    くてはならないだろう。”

  

          左高美里「徳川綱吉」 『江戸時代館別冊・江戸をゆく』 

                        小学館   2002年。
  

 

1    新妻を歌う  日野草城

  

      けふよりの妻と泊まるや宵の春
    春の宵なおおとめなる妻と居り
    枕辺の春の灯(ともし)は妻が消しぬ
    おみなとはかかるものかも春の闇
   

        薔薇匂うはじめての夜のしらみつつ
    妻の額(ぬか)に春の曙はやかりき
    うららかな朝の焼麺麭(トースト)はずかしく
     ・・・・
     みずみずしく美しい新妻を詠んだ句。
  

    “ 「ミヤコホテル」と題して,新婚第一夜を想定して詠んだ連作”
    そして年を経てこんな句も。
    
    右目には見えざる妻を左眼にて

 

1                       俳句の効能

 

      「俳句は右脳を活性化させて,ぼけ防止効果があるらしい」
     嵐山光三郎「コンセント抜いたか」 週朝2010・3・26
     氏の母堂は93歳,俳句にいそしんでいる。

           93歳のひな祭りの句
        「来年も生きるつもりの雛納め」

 

 

1              天    

                                         高見順

  

          どの辺からが天であるか
        鳶の飛んでいるところは天であるか

        人の眼から隠れて
          ここに
        静かに熟れてゆく果実がある
        あゝ その果実の周囲は既に天に属してゐる

 

1        フランス革命とレストラン

 

  「フランス革命のはじまった1789年には,パリに約50軒のレストラ         

       ンがあった。しかし1820年には3000軒になった。これは,貴族達
   が抱えていたコックたちが失職して,レストランを開いたせいであ

       った。
 

     一方,キャバレーは1790年に,パリに4300軒あったが,革命によ

   って,だれでも店を開けるようになったので,1830年には28万千

       軒に激増した。この数には,カフェ,バー,ワインを売る店などが

       含まれている」
   
   (キャバレーは「小さな部屋」の意味,転じて「居酒屋」を指すよ
          うになった)

      海野 弘『酒場の文化史』 サントリー博物館文庫 1983

   

        かくしてフランス革命はのんべいを激増させたが同時にフランス

          料理を発達させた。また,人間性の解放は,さらなる,食の発達を

          促した。

 

1         春陰

 

   今日は薄曇り,春陰である。庭のユスラウメや椿,すももなどの花も
       咲き出した。夜具を蹴飛ばして寝てたのか,てきめんに風邪気味とな

       った。
   
   耳鳴りは相変わらず,気をそらすに限るが,いったん意識すると音が
   高鳴ってくる。やっかいなもんだ。

   しかし確実に春は到来。

      「あたたかやきりんの口が横に動き」(後藤比奈夫)。
   
   いつの間にか78歳になった。自分では若いと思っているので,テレ

       ビに同年の人がでると,妻に「俺の方が若いだろう」と聞くが,返事

       はそうでもない」と,無惨無情の返事である。確実に老いているのだ

       とおもう。

  

             生きることやうやく楽し老いの春    風生
           うれしさとやや淋しさと老いの春   々
    
   私はまだまだこの境地には達していない。

       (2010・3・23)

 

1          三月あれこれ

 

  三月は荒れる月だ。春風がそよぎ生き生きと希望を膨らませてくれるか
  と思うと,冬がまだ残しておいた雪をまき散らし,嵐がひっそりと伸び
  てきた草の芽をおびえさせ,北風が最後の一暴れと吹きまくり,冷たい
  菜種梅雨が折角咲き初めた花々をふるいあがらせる。
   
   イギリスでは「三月は獅子のようにやってくる」というが,突然にそ
    して一斉に花を咲かせるのだろう。また「三月の風と四月の雨が美し
    い五月を作る」ともいう。                                   
  

     パリでは春の女神が微笑みながらやさしくゆったりと街や森をその薄衣
   のベールで包み,地中海の向こう側のモロッコでは冬の雨期が去ると,
   野は一斉に青い絨毯を広げてらくだや羊を春の饗宴に誘っている。
   
   プランターにいろいろな花の種をまく季節だ。「ものの種にぎればい

      のちひしめける」(草城)。その命を母なる土に埋めてやる。一週間

      もすると小さな芽が出て,それが4月,5月になるとさまざまな花を

      咲かせる。
   
   今日は冷たい菜種梅雨。猫と留守番で,二匹の猫はそれぞれの寝場所
       で気持ちよく眠っている。小人閑居して不善を為す。ちょっと台所で
   ぐいと一杯飲むことにする。誰もいない昼のちょい酒はまことにうま   

     い。   (2010・3・25)

 

1           学生と深大寺散歩

 

     昔のことだが,昼休みに大学院の学生達をつれて深大寺方面に散歩
     にでた。大学から丁度良い散歩の距離だ。さわやかな若葉越しに光
   がきらめき,みんなのんびりと散策し,そして名物のそば屋に入っ

   た。
   食事も終わり,ここは私がご馳走するといって支払いをすますと,

       学生達がコーヒーを飲もうというので山小屋風の店に入った。
                                     

       店のおやじが香りの良いコーヒーを出してくれ,相客もなくのんび

       りとおしゃべりをして帰る段になったとき,学生達が先生の分は私

       たちがといってご馳走してくれた。しかしおやじはじーっと私をみ

       つめて,なんたる奴だという顔をした。ああ,こいつ俺をけちな先

       生と思ってるなと分かったが,さっきはおれが蕎麦をおごったんぞ

       と言うわけもいかず,おやじの視線を背に感じつつ店を出た。 

 

   いっそコーヒー代も私が払えば良かったかなと思ったが,学生の好
   意は好意としてうれしく受けたことは,他人には分からぬものだ。 
   
   60歳代の大学時代の思い出の一つだが,まるで青春時代のような
   楽しい日々だった。 

 

 

1     TVで見た猫の話

 

    アメリカのある養老院の話。ある日一匹の猫が老人の話し相手として
  飼われることになった。名前はオスカーといった。しかしその猫は滅
      多に老人達のところに現れなかったが,奇妙なことにいつの間にか老
      人のベッドの上に座っていることがあった。しかし奇妙なこととは,

      この猫が座ると老人が間もなく亡くなることであった。
     
    オスカーは気持ちの悪い猫だと思われるようになった。しかしあると

      き一人の老人の容体が悪くなった。老人は涙を流しながら一人で死ぬ

  のは寂しいと訴えると,そのベッドにオスカーが飛び乗った。老人は

      満足そうに息を引き取った。
   
   医師達は,実はオスカーが死に近い老人達を慰めるために,老人のベ
   ッドにやって来ることに気付いた。それ以来,オスカーが病人のベッ

       ドにあがると,医師達は家族に連絡を取り,病人は家族にみとられて

       亡くなるようになった。オスカーは,いまもどこからともなく現れて

       老人達を慰めているという。
    
      2010・3・25   8ch 10時「ウソホンテイSP」
      ・・・・・・・・・・・・
   猫や犬には不思議な力があるとは,昔からよく言われるが,家の二
     匹の猫は,そんな不思議な力はつゆ見せず,いつもよく寝てよく食

         べている。ひょっとしてそんな力を秘めながら,ひそかに私を見て

         いるのだろうか?。    

 

1    正木ゆう子「遊秀りんりん」 

      『日本の歳時記』44

 

    「球面の一点はどこであれ表面の中心となる。平面は一点しかないが,
     球面では無数にある。だから飛躍していえば,私たちは誰でも地球

        上の中心にいるわけである」
      ・・・・・・・・・・

   そう言われるまで気づかなかった。ウン,これからは地球の中心に

         立つ「星のおやじ」だ。

 

1      非論理的八段論法
   
      人間は考える葦である
    しかし考える人間はきわめて少ない
    むしろ人間は考えない葦である
    そもそも考える葦は人間ではない
    人間は面倒なことは考えないのだ
    しかも人間一寸先は闇なのに  
      人間は考えないので

    なんとなく生きていけるのだ。

 

 1      長唄 「越後獅子」

  

     「歌ふも舞ふもはやすのも一人旅寝の草枕
    おらが女房をほめるじゃないが飯も炊いたり水仕事
    あさよるたびに楽しみをひとり笑みして
    きたりける・・・・」 

 

   家内が昔,長唄を習っていたのでこの唄は知っていたが,唄の意味を
   深く考えることもなかった。最近,偶然インターネットでその意味を
       知ることができた。以下は「西園寺由利の長唄って何だ」による。新
       婚の妻を残して旅に出た越後獅子の唄。
    
  「おいらの女房はよくできた女房でね。炊事も洗濯もじつに手際がいい
   んだ。麻も上手に撚るし,朝夜の飯も楽しみさ。今は旅寝の身だけれ
   ど,女房のことを思うと,自然に笑みがこぼれるのさ。   
  

    『あさよるたびの』という,たった7文字に,朝夜度,麻撚る折り,       

       朝夜,旅寝の旅枕と三つの意味をもたせた」   

   解説はあらまほしきもの。

 

 

1    木下玲子『影響力の王国』(1992。新潮社)

    昔読んだ本にある忘れられない言葉。
   
   「国際的な場で知的な論争に挑めない日本のオピニオンリーダーの国
    際競争力の欠如と,さらに,日本の知性に欠けているのは肉体美で
    はないか」,という指摘。

       ・・・・・・・・・・
   国際競争力のない知性と肉体美のない知性。肉体ということから言

         えば,明治の初期に,日本の男はすべからく西洋の女と結婚すべしと,

         日本人改造論を唱えた政治家がいたが。  
   
     その当時,つまり140年あまり前,明治維新の頃の男の平均身長は
       150㎝,それが60年余前の終戦後には160㎝となり,現在の男子高
     校生の平均は170㎝となった,だが相変わらず胸幅は薄い。

   さらに,これで日本人の肉体的成長は限度らしい。それにしても日

   本人の姿勢は本当に悪くなった。せめて背筋を伸ばしてしゃんとす

   ることだ。

 

     まあ,日本では大男総身にまわりかねというから,身体の大きさに
         関係なく大いに知性を磨くにかぎる。

 

1      「A word to Husbands」

         Ogden Nash

 

    To keep your marriage brimming
    With love in the loving cup,
    Whenever you're wrong,admit it;
    Whenever you're right,shut up.

 

   Loving cup
   友愛杯というのがあって,取っ手が二つ以上ある銀製の大杯。
         みんなで回し飲みをする。

 

1    「人は誰でも頭の中に消しゴムをもっている」
     嫌なことは消し去ることだ。

 

1       「漱石」の雅号

 

     漱石の名は,夏目金之助が子規に送った詩のなかから子規が

   雅号として使っていたが,夏目に請われて譲ったものである。
   
   漱石の雅号は,夏目以外にも江戸時代には画家と俳人が6名,

       明治の漢詩人に4人いる。もともと中国の晋の時代の故事

      「漱石枕流」によるもので,人のよく知るところである。

      漱石はよほど気に入っていたものか子規に返して貰っている。
   
     漱石を詠んだ子規の句
     
      「漱石来る」
    「あさがおや君いかめしき文学士」

 

 

1    子供の頃の読書

 

  子どもの頃父の本箱をあさるのが大好きだった。『世界大思想全集』も
  分からぬままよく読んだ。いまでもうっすら覚えているのが,べーベル
      の『婦人論』である。それいらい私は女性に興味と尊敬の念をもち,こ
      の本は私のその後の人生に多大な影響を与えた?。小学校の5年生とは

  いえ子どもは子どもなりに理解して読むものである。
   
   さて,もっとも好きだった本は『科学百科事典』であった。かなり            分厚い布張りの本で写真も豊富だった。さまざまな科学の解説と同時

   に,世界の珍しい現象を紹介しており,以下はそのなかで今でも覚え

       ている話である。

 

      たぶんカナダだったと思うが,不思議な川があって,下が冷たい真水の
    川でその上に熱い温泉が流れている。釣り人は水のところで魚を釣り,
    ゆっくりと熱い温泉をくぐらせるとほどよくボイルされおいしい味の

        魚があがってくる。
   

      それで家族そろってピクニックの昼餉を愉しむという話。

    たしか川の断面の挿絵と釣りをしている写真があったと思う。それ以
    後この話は聞いたことも見たこともないが,本当にあるんだろうか。
    時々ふと思い出しては首をかしげている。  

 

1           不死身のベニクラゲ

 

     昨日(2010・4・4)    テレビを見ていたら,決して死なない不死の生
   物が紹介されていた。ベニクラゲという小さいクラゲだが,年をとる
       と卵にもどりさらに成長して成体となり,また年をとると生まれ変わ     

       り,決して死なないという。
   
   もっかこの仕組みを研究中とのことで,いずれ人間に応用されるかも
       しれない。
   そうあって欲しいような面倒な人生になりそうな,不可思議な気持ち
       で見ていた。


1      極楽はあるか 

 

    今,テレビで「徹子の部屋」を見ていたら,ゲストの春風亭小朝が面

        白い話をしていた。(2010・4・5。10チャンネル)

  

      小朝はむかしテレビで毎週100歳の老人と対談しており,その老人
    達から次のような話を聞いた。この番組は5年間続いたので,彼は沢
    山のご老人からそれぞれの人生観を聞いたわけである。

    お年寄りが異口同音に言うことは,地獄,極楽などはないこと,死ね

        ばそれっきりだ,ということ。

 

    それに100歳だから枯れきっているだろうと思われるが,頭の中では

        みんないろいろと妄想していると。

    なんか人間の奥深い心の底をのぞいたような気持ちになった。人間は

        死ぬまで妄想のなかに生きるもので,むしろそれが人間なのだと言う

        ことだ。安心するやら我が身を省みて苦笑するやらで,人間には悟り

    などはないと思うようになった。いやむしろのんびりと妄想に身をゆ

    だねる,それが悟りだと思うようになった。  


 

1          酔余口号  伊達正宗

   

            馬上少年過
        世平白髪多
        残躯天所赦
        不楽是如何

   

          若いころは馬上で戦場を駆け
    太平の世となったが白髪が多くなった
    天から与えられた命はまだ残っている
    これを楽しまずしてどうするのだ

    ・・・・・・・・・・  
    いろいろの解釈があるが,素直に読むと以上のような意味と

    なろう。
    武人詩人としての正宗の高名な詩。
    残躯天所赦・・それゆえまさにこの人生を楽しまん,となる。
    (口号・・文字に書かないで心に浮かぶままに口ずさんだ詩。

                         唐代に流行)

 

 

1        堀ちえみさん。2010・4。「いいとも」
           テレビに出ていた愉快なタレント。

 

   「携帯で電話してる人の前を通るときはいつもかがんでいた。

          電波が通っていると思って」
   
    TVに堀ちえみという名前を入力しておくと,その名前が出

    たときは全部録画できるようになると聞いて,
   「ええ! テレビがあたしのこと知ってるの?」

 

1            小学唱歌

 

     前に小学唱歌「ちょうちょう」はスペインの歌と書いたが,これ

       は違うようだ。新聞(朝日・2010・3・27。Be)によると,同じ

       旋律でドイツに「幼いハンス」がある。これは冒険を求めて家出

       した少年が,母親から 温かく迎えられるという内容のようだ。
  

  またちょうちょうは「菜の花」でなく,なぜ「菜の葉」に止まる

      のか?。これは産卵のために葉に止まるので,蝶蝶はとまった葉

      がアブラナ科かどうかを確かめ,一葉に一つの卵を産む。これは

      幼虫の食糧確保のためとのこと。

 

 

1          沢村貞子の随筆「男女同量」
   
  夫婦茶碗は妻の方が小さいが,彼女は茶碗を買うときふと疑問を感
      じて同じ大きさの夫婦茶碗を買った。その茶碗ではつい食べ過ぎて
  しまうので使うのは難しいと思ったが,それでもなんとか使いこな
  した。
    彼女は「同量の茶碗に妻の幸と夫の幸を上手に盛り合う時代と心得
    た」。
   
   以上はたぶん新聞記事より。
   ・・・・・・・
    宇宙飛行士も夫が家を守る時代。相当の葛藤があったようだが,時
      代は確実に変化している。わが家では私が小さい茶碗で食べている
      が,これは別に新しい夫婦関係のためではなく,ただ食欲がないだ
      けである。

 

1        亡くなった井上ひさしさんの言葉
 

   山形県南陽市の三用侑子(75)の井上さんを偲んでの投稿。
     朝日10・4・19  「声」
    
    3年前の小・中学校の同窓会で,三用さんが出席していた井上
    さんにサインをお願いした時,書いてくれた言葉。

   

    「むずかしいことをやさしく
     やさしいことをふかく
     ふかいことをゆかいに
     ゆかいなことをまじめに
     書くこと」

    ・・・・・・・・・・
   論文にも当てはまる言葉。ただ「ふかいことをゆかいに」のとこ

   ろは,論文は愉快に書くわけにはいかないので,といってしんねり

   むっつり苦渋に満ちた論文ではなく,せめて闊達にと,考えること

   にしよう。
    ・・・・・・・・・・・ 
    さらに朝日の社説に紹介されていた彼の言葉(2010・4・13)
    「起こったことを忘れてはいけない。忘れたふりはなおいけない」
    「いつまでも過去を軽んじていると,やがて私たちは未来から軽ん

     じられることになるだろうる」

  

       さらに,山藤章二さんのブラックアングルに紹介されている井上

           さんの言葉。(週朝。2010・4・30)
    「壮大な嘘をつくにはまず細部を真実で固めろ,というのが小説

             作法にあるんですよ」

   

        別に小説に限らず,いろいろと適用できる原則。しかし政治家は

          使いすぎに注意。

 

1   馬を船に乗せて柳の渡しかな      漱石
    曇天の水動かずよ芹の中        竜之介

 

 

1          雀のかあさん   金子みすず

  

       子供が 小雀 つかまえた
   その子の かあさん 笑ってた
   雀の かあさん それみてた
   お屋根で 鳴かずに それみてた

      ・・・・・・・

   中学生の頃小雀をひろって育てたことがある。むしろ猫などにやられな
   いで良かろうと思っていた。この詩を読むとなんとも胸が締め付けられ
   るような気持ちになる。雀の母親のことなど考えもしなかった。しか

   も雀も大きくなったので母に言われて離してしまった。

  

     生きて行けただろうか。今も思い出すと胸が痛む。あれほど私になつい
   て,放した後も私が学校から帰ると庭の柿の木で待っていて私の手のひ

  らに乗って体を丸めて私をじっと見ていたが,いつの間にか姿が見えな

  くなった。ずーっと飼ってやれば良かったと後悔した。
  専門家は親はきちんと小雀を見ているから,ほっておくことだと言うが。
  
   (この詩のある解釈では子の成長を喜ぶ母親と子の運命をうれいる母雀

          をうたっていると。その対比が悲しい)
   
    落ちて啼く子に声かはす雀かな     太祗
      小雀や遠く遊ばぬ庭の隅          紅葉

 

1       永い日

  

     鶏の座敷を歩く日永哉                   一茶   
   

          永き日のにはとり柵を越えにけり         不器男 

          永き日や欠伸うつして別れ行く        漱石
       

      永き日の魂抜けし身を長々と          暮笛
      永き日や書棚をのぞく子猫かな          〃

 

 

1         「ピーターの法則」・無能な上司   

 

    教育学者のローレンス・J・ピーターは「なぜ,組織には無能な上司
    が多いのか」について,1969年に,画期的な研究を発表した。その

        結論。人は能力の限界まで出世し,無能レベルに達すると出世が止ま

        るため,大多数の上司は無能な上司なのである」

    従って組織には無能な上司が一般的だが,組織は無能レベルに達して
    いない少数の平社員とまだ上り調子の中間管理職によって運営される
    ことになる。
       朝日 2010・4・10。Be

 

 

1      猫の春

 

    春は,去勢はしていてもその時期になると家の二匹の猫は朝早くから

  家中走り回っている。うるさいし時には人の体も平気で踏んで走るの

  で目が覚める。家内も目を覚ましては,猫に話しかけている,静かに

  してねとでも言ってるのか。
  

      猫を飼うのは,年配の夫婦には孫と暮らしているようなものだ。

  たしかに生あるものが側にいると,なんともいえない愛しさと安らぎ

      を感じる。(2010・4・23)
   
    両方にひげのあるなり猫の恋       古川柳
    うららかに猫にものいう妻の声    日野草城

    

        春暁や寝返りすれば猫の足       暮笛

 

1     「スター」誕生

  

       「十九世紀後半の酒場の特色は,演芸的であったことである」。
   「酒場は,酒を飲むだけでなく,歌ったり,踊ったりする演芸
    場であったことは,昔からそうであったが,十九世紀には,
    その要素が強調されたのである」
  
    「ミュージック・ホールの最盛期は十九世紀の後半である。
         イギリスの都市は,工業的成長の結果,人口が二倍にも三倍に

         もふくれあがった時であった。週のどの日にもお客がつめかけ,

         芸人は毎晩出演したので,彼らはスター(星)といわれるよう

         になった」

                        海野 弘『酒場の文化史』

  

   「スターという呼称は,このように,空高く輝くからではなく」,
        毎日夜になると出てくるからスターと呼ばれたわけである。銀幕
        のスターといわれても,結局,毎晩ホールに出ていた芸人のあだ
        名に由来するというわけである。

 

 

1      初夏

 

      今年の春は天候不順であった。しかし間もなく五月,初夏がやって       

        くる。時の過ぎるのは静かだが狂いはない。真向かいの家の楓がい

     つの間にか青々として風にそよぎ,その影を白い壁に映している。

    その影にももう初夏の輝きがある。

    さて耳鳴りは果てしない時の流れのような音をたてている。そう,

    これは私の命の音だ。私は時の流れる音を聞いているのだ。もう

        初夏の風の音が聞こえる。

   

           初夏の風  川上澄生

     

               かぜとなりたや
     はつなつのかぜとなりたや
     かのひとのまえにはだかり
     かのひとのうしろよりふく 
       はつなつのはつなつの
     かぜとなりたや

     ・・・・・・・・・・

 

1     桜

   大正の末,岡本かの子が「桜」と題する139首を一挙に発表し

       て評判となる。その冒頭の一首。
  
    「桜ばないのち一杯に咲くからに
           生命をかけてわが眺めたり」

 

1     春雨や喰われ残りの鴨が鳴く   一茶
       
        また何か啣えてゆきぬ春の雲  (東京都)保科次ね子
        朝日俳壇 10・5・10

 

1       服装の一寸した乱れで商談も失敗する。

 

  「『中身で勝負』というのは甘えでしょう。中身は当然あるものと
       して,それをきちんと人に伝えるために外見も磨かねばならない」
            イメージコンサルタント 大森ひとみ。朝日10。4。3。
   
   商談にかかわらず,あらゆる会談や出会いでも。  

 

1   人はなぜ食べるか

 

    料理家の辰巳芳子(85)は70歳をすぎたころから「人はなぜ

      食べるか」という問題の本質的な答えを求めていた。
   
    福岡さんという人の著書で「人間は,食べることで分子レベル
  から 常に入れ替わっている存在だ」という理論に出合う。
  「初めて納得できる根源的な」回答だった。
    克己心を要する台所仕事を「愛」の質量だけで支えるのは限界
  がある,ということだ。  

                             朝日10・4・3 Be。  

 

1    古木

 

    道路計画のため桜の古木を切ることになった。
  京都の桜守・佐野籐右衛門が言ったこと。
  「どうしても切るというなら満開のときに切ったらええ。満開
     のときに切る度胸があるか,と聞いてみたい」

 

1   カレーライスとライスカレーはどう違うか。

 

    その論争に終止符をうつ向田邦子の名定義とされるもの。

 「金を払っておもてで食べるのがカレーライス,自分の家で食
      べるのがライスカレーである」

       ・・・・・

  なんとなく判る。カレーは専門の店の方がうまく,家ではまず

  飯を食う感覚なのでライスが先に来る?。

 

1        人生の教訓。
  

       「つらいときは逃げろ」
   
   「臆病者と言われる勇気をもて」

 

1  往年の名優・藤原鎌足・・「映画は半分惚けてやるとよい」

 

1     選手の選び方

 

    2010年のサッカーW杯が近づく。監督がベストの22名の

       選手を選ぶ。その選び方。

     かってあるアメリカンフットボールの監督の言葉・・・。
   「ベストの11人ではなく,11人でベストになる選手を選ぶ」

 

1             ペットロス・・畑正憲 

                   2010・5・31 TV
    

      ペットを亡くすと人は落ち込んでしまい,何時までも亡くなった
  ペットを偲んでいる。そのようなペットロスをなくすには「すぐ
  に新しいペットを飼うとよい」と畑さんは勧める。
  「あらゆる命は必ず続いている。ペットが死んだら次のペットを飼

       うとよい。それには必ず面影があり,心が癒されるからだ」

 

1        ペットの平均寿命。

                     東京農工大の全国の調査。
  

     2002-03年の統計・犬 11・9歳。猫 9・9歳。
   須田病院の調査・2009年。犬 15歳。猫 12・5歳。

   12歳といわず,家の二匹の猫には少なくとも20歳ぐらいまでは
   生きて欲しい。

 

 

1    アメリカの学生のいたずら 

 

    アメリカのある大学の男子寮で,女子寮の学生を招いてパーテー
      を開いた。男子学生がいたずらしてあらゆる便器に金魚をはなし
      た。
    心優しい女子学生達はトイレの水を流せず,みな飛び跳ねるよう
      に踊っていた。                                         

 

    女子学生が報復のために男子学生を招いたらしいが,トイレにす
      べて鍵を掛けておいたという単純なものではなく,それ以上の復
      讐だったらしい。忘れてしまったが,さて貴女ならどんな復讐を
      しますか?。

 

1    「坊主だまして還俗させて 小鰭の鮨でも売らせたい」

 

   江戸時代,吉原では唐桟の袷に吉原かぶりのお兄さんが,盤台に
   小鰭の握りをきっちり並べ,「こはだのすしぃー」と,郭を流し
       歩いていたそうな。その姿が実に粋だったらしく・・・・。
   小鰭は特に「粋」の美を象徴する魚だった。

   それで男前の坊主をだまして小鰭売りにしてみたいと。
               佐藤他『池波正太郎の食卓』新潮文庫 
   
1         ニムビー問題  
  
  「うちの裏庭ではやめてくれというニムビイシンドロームの傾向が
        日本では強くなったのでは」
    ニムビー(ニンビー)とは,Not in my backyard(私の裏庭では
    お断り)ということ。

 

    1980年代に,ニューヨーク市長がホームレスのための住宅建設を
  しようとしたが,地域住民が建設に反対したことをそう呼んだの
  が起源とされる。
    以来,ゴミ処理場や原発施設の建設に反対する運動をさし,「地
      域エゴ」という意味でも使われるようになった。
         朝日 2010・5・29

 

     ニムビー問題は至る所にある。沖縄の基地問題もしかり,身近な
   ところでは私が住む小金井市のゴミ焼却炉の建設地問題もしかり。
   この問題は公益と私益の複合と調整の問題であり,その調整にい
   かなる原理が機能するか難しい問題である。
   世界中には今ニムビー問題が充満している。新しい調整の原理
   は?

 

 1             オノ・ヨーコ
   「一人で見る夢は夢でしかないが,一緒に見る夢は現実だ」

 

1         武田鉄也 
   「自分を励ましてくれるのは,過去の自分だけだ」

 

1        野村克也(野球監督) 
 

   「財を残すのは下,事業を残すのは中,人を残すは上なり。
      されど,財なくんば事業保ちがたく,事業なくんば人育

          ちがたし」

   「三流は無視,二流は賞賛,一流は非難」
    無四球完投勝利をした選手に辛口の言葉。

      「横着を覚えたな」。
    いわれた選手は野村の辛口を知っているのでにっこり。

 

1       「無条件の存在の肯定」
   ものすごい生命力で勝手にふるまう猫。
                  作家 雨宮処凜

 

1      「会議は踊る」

 

    往年の名画「会議は踊る」の主題歌
   「Das ist nur einmal」
     (歌の翻訳は朝日新聞より引用。2010・5・8)

 

   ・・それは一度しかない
     それは二度と再びやっては来ない
     ことによると明日はもう
     過ぎ去っているかもしれない
     というのはすべての春には
     五月は一つしかないから

 

      「会議は踊る,されど進まず」
        (Le  congres,danse beaucoup,mais il ne marche pas)
    1814年9月に開かれたウイーン会議の様子を風刺した言葉。
   
     フランス全権タレーランの言葉。またはメッテルニヒの秘書

         の言葉ともいわれる。舞踏会や宴会が多い割には,審議が紛

   糾するだけで少しもまとまらない様子を皮肉った言葉。
  
       この会議はナポレオン失脚後のウイーン会議(1814年)。
     しかし会議は進まず,さらにナポレオンがエルバ島脱出の報

         で会議は混乱。
    映画はこの間のロシア皇帝とウイーンの町娘の恋物語。
    
    1931年秋封切られたドイツ映画。その秋ナチスは第二党とな

          る。やがてナチ政権下ではこの映画は禁止された。

      混乱した長々しい会議の風刺ともとれる,敗戦国ドイツの映画。
 

   「会議は踊る」と,この言葉はなかなか決まらない会議を風刺し
      ていまでも使われる。

 

1  「会議は二時間以上にはならないこと」 土光敏夫

 

1   結婚で大切な三つの袋
   「給料袋。玉袋。胃袋」
   
    さてお袋は?。ひょっとして玉袋とは玉のように大切なお袋
    のこと?,嫁さんは姑には堪忍袋が必要。

 

1            ある映像 

                  2010・6・18 夜 某テレビ
  

       濁った池の面をひっそりと大ききな亀が忍んできて,水辺で遊ぶ
   鳩を一瞬のうちに咥え水の中に引き込んだ。鳩は事態がのみ込め

       ぬ風で二三度羽ばたいて水の中に消えた。
   
   亀が鳩を襲うことにも驚いたが,鳩の何ごとが起きたか不可解な

   顔がいつまでも眼に残る。

 

1             フランス語の発音

 

   学生時代,仙台郊外にあった「ラサール会・光が丘天使園」のフ
   ランス系カナダ人の神父さんにフランス語の個人レッスンを受け
   た(多分,作家の井上ひさしさんが,その園に在学していた頃)。
   その40代ぐらいの神父さんは,一応発音を教えてくれるが,あ
   まり細かい発音指導はしなかった。
   
   ある時こんな発音で良いのかなと尋ねると,「私は長いこと日本
   語を勉強したけど,やっぱり発音はおかしいでしょう。日本人の
   ような発音はできません。日本人は外人が完璧な日本語を話した
       ら,むしろ警戒して,心を開かないでしょう。
   フランス人も同じです。完璧なフランス語を話す外国人は植民地
       出身か,などと奇異な感じをもつでしょう。むしろ不完全な発音だ

       けど教養がある人なら,フランス人は安心もし尊敬もするんです」。

  

     それ以来フランス語の発音が気楽になった。外人の話す日本語も
       同じことが言える。あのフランス語の個人レッスンは,その都度

   結構高い金を払うので,まもなくやめてしまったが。
   ただ発音だけは教えの如く気ままなままにすごしている。

 

1        壌羊
   (壌とは本来入ってきたものを払いのけること。攘夷とは夷

          すなわちえびす・未開の人のこと。幕末の攘夷論)

  

   壌羊の中国の故事。迷い込んできた羊を自分のものとした
   父親を息子が訴えた。これに対して,法家,儒家それぞれ

   の立場からの論争。
   法家は実力競争を是認し,人情,道徳を排して法を中心と

   し,儒家は儒教を中心とし,仁義,道徳,教養を重んじた。

   目下,この論争の結果を調査中。 

 

 1     お辞儀の仕方

     2010・6・30。TVにて   

 

   ①すれ違うとき・「今日は」と言って,それからお辞儀する。

        15度。
   ②謝罪・・45度。
   ③神仏・・90度。

 

        最近ドラマの現代劇で土下座の光景をよく見るが,あれは江戸時代な

    らいざしらず,見てるだけで屈辱を感ずる。

 

 1        床の間の花一輪

 

     豪華な花より床の間の一輪の花の美しさ
   百花をこえる一輪の美しさ

 

1     そばの食べ方

 

     外国人が奇異なものと見る蕎麦の食べ方・音を立てて食べる日本
   の習慣。しかし,音を立てると香りが鼻から抜け,音でおいしさ

   を際立たせるためだ。

   日本では蕎麦以外では食事中音たてないのが礼儀。禅宗の坊さ
     んはそばでも本当に静かに食べる。

 

 1     手洗いの効果

 

     物事を判断したり何かを選択した後の迷いは,手を洗うと不思

       議とその迷いが消える。科学的に実証されている。TVにて。

 

 1     屋根の反り

 

     神社,仏閣の屋根が反り返っている理由。建築物が軽やかにみ
   える。
   「大工と雀は軒でなく」。それほど大工さんの工夫が大切。

 

 1 1から2を作る人は沢山いるが,0から1を作る人は少ない。

 

 1 言葉・・「口に蜜あり,腹に剣あり」

 

 1     老中・松平定信

  

      「夫婦の道とは,新枕の夜明け,陽が上るのを見たときの心を

         忘れないこと」 (週間『江戸』16)


 1        何でも与える政府

 

   「皆さんが必要なものを何でも与えられる強力な政府は,皆さん
    から何でも取り去ってしまう強力な政府ということになります」
       リーガン大統領。
  

      あれもこれもと政府に求める人たちへの反論。
     朝日 天声人語 2010・3・24

 

 

 1           早坂透「ポリテイカにっぽん」 

         朝日 2010・3・25

  

      政治に義を求める私に,田中角栄の秘書早坂茂三氏は,シュテファン・

        ツヴァイクの「ジョゼフ・フーシュ」を読んだか,政治は乙女の祈り

        じゃないんだよ。どっちが得か,利害と嫉妬のしらじらとした権力闘

        争の世界なんだぜ,と指南してくれた。
    しかし政治家は風,民衆は大地だ。政治家は去る,民衆は残る,と私

        の耳に残した彼も逝った。
     

1            政治とは

 

     「政治とは情熱と判断力を駆使しながら,堅い板に力を込めて,
    じわじわと穴をくりぬいていく作業である」 ウエバー

 

      しかし,政治家に理想の実現を求め我々は長い間失敗してきた。
    せめて求めることは次のことでしかない。
   
    政治とは,我々国民が納めた税金を,投入する部門と金額をき
    ちんと決める行為である。 
    政治家とは,この国民の意思を国民の代理人として,討議し決
    定する者である。
 

    これが国民にとってもっとも必要な安全である。

   (結局政治家とは,別に先生と言われるほどの者でなし)

 

1     政治とは言葉である

 

    「政治は言葉である。政治指導者は,言葉によって浮きも沈み
   もする。新首相がまず磨くべきは言葉による発信力である」
     朝日 社説 2009・9・17

 

   この頃の政治家の言葉は,まさに言葉の骸骨が踊ってるよう。 

 

1       厚生労働省。国民生活基礎調査。
  

     2008年の1世帯あたりの平均所得は,54万75000円。前年より
   1,6%減少している。 (2010年6月,新聞記事) 
   
1          人生と砂時計

 

      人生は砂時計のようなものだ。上の未来は絶えず落下して細い管を
  通って過去となって積もっている。現実は細いくびれ,砂はほんの
    一瞬現在を過ぎて過去となる。
    人生は一回限りの砂時計のようなものだ。

 

1     伝統

  

    伝統とは変わっていくから永続するものであり,変わらなければ
  伝統とはならない。

 

1  バックミラー梅雨の町並み映すのみ    永井龍男
   短夜や夢の雲ある窓の空         瀧井孝作
  

     空港に梅雨置き去りのカナダ行き     安田瑛子

 

 

 

 

 

 

 

 

       一寸いい話 22  

       (2010・7・7)

 

 

 

 

 

1  パンの神か青葉の中に笛吹くは    深田久弥
   書に倦んで合歓の微風に対しけり   巌谷小波

 

   豚を積む名無し小駅の暑さかな      田中貢太郎

 

1  群れなして青海原を飛ぶ海豚 

             彼方の雲に夏の近づく
         朝日歌壇(大牟田市)鹿子生憲二 

 

1  子供は,親が言うようにはしない,親がしてるようにする。

 

1  定年退職した男の今後の人生についてのつぶやき。

   「お釣りみたいな人生だな」

 

1     トミーズ雅の犬の話。

                テレビ(「ごきげんよう」2010・7・7)で。

 

   向かいの家の大型犬はなんでも食う犬で,ある時乾電池の単一を
   飲み込んでしまった。その犬を連れて散歩に行ったが,そのうち
       道の真ん中で腰をかがめて唸りだした。
              
   うんちだなと思って犬の尻を見ると,大きな電池がアナを出たり
       入ったり,なかなか出ないので犬は懸命にふんばっていた。
   そのときクラクションが鳴って黒い大型の車が止まった。どうも
       やーさんらしい。事情を話すと,やーさんが車を降りてきて,
       犬の尻を見てびっくり。ガンバレ,ガンバレと熱心に応援,やっ
       と電池がぽとんと落ちると,ウワーと歓声を上げて万歳した。

    ・・・・・

     この話を聞いていて大笑いしたが,後でなぜかしんみりほんわか

   してしまった。
   

1             関取

 

     小沢昭一が子どもの頃,母に連れられてある美男力士の相撲部屋の
   宴席にいった。千秋楽の夜ですごいご馳走が出ていた。

   ”その席で,後援会長で名古屋の大きな遊郭の女将さんがこうゆう
       んです。
   「関取,髻(たぶさ)を崩して汚い格好で勝っても駄目だよ。負

          けてもいいから様子よくやっておくれ」

   相撲は強いだけでいいってもんじゃないなと子供心に思った。”

   ・・・・・・・・・
    「相撲は負けてもけがさえなけりゃ 晩に私が負けてやる」
               粋な相撲甚句。 朝日 2010・7・7

  

     今の相撲取りの中には,髻を崩して,負かした相手を睨み付け,暇も
   てあまして博打をうって,責任とらずに地位に汲汲しがみつき,独り
       よがりの理屈を述べて・・・・・・まあこの相撲取りには相撲はただ

   勝負事,相撲道とは関係ないか。

        

1    相撲の番付

 

  「相撲界には力士はその番付の相撲しか取れない」という名言がある
  「たとえば大関が前頭まで落ちたら,もう前頭の相撲しかとれないと
         いうことだ」
    「どの世界でも一度忘れられた人は,返り咲くには大変な力と運がい
         るだろう」
      内舘牧子「暖簾にひじ鉄」 週朝 2010・7・16

 

      その相撲界にこの所あまりにも不祥事多く,相撲取りの品格が問わ

        れているが?。

     「やわらかに人分け行くや勝相撲」   几董
      
    相撲取りの風格がしのばれる。          

 

 

1            短歌三首

  

    「さまざまの事件がありてこのごろは

             蜥蜴の顔が美貌に見ゆる」
                        高野公彦  朝日歌壇選者 

 

   「介護から解放するよと夫逝けり

              思い出しては涙を流す」
         (浦安市)白石美代子 

          朝日歌壇2010・6・28

 

   「こういっちゃ何ですけれどもされるほうも

             大変なんです介護というのは」
         (越谷市)内山豊子 

         朝日歌壇 2010・7・5

 

1      テレビでの話
 

   「子供の能力は,半分は親からの遺伝なんです」

   ・・・・・・・・・・・・
   その親が子供に勉強しろ塾に行けといっているが,まず責任をとる
       ために自分が塾に行くことだ。
   
1      蛇

 

     人は蛇を嫌がるが,蛇は本当は人が好きなので,いつも側に寄ろう
       とするだけだ。人は「蛇険」すぎる。

 

1          「目には青葉山ほととぎす初鰹」 素堂
   
   「名人が危うきに遊んだ句」。二つ以上の季語,青葉,ほととぎす,
        初鰹と季重である。しかし初夏の味をひきたてる絶妙の薬味とな

    っている。

  

      現在,かつおが減少しまた小型化している。上流で中国,台湾が

        巻き網で大量に捕獲していることも原因であるらしい。

 

   「命の湧く海」・・・しかし豊饒は無限ではない。「このままでは,
        今世紀半ばには海が空っぽになると警告する学者もいる」
   
     「まな板に小判一枚初鰹」 其角  

           朝日 2010・5・17

      ・・・・・・・・・
   「鎌倉の海よりいでし初鰹 みな武蔵野のはらにこそいれ」

                  四方赤良
 

    葬礼を見て初鰹値が出来る   柳多留
    初鰹夜の巷に置く身かな    石田波郷

 

1          フランスの作家ユイスマン (1848ー1907)
  

     自然主義から唯美主義・神秘主義に転ずる。代表作。神秘主義的な
  『さかしま』,悪魔崇拝を描いた『彼方』。
   
   「わが書は淫らなれど,わが生は清らかなり」

 

1        太平洋戦争の交戦国を知らない学生
 

   2010・7・11。 あるテレビで,司会者の池上彰氏が,100人の学生に,
   太平洋戦争で日本の交戦国は,「A・アメリカ,中国」,「B・ドイツ,  

       イタリヤ」のどちらかと質問したら,なんと5名の学生が,Bと答えた。
   池上氏は唖然とした表情で黙ってしまった。

  

     聴いてる私もびっくりしたが,ついでにその学生達に,どっちが勝っ
       たか聞いて欲しかった。

 

1          酒の主役は会話

 

     人と飲むとき,酒は主役ではない。会話が主役であり,酒はそれを楽

       しく促すものである。たとえ一人酒でも,自分の中での対話を促すも

       のである。

 

1    竜安寺 

 

   竜安寺の白砂には雲母の破片が混ぜてあり,これが光を乱反射させ
   て,堂内を明るくしている。

 

1  「ろうそくの光を浴びて仏が神々しい」という文章があった。

          仏が神々しいとは,神仏習合の影響か,違和感があっても

   面白い表現。 

        

1     haste not,rest not。
    急ぐことはよくない,しかし留まってもよくない。

 

   小蟻どもあかき蚯蚓のなきがらを 

                                          日に二尺ほど曳きて日暮れぬ
                       石川 啄木    

 

1     虫さされに朝顔の葉

 

     志賀直哉の随筆「朝顔」にも書いてあること・蚊に喰われて

   痒いとき,朝顔の葉をもんでそのぬるぬるをつけるとよく直

   る,とのこと。まず朝顔を買ってこないと。 

 

1          森麻季 ソプラノ歌手 

                「徹子の部屋」 2010・7・14
   
   ワシントンで公演することになったが,公演3日前の2001年9月11日,
   ニューヨークで無差別テロがあった。お客は来ないのではと心配した

       が満員の盛況だった。公演が終わるとお客が舞台下につめかけてきて,

     「芸術が平和を呼ぶように」と励ましてくれた。

 

1       つかこうへい氏  死去 2010年7月10日
   本名 金峰雄。ペンネームは「いつか 公平」の願いを込めていると。
 

  「芝居をやっていて,幕を下ろすほど難しいことはない」
    62歳で早すぎる幕を下ろしてしまった。

 

1    山形県の農民詩人 木村迪夫の祖母つえさん。
 

   戦争で次男,長男を次々と失う。次男が戦死したときには天皇の
   ために名誉の戦死といって赤飯を炊いた。しかし長男も戦死の報

   を受けてなにかが切れた。「天子さまのいたずらじゃあ」,
   「むごいあそびじゃあ」と嘆いた。
   
      そのおばあさんの詩。

   

         「ふたりのこどもをくににあげ
      のこりしかぞくはなきぐらし
        よそのわかしゅうみるにつけ  
        うづのわかしゅういまごろは
        さいのかわらでこいしつみ」

  

          「おもいだしてはしゃすんをながめ

     なぜかしゃすんはものいわぬ

     いわぬはずじゃよ

     やいじゃもの」

      (やい・・やきつけたもの)

 

        「じゅうさんかしらで

     ごにんのこどもおかれ

     なきなきくらすは

     なつのせみ」

 

    「にほんのひのまる

     なだてあかい

     かえらぬ

     おらのむすこのちであかい」  

                       (なだて・・何故)

 

   「おれのうたなの

    うただときくな

    なくになかれず

    うたでなく」

 

 

1  「軍馬より,兵士は安い」

 

 

 

1   初詩集『くじけないで』 

       柴田トヨさん 99歳

   

                「貯金」
   
           私ね人から
           やさしさ貰ったら
           心に貯金しておくの  
           さびしくなった時は
           それを引き出して
           元気になる
           あなたも今から
           積んでおきなさい
           年金より
           いいわよ

 

             「くじけないで」

 

          ねえ 不幸だなんて
          溜息をつかないで

            陽射しやそよ風は
          えこひいきしない

          夢は
          平等に見られるよ
  
         私辛いことが
         あったけど
         生きていてよかった
  
         あなたもくじけずに 
   

 

         「返事」

  

          風が耳元で
     「もうそろそろ
      あの世に
      行きましょう」 
        なんて猫撫で声で
        誘うのよ

        だから私
        すぐに返事したの
         「あと少し
      こっちに居るのは
        やり残した
        事があるから」

        風は
        困った顔をして
        すーっと帰って行った

 

          ー ー ー ー ー
      99歳の瑞々しい感性。
      99歳のお年と健康に乾杯!!。

 

1            永久と永遠
  

       永久とは永久歯,永久脱毛など,ある状態すなわち現実的
   持続性を表す。
   人工的,自然なものの永続性。自然科学的,物理的時間。

     永久磁石,永久歯

 

   永遠とは時間を超えるもので,ロマン,あこがれなど叙情

       的表現である。

   文学的で精神的意味合いが強い。時間を超越して存在する。

  「永遠の愛」

 

 

1  事故は瞬間,注意は習慣。

 

1 「窮すれば変ず,変ずれば通ず,通ずれば久し」易経
    通常,窮すれば通ずと使われる。

 

1    エッセイ集『男のリズム』「着る」
          池波正太郎
   

      "和服は「線」である
   洋服は「量」である

  

     量は,機械が生み出すものだ。
       線は,人間の手が生み出すものといってよい。"

   ・・・・・・・・・・・・・
   胸の薄い日本人には洋服は似合わない。なによりも日本人の
         姿勢の悪さが,洋服をずだ袋にしている。

 

1           池波正太郎 『夜明けのブランデー』

  

       酒は強くないが,・・・「一日とて酒を飲まぬ日はない。

         小説を書いていると,酒が何よりのたのしみでもあるし,

         自分の健康は酒によって,維持されているようにおもえ

   る」

    「やけになったとき,酒をのんではいけない。
     苦しいとき,哀しいときの酒を,私は一滴ものまぬ。
     うれしいとき,たのしいときしかのまない」

    ・・・・・・・・・
     一日として酒をのまぬ日はないと言っているのに,やけ

   酒や苦しいときは飲まないとは。凡人はかえって呑んで

   しまうが。

 

 

 1     沈魚落雁 閉月羞花

   (ちんぎょらくがん へいげつしゅうか)
   
   余りの美しさに、魚は水底に身を隠し、雁は目がくらんで落ち、

       月は雲井に身を隠し花は恥ずかしがってしぼんでしまう。絶世

       の美人を表す表現。
   
   しかし、この意味は,これほど美しい人でも動物にはただの人

       間であり,動物は人間を恐れて逃げ隠れてしまう。結局,人間

       の評価は人間にしか通用しないということ。

 

1 「生きているというのは,体の中に死を育てていることだ」
                                    多田富雄

 

1       ソボクレス

             (古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人)。

        引地正俊訳

  「生まれてこないのが何よりもましだ。この世に出てきてし

         まった以上はもとのところに,なるべく早く帰ったほうが,

         それに次いで,ずっとましだ」
    

 

1    山岳救助隊リーダー(富山県)
   「救助で最も大事なものは想像力である」

 

1   「心がかりは足がかり」
   心に引っかかるものがあると,そこにはなにかヒントが

   ある。

 

1 「発見は論理的思考のせいではない」 

                                   アインシュタイン

 

1 「天才の第一の条件は子供っぽさ」
    林真理子と大竹しのぶの対談。

              週朝 2009・12・11

 

1     ネクタイ

  「ネクタイというのは,背広のラベル(襟)に合わせて

         形や幅が決まるもの」
         ドン・小西 週朝 2010・1・22

 

     色は感情を形は思考を表す。

 

1   「訳言っても訳言っても臭い金」
    (四日市)巌先 (小沢氏を山頭火風に) 
         朝日川柳2010・4・29
 

    政治家の言葉とはすべて言い訳である。

    

     (山東火 「分け入っても分け入っても青い山」)

 

1  しっぽが犬を振り回している。政局はつねに政治の

       ごとく語られる。

 

1 「人は行動を選択したとき,結果も選んでる」

 

1 「お金はいる時にいるほどの金があればよい」
      薩摩治郎八

          (戦前のパリ社交界の花形) 

 

1 「ポシェットの一つも持たず白鳥は 

                                            大陸めざし日本海越ゆ」
    (鳥取県)長谷川和子 朝日歌壇 2010・4・5

 

1       「一瞬の影置き去りに目高逃ぐ」
  

      (立川市)日置正樹  朝日俳壇 2010・5・31
    (選者・稲畑汀子評・・

                       「一瞬の影置き去りに」とは見事)
    ・・・・・・・・・・・
    この俳句を読んだとき清新な気持ちになった。
  

      しかしまた汚職の疑いのある政治家の姿を思わせる?。
    よい俳句とはいろいろと想像をかき立てるものだ。

 

1    「心に引退はない」 
    須藤昭子 83歳の医師,ハイチで活動中。

 

1      人間性

   「仕事の土台になるのは人間性。いい人間がいい仕事をする。
    やれることをやったなら,結果は受け入れる覚悟をするこ

          とだ」 勢古活爾

 

 1      吉村葉子『お金がなくとも平気なフランス人。

          お金があっても不安な日本人』 

            講談社文庫 2007。
   
    日本の若者が腹が空くと夜中でもやってるコンビニに安直に
    買いに行く。
    家で作れば,もっと安くもっとおいしいものが作れるのに,と。
   ・・・・・
  「便利さということだけで世界を見回すと,わが日本はまちがい

         なくピラミッドの頂点に君臨している」。

         日本の監督をしていたトルシェが,「コンビニが日本の若者を

         ダメにする」と。
 

       さらに吉村さんは,

   コンビニは「私たちの日々の生活の中の楽しみの部分ばかりを
     狙って食べているかわいい夜行性動物。日々の生活の中の創意

         工夫という,私たちがタダで味わうことができる楽しみを,コ

         ンビニが奪ってしまっているのだから」
     ・・・・・
     生活が安直になって,味の工夫もせず出来合いを食べる日々。
     食事の工夫が文化を育む根源的なものだが。

 

 

1        お風呂の入り方

      2010・8・1。TV8。

      「エチカの鏡」

  

     ①風呂に入る前にコップ一杯の水を飲む。
   ②油温40度前後。熱いと交感神経をダメにする。
   ③風呂に入る前にかけ湯をする。まず心臓から遠い足から,
    つぎに手,そして全身。

   ④5分間全身浴。その後15分半身浴。足だけでもよい。
    のぼせを防ぐため。
   ⑤入浴剤は炭酸系のもの。
   ⑥あがるときは手足に冷水を掛ける。副交感神経作用の持続。
     ・・・・・・・・・・・・
    知ってはいてもなかなか実行しないものだ。                                                

 

1         笑いの効果
   Natural Killer 細胞の活性化・・このNKは癌細胞を殺す効果
     がある。そしてこの細胞を活発にするのは「笑い」である。

 

1      モーツアルトと免疫力

 

       モーツアルトを聴くと免疫力が高まる。自律神経を強くする

   のだが,モーツアルトの音楽だけが効く。
     一番よいのはバイオリン協奏曲第4番。K.218である。

         CDを,両耳にイヤフォーンをいれて聞くとよい。

 

     耳鳴りにもよいだろうか。
     鼻で息をするのも免疫力を高めるというから,CDを聞きなが

         ら鼻で フーフー息をすると最も効果的かも?

 

1                  夏が来た!!
   
   「糸の先にするめをつけてつったんだ 

                                       大きいザリガニこれどうしよう」
             横浜小学1年 高橋里沙子

                        朝日歌壇 2010・8・1

 

       熱い暑い夏がやってきた・・・遠い夏の日を思い出す。
   
     日ざかりや雲湧出る岩木山    佐藤紅緑
     炎天や赤牛の目の静かなる      橋本英吉
  

       馬洗う田川の果ての夕焼雲    岩佐東一郎
     戦は熄みぬ夏野の月一つ     佐藤紅緑
     雲に犬を放ち夏野の人となる   畑 耕一
  

 

1     我が友 耳鳴り 

 

       夏も半ば・相変わらず耳鳴りに悩む。2010・8・5
     耳鳴りの原因・・・中耳管,中耳・内耳の損傷,肩こり,

                                    ストレス,脳腫瘍,脳動脈硬化。

 

       中耳管・・・中と内との気圧の均衡をはかる器官。 

                               外気との気圧差が鼓膜に圧力をかける。
              
      キーンという音は感音性難聴とも。これは内耳の異常
      によって起こる。なかなかの難治であるという。
              
      また突発性難聴というのがある。これは胃や腸の機能
      低下にるもので,冷たいものをとりすぎると,耳の奥
                の血液の循環が悪くなる。

          たいものはとらない。血液の循環が悪くなり血液が首
      から上に上りにくい。アレルギー性鼻炎,副鼻孔炎を

                おこしその炎症が耳管に入り鼓膜を刺激する。

    

   ある大きな病院では若い女医がいとも簡単に「年のせい」

         と言ったが,この女医さんの診断にはに今も少なからぬ疑

   問を持っている。どっかに名医はいないものか!

   

         六味丸,耳鳴丸(六味に紫胡と磁石を加えたもの)が良い

         というが,六味丸は試したのだが?

     ともかくも耳鳴りと平和共存。
   

1 「健康と元気は別のものだからね」
        大滝秀治が病気の緒形拳に話したこと。

 

1  倉本聰・・・(あるテレビで)たばこはがんがん吹かし,

       酒もがんがんのんで,塾生をがんがんどなり・・・・・。

     それが健康の元のよう?

 

1   「仕事は量をやらないと質は高まらない」
   作家(警察もの)の今野敏の座右銘。親類の故漫画家,

       石森正太郎に言われたこと。 朝日2010・8・9

 

 

1         蝉の季節となる

 

        ソ連宣戦はたと止みたる蝉時雨    徳川夢声
    空蝉やあらぬところに昼の月       佐々木邦  
  
    空耳歟(か)うつくし湖(うみ)と蝉の鳴く  幸田露伴 
   
   「蝉の生涯は幸いなるかな。彼らは声なき妻を有すればなり」
                                                北杜夫
      彼は随筆に,このようにユーモラスな西欧の詩句を紹介し

    ている。
        朝日 天声人語 2010・8・5 
     

     雌蝉もひと声鳴いて絶えるかな   暮笛

 

 

1    「人生は,軌跡の詩」

                     2010・8・9 BSフジ。10時放送

    戦争に行ってる間に妻が天然痘にかかり顔を崩してしまった。
    復員してきた彼は戦闘で目をやられて何も見えない,と言っ

        て目をつぶって過ごした。
    10年の後,妻が病をえて亡くなってしまった。彼は10年ぶり

      に目を開けた。
     

  

1           終戦日

 

        敗戦より65年,今年の夏はすさまざしい暑い日々が続く。

  

        「あなたは勝つものとおもってゐましたかと 
                 老いたる妻のさびしげにいふ」
    「鉄かぶと鍋に鋳直したく粥の 
                 ふつふつ湧ける朝のしずけさ」
               土岐善麿

  

    終戦日沖へ崩るる雲ばかり    渡邊千枝子
    終戦日妻子入れんと風呂洗う   秋元不死男

  

        雲の峰鎮魂の碑に蝉が鳴く    暮笛


 1     『藤沢周平 父の周辺』(文春文庫)
        藤沢周平の娘さんの随筆にある話。

 

   娘さんは幼い頃母を亡くしその後,幼稚園生の頃,新しい母を迎えた。
   幼稚園の帰りに近所のおばさんが「のこちゃんちは,ママハハだから
   大変だね」といわれた。「ママハハってなんだろう」と意味が分から
       ず家に帰ってさっそく母に聞いた。すると母はいいました。
   
   「ママハハっていうのはね,ママと母と両方だから,普通のママより
          二倍すごいママなのよ」
   「それを聞いて私は(そうか,うちのママは,ママだけじゃなくてマ
          マと母だから二倍すごいんだ)と納得して,安心したのでした」
   (新しいお母さんはすごい!)
  
    またこんな話も。
   「母のだじゃれの腕はだんだんあがり,こんなものもありました。
    体をいたわって寝ていることの多かった父に『お床(男)のなか
    の男ね』とか,あまり起きてこない時には『悪い奴ほどよく眠る』
    などなど・・・・まったく良く考えつくもんだと,父もあきれな

    がらも楽しんでいました」
   

1         失われた礼節。「恐るべき母親たち」

                パソコンで偶然見たあるページから。

  

      ①食堂で「いただきます」と言って食事をし,終わって「ごちそ
           うさま」と言ったら,隣の小母さんに「お金を払っているのだ
           から,それは店がお客に言う言葉だ」と注意された。だから言
     う必要がないと。 

   ②学校の給食で「うちの子にいただきます」と言わせるのは止め

          てほしいと,ある母親が学校にクレーム。理由はこちらが給食

          費を払っているからだと。

   

       恐るべき母親がでてきてしまったものだ。子供の頃,食べると
   きのこれらの言葉は,夏の暑さにも精出して稲の手入れをする
       農家の人たち,さらに米を運んだり精米したりするもろもろの
       人たちへの感謝の言葉だと教わった。

   さらに祖母は,稲を実らせてくれたお天道様や毎日食べらるよ
       うに働いたり,おいしく料理してくれる親への感謝の気持ちを
       込めているのだと教えてくれた。
   
   給食を作ってくれている小母さん達へは勿論,米作りに関わ
   った諸々の人々への感謝を込めた言葉だと,親や先生はもっ

   と生徒に教えてほしいものだ。

 

1 「走るのがおそい私は泳ぐのが  苦手な魚と話してみたい」
    (富山市)松田わこ(小学三年生) 
        2010・8・16。朝日俳壇

  

     現実に,こんな素敵な子供が育ってる。この子の母親もい
   い人だろうなと思う。

 

 

1          八千草薫  亡くなった犬のこと

                               朝日(夕)2010・8・12
   「10頭を見送ってきましたけれど,動物たちは自分の死をなぜ
    あんなに静かに受け入れるのかと,いつも不思議に思ってます」
   今,ベルというシェットランド・シープドックを飼っている,
       とのこと。

    「死は静かに犬つれさりし春の朝」 暮笛

 

1     炎帝

    今年,2010年の夏はことのほか暑くまた長い。
    夏を司る「炎帝」は長い昼寝をしてるらしい。 
    
    「炎帝のふて寝さめざる暑さかな」  暮笛

    「炎帝の日本列島わしずかみ」    小山千代子

 

      「日蔭からは日向の人間はよく見える」 山藤章二

 

1      鬱の字

   鬱の字が当用漢字となる。しかし面倒な字なのでこんな覚え方も。
     朝日の投稿で,日野清子さん。
   「きかんきわ こめのはこいり ひにみっつ」

 

 

1     味いろいろ

  「プリンに醤油をかければウニの味,イカの塩辛に生クリームなら
     ショートケーキ。牛乳ときざんだたくあんはコーンスープ」
         九大・都甲潔。朝日 2010・8・4

   

           なかなか試す機会がない,というより試す勇気がない。

 

1     反抗期

   本来,反抗期とは「親も単なるできの悪い大人だ」と,子供が   

       気づく時期。
   「あなたの安心・反抗期を楽しもう」 朝日 2010・8・4

 

1      あるテレビでの言葉・二番目の引き出し

     (「釣り刑事」10・9・6?)
   「人となりは二番目の引き出しでわかる」

        それであちこちの二番目の引き出しを整理した。何でわかるん
      だとぶつぶつ言いながら。ともかく整理はしたけど。 
  

        しかし自分の二番目の引き出しは,ごたごたと私の経歴に関

    するいろんな書類が入っていた。

 

 

1                テレビで聞いた臨死体験。

                     人はほぼ共通の体験をするらしい。

  

     死んだと思ったらあたりは漆黒の闇,そこに一条の光がさし,それ
   に導かれて行くと川が流れており向こう岸に自分を呼ぶ幾人もの人
   影が見える。
   船頭の漕ぐ船で向こう岸に着くと,その人達の中におじいちゃんが
   いてついてこいという。丘を登ると心地よい風が吹く花畑があった。
   
   その瞬間目が覚め,母が呼びかけている声が聞こえた。24時間ぶり

       に生き返った。

 

   これはほぼ世界共通の臨死体験らしい。見たいとは思わないが,な

       ぜ共通の映像を見るのだろうか。こういった話は子供の時から何と

       なく覚えていて,見たような気持ちになっているのだろうか。

  

   三途の川や地獄の門は,日本人特有の話のようだ。しかし面白い。

 

 

1             象とアリの話

  

    象がアリの巣の上を通ったので,沢山のアリが踏みつぶされた。復讐

      心に燃えた一匹のアリが象の体をよじ登り耳の中に入った。耳の奥深

      く入った蟻は象の耳の内側に思いっきり噛みついた。象は痛い痛いと

      足を耳に入れようとしたが太い足は入らず,それで鼻か耳の中にブワ

  ーと空気を吹き込んだ。
   
   アリは飛ばされまいと必死に噛みつき,足をばたばたしました。象

   は痛いやらクスぐったいやら,とうとう転げ回りました。アリは大

       きな声で,これからは仲間を踏みつけないようにしなさいといいま

       した。象はこれから十分注意するからとあやまりました。
   アリは象の耳から飛び降り,仲間のいる巣に急ぎました。振り返る

       と象は大きな尻をふりふり逃げていました。 

       (新イソップ物語)

         ・・・・・・・・・・・・
   2010年9月10日朝6時頃うっすらと目が覚めた。ぼんやりと今見た

       夢を思い出した。不思議にまとまった夢だったが,イソップ物語に

       あったかなと思ったりしているうちにまた寝てしまいました。
   
   でもこういった夢の中の話は,目が覚めると忘れてしまうものな

       ので,その時枕元のノートにメモしておきました。起きてからノ

       ートみると随分と判読不可能な所があったが,なんとかこうやっ

       て書き出してみた。

 

   寓話はいかようにも解釈できる。象とアリは,大国と小国,大人と

       子供などと考えることもできる。でも象をやっつけるアリの戦いの

       話だけでも十分面白いな~と思ってる。

 

 

1           中村伸一医師(47歳)

                   自治医大卒業後福井県の名田庄診療所。
                朝日・2010・9・11  

  

       中村さんが看取るときの言葉は「ご臨終です」ではない。「さよう

         なら。おつかれさまです」。

  

  「家の力」・・自然な最後を迎える在宅死は「住み慣れた自宅で逝き
   たい」と願う本人のためだけでなく,子や孫にとっても,命のリア

         リテイを伝える大事な場でないかと思います。

 

 

1               あるテレビでの光景
  

       鯱の二親が子供にアシカの取り方を教えている。アシカをどうやって
   岸に追い詰めて捕らえるか,幾度も練習している。それをアシカの親
   子が岸辺でじっとみていた。声も出さずみじろぎもせずに。非情な光
   景。

 

1      ハーフ

     「ハーフでなくダブルと呼びたい。日本人の血が半分だけという発想
    は捨てて,違いをどれだけ豊かに束ねられるかが大切なんです」
            J・A・T・D・にゃんた。

                羽衣国際大準教授。朝日・2010・9・6

 

     昔から提唱されているが,早くそうなってほしいものだ。否定的な

         呼び方から肯定的な呼び方へ!!

 

         しかしハーフもダブルも所詮区別だ,そんなことは意識しないのが
         一番だ。

 

1           長谷川一夫

 

     往年の美男俳優・長谷川一夫が作家の川口松太郎の家に寄宿してい
       た。
   ある日,長谷川が無精ひげをのばして縁側でのんびりしていたので,

   川口が「どうした,天下の二枚目が無精ひげとは」とからかうと,長

       谷川は「仕事がないときは顔を休ませているのです」とこたえた。

       川口はさすが天下の長谷川と感じいったとのこと。

 

1      嫁求む

   明治の初め,エチオピアから皇太子の妃になる日本女性がほしいと

       打診があった。また同じ頃ハワイの女王の婿になる人はという話が

       あった。しかし日本側は日本の皇族には,適当な人はいないとすげ

       なく断ってしまった。
   ハワイがアメリカ領となる 1898年前の話で,なんか惜しい話であ

       る。

 

1    「ステッキと犬は最良の友」
     犬はとうに亡くなり,今はもっぱらステッキを友とする。
       「秋日和ステッキついて雲の峰」 暮笛

 

1 「真っ赤に燃える秋を真っ赤に生きる」

                  仲代達也の奥さんの言葉
     (2010・9・23 TV

   「赤秋・仲代達也 喪失からの出発」)

 

1  「白秋に赤秋という秋もあり」  暮笛
   「赤秋や稲穂はるかに風渡る」     〃
   
     秋の季語をたっぷりと
   「鰯雲稲穂に案山子赤まんま」  〃

 

1    TVにて。新鮮な卵に注意と。
   産みたての新しい卵には有害な二酸化炭素が多い。
   4~5日置いてガスが出てから食べる。
   あるいは卵の下部(丸い方)を一寸砕いてガスを放出する。下部
   には空気に入っている空洞があるので,黄身が壊れることはない。

 

1     音階 TVにての実演
   ドレミから「レ」と「ラ」を抜くと沖縄民謡となり,「シ」と

    「ラ」を半音にすると,アラブの旋律となる。そう聞いて音楽を
   聴いていると世界の音楽がみな身近に感じられる。

 

1     日本人の正直 
   剣道では「メーン」といって面をとる。(ほかの武術にはないだろ

   うか?)
   しかし欧米のスポーツでは,サッカーでも野球でも,右に打つと見

       せて左に打ったりと,相手をくらますのは当たり前の戦術となって

       いる。 
   その点日本人は真正直というか,真のスポーツマンというか。
   対外折衝においても時にそんなことがみられるが?

 

1    これもテレビを見ての感想
   胎児はお腹の中で人類38億年の進化を見せている。恐竜,魚類,鳥類

       などさまざまな変化をわずか十月十日の間にすべて見せ,そして人間

       の形で生まれてくる。
   ということは,人類はまだ進化の過程にあるということで,将来どん

       な形になるのだろうか,まさかまた恐竜に戻るのでは?。それともま

       ったく予想できない姿で?

 

1            街中の子供の声

 

     町々に子供達の生き生きとした楽しげな声が聞こえない。そしてガキ

       大将もいなくなった。みんな塾通いか家でゲームに熱中している。社

       会性のない子供,柔軟な思考のできる子供が少なくなった。
   
   将来大物と言われる豊かな感性と包容力をもった人間やノーベル賞を

       貰う人はいなくなるだろう。心配なことだ。むしろ都会より地方に優

       れた人材が生まれ(これは昔からのことだが),有名大学よりも地方

       の大学から優れた人材が生まれてくるだろうか。しかし地方を回って

       も子供達が遊んでる姿は見られなくなった。
  

     むしろ夕闇がおりてくると大人達が巷に群れ,おまけに仲間を仕切

       る奴があちこち酒場を連れ回している。

  

   外で遊ばなくなった子供・・塾に通ったり,ゲームに熱中している    

       と,豊かな発想力や社交性をもった人間に育たない。知識の偏った

       そして融通のきかない結局血の巡りの悪い人間の集団が生まれる。

       「頭の悪さは全治一生の病なり」,そんな社会にならないようした

       いものだ。
   

 1           liquid  sunshine

   カリブの国は良く雨が降るので,土砂降りの時以外は,
        liquid sunshineというとのこと。いかにもカリブの国
   らしく楽天的だ。

 

1    自分の子供は?

   ある男は5人の子供がいるが一人は自分の子供ではないと思っていた。
   妻は病が重く,もう死期が近づいていた。男は妻にかねがね疑問に思

   っていたことをきいた。「本当のことを教えて欲しい,あの子は僕の

       子じゃないね」。妻はじっと夫を見つめて「いえ,あの子だけがあな

       たの子です」

 

 

1     文章の書き出し

 

     「一行目は神様が書き,二行目からは私が書く」 

                                  詩人 嵯峨信之
   「最初の一枚が書ければ半分仕上がったようなものだ」 
            作家 都筑道夫

 

   小説でも論文でも最初の一行,一頁が大切である。論文は詩
   と違って最初の一行とはいえないが,しかしあらためて法律

       の論文をあれこれと読み直すと,最初の一行からこれはと唸

       るものがある。
   しかし一頁読んでもさて?と思うものもある。論文を書くと

       きに心すべきことと改めて思った。もう遅いけれど。

 

 

1  われをつれて我影帰る月夜かな      素堂
   水をのむ猫の小舌や秋あつし       秋声

  

     一口の紅茶の味の夜長かな      高田 保
   良き酒のされども秋の別れかな    杢太郎